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INTERVIEW

Japanese

SISTERJET

2014年06月号掲載

SISTERJET

Member:WATARU.S (Vo/Gt) KENSUKE.A (Dr) オオナリ ヤスシ (Ba)

Interviewer:天野 史彬

-このアルバムって、最終的には"ロックンロール"っていうひとつの言葉に集約されると思うんですけど、ただ内実は、曲調も多彩だし、歌詞の世界観もいろんなことが歌われていて、凄く多彩な、色鮮やかなアルバムですよね。

WATARU:おお、ジャケットはモノクロなのに。......でもやっぱり、もう30歳過ぎて、20歳の子とは聴いてる量が違うし、自分の好きな音楽を隅々まで聴いて表現してるからこそできることだと思う。一本調子はつまんないっていうのはあるから。あと、2人になって4人になって......もし5年前だったら、今回の「SUPER BIG(COMES UP)」みたいな形にはできなかったと思う。絶対に諦めちゃってて。それがものにできるようになったっていうのは、ミュージシャンとしてのスキルも上がってきてるんだろうなって思うし。だから、どんな音楽でどんなことを歌おうがSISTERJETですよっていうのがあるんじゃないかな。

-この色鮮やかさが、さっきWATARUさんがおっしゃったコミュニケーションっていうことなのかなって思うんですよ。歌詞の面でも、ノスタルジックな景色があったり、今までのJETSのような泣き笑いの景色があったり、「スワイプジャンキー」のような時代に突き刺さる言葉があったり。今までのSISTERJETがロマンティックな思春期性、青春性の中で描いてきたことが、今回は、今、皆さんが見ているありのままのリアルな景色の中で描かれてるような印象を受けるんです。

WATARU:何十曲、何百曲って作ってきたけど、言葉を乗っける作業をしていく時に、自分の中で"これだ!"ってキャッチしたもの、その景色が浮かんでないと俺は採用しないことにしてるんですよ。リアルな、自分で実感できるものしか歌詞にしない。たとえば「サラチ」って曲とか、友達の店が潰れて更地になるっていうことがあって。それで相談に乗りながら飲んだ帰り道に、「サラチ」ってタイトルいいなと思って。更地の景色と、その時の帰り道の雰囲気を言葉に乗っけてるだけ。自分としても、このアルバムの曲は以前の作品よりリアリティがあるかな。

-だからだと思うんですけど、この曲を聴いたリスナーとSISTERJETが、凄く密にコミュニケーションをとっていけるような作品になっていると思うんです。

WATARU:そうなってくれてると嬉しいですね。人といる中でインスピレーションを受けることが多かったから。でも、ほんとに些細なことなんだけどね。よく行く居酒屋はカウンターで8席ぐらいしかなくて、還暦過ぎたジジイしか来ないんだけど(笑)、そのジジイが"晦日だな!"って言うと、"ん、ミソカ?"って。その"ミソカ"っていう言葉がいいなって思って曲にしたり......そんな些細なことなんだけど、でも自分の中に引っかかるっていうことは、なんかあるんだろうなって思う。曲にガチっと合うわけじゃないし、俺にも"ミソカ"って意味はわかんないけど、でも、そういうものは大事にしようと思ってますね。

-このアルバムを作ってみて、新生SISTERJETとして見えてきたものはありますか?

WATARU:見えてきたものか......なんかある?

KENSUKE:何にも見えてない......というか、変わってないからね(笑)。

WATARU:結局、こうなんだなって(笑)。でも、見えたものってそうかも。変われないのかっていう。

オオナリ:バンドで鳴らす限り、そう簡単には変わらないよね。

-ロックンロールって、刹那的に消えていってしまう歴史があるじゃないですか。瞬間最大風速で駆け抜けて、そのまま消えていくバンドっていうのは今でも多い。最近の日本でも、毛皮のマリーズは意図的にその文化を踏襲したと思うし、andymoriは奇しくもそれを体現してしまった。......でも、ずっと長くロールし続けて、サヴァイヴし続けているバンドもいて。SISTERJETも、今回のリスタートを経て、この先の道のりをずっとずっとロールしていく準備を整えたのかなって思うんですよ。

WATARU:そうだね。やっぱり、本当に好きじゃないと続かない。なんでもそうだけどね。"まだいんのかよ"って言われるような位置にいたい。"もう11枚目?"みたいな(笑)。でも、今回のジャケとかもそうだけど、見た人が"あぁ、はいはいはい"って言うような、そういう存在でい続けたいよね。俺たちは本当にロックンロールをやってるバンドだと思うから。それを続けてれば、好きな人は集まってくれるだろうしね。