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INTERVIEW

Japanese

浮遊スル猫

2014年01月号掲載

浮遊スル猫

Member:さはら (Vo/Gt) やがわいちる (Ba/Vo) おみ (Dr)

Interviewer:沖 さやこ

ガールズ・バンドの常識を覆す、若き3ピース"浮遊スル猫"が、初の全国流通となるミニ・アルバム『フカシンリョウイキ』をリリースする。生活のひとコマから宇宙のように広がる"フユネコワールド"は、何気なく見過ごしてしまいがちな日常のねじれに関する問い掛けを与える。それは誰しもが疑問に感じながらも"まあいいか"で済ませてしまっていることなのかもしれない。深く追求する、正真正銘のアンダーグラウンドは激しく、美しく響く。

-公式サイトによると2011年12月に深夜のジョナサンにて、さはらさんとやがわさんによって浮遊スル猫が"漂流"したということで。

やがわ:もともとさはらがギター・ヴォーカルで、わたしがベースでバンドをやっていて、そのときはバンド名も全然違う名前だったんです。でもドラムがあまりにも安定しなくてバンドとして前に進めなかったから、一度ちゃんと解散という形を取って。それで新たにちゃんとドラムを続けてくれる子を探して、いちからスタートしていくことで浮遊スル猫という名前をつけました。

さはら:前のバンドではほぼわたししか曲を作っていなくて、いまよりももっとポップで元気な曲をやっていたんです。でも浮遊スル猫になってから、やがわも曲を作るようになったので、それに影響されてダークな面が強くなっていってますね(笑)。

-やがわさんはバンドが変わることで曲を作るように?

やがわ:というよりはいろんな曲を聴き始めたのがきっかけです。自分の好きなアーティストさんや曲をもっと体内に吸収して、それを自分なりに出していくというか。前のバンドから引き継いでる曲もあるんですけど、ほとんどアレンジも変えて、より一層ダークな部分を広めつつ。学生ではなくなると生きていく上で現実的なことを知ることが多いので、そういうところがじわじわと音楽にも出てきているのかも(笑)。

さはら:年齢を重ねて前よりも落ち着いてきて、元気さよりは激しさに魅力を感じてきたんですよね。

-なるほど。その3ヶ月後におみさんが加入なさったんですよね。

おみ:ふたりが正式に活動できるドラマーを探してて、わたしも丁度ライヴハウスでちゃんと活動するバンドを探していた時期で。そしたらふたりがドラマーの人たちにSNSやメールで"ドラマーを探しています"とメッセージを送っていたんですよね。それがわたしのところにもたまたま来て、浮遊スル猫のサイトからコンタクトを取って。だからこの2人とはネットで知り合ったんです。わたしも9mm(Parabellum Bullet)さんとか(凛として)時雨さんみたいな激しめの曲が好きで。そういうことをやっているのは男の子たちだったから、わたしもそこに混じってバンドやりたかったんです。自分的にガールズ・バンドのイメージは、前にこのふたりがやっていたようなポップで明るいものだったんですけど、浮遊スル猫はちょっとカラーが違うから面白いなと思ったんですよね。

-確かに"ガールズ・バンド"という言葉が似合わないガールズ・バンドで(笑)。

さはら:いまでもガールズ・バンドのイベントに行くと浮くんですよね。ベースめっちゃ歪んでるし、大体始まりは爆発音だし(笑)。

やがわ:だから"アンダーグラウンド・ガールズ・バンド"って言ってるんです(笑)。

-おお、それはいい形容です(笑)。そして2012年4月からライヴを主体にした活動を始めて、そこでデモ音源を配布したり販売していき、今回初の全国流通ともなるミニ・アルバム『フカシンリョウイキ』にたどり着いたと。収録曲はどの曲も入り口は日常的なのに、そこから異世界に落ちていくような感覚があったと感じました。だからメイン・コンポーザーがさはらさんとやがわさんのお2人なのにも驚いて。

さはら:一応浮遊スル猫のカラーにあんまりはずれないようには考えています。いまあるものじゃなく、新しいものを作り出したいというのはあるので、○○っぽいとは言われないようなものは作りたいなとは、やがわもわたしも思っていて。結構メロは王道なものは多いかもしれないですけど、アレンジでちょっとびっくりさせたい。聴いている人が飽きないように曲を作っています。

おみ:それぞれが作る曲はそれぞれの個性があって。それで3人で合わせていくと、浮遊スル猫としての曲になっていく感じです。

やがわ:ドラムに関してはさはらもわたしもわからないので、おみちゃんに曲を渡してアレンジしてもらって......そうすると自分が作った曲のままではなく、新しいものになる。それがすごく面白いですね。足されることで曲が生まれ変わるというか。自分たちもどういうジャンルになるのかが全然わからなくて(笑)。ライヴハウスでもよくジャンルを訊かれたりするんですけど、それに答えられなかったりして。

-独特の空気感はあると思います。エモーショナルなさはらさんのヴォーカルと、クールでキュートなやがわさんのツイン・ヴォーカルのコントラストは、まず強い印象を残しますから。

さはら:最初はツイン・ヴォーカルではなく、彼女がコーラスだったんですけど、1枚目のデモに入っている「俯瞰」という曲でやがわがヴォーカルを取って"あ、やがわも歌えるな"と思って(笑)。結構声も通るし、わたしとは全然声質も違うんで、わたしが歌っているプラス、要所要所でやがわのヴォーカルが入ってきたら曲もガラッと変わるしアクセントにもなるのでそれからツイン・ヴォーカルになりました。