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INTERVIEW

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THE DRUMS

 

THE DRUMS

Member:Jonathan Pierce(Vo) Jacob Graham(Syn)

Interviewer:伊藤 洋輔


-……なんですか、それ(笑)?

Jonathan:え~っと(笑)……これね、昨夜はおもしろいプロモーターだったんだよ。すっごく熱く語る人で、“バンドがファッションのイベントでDJするってどれだけ画期的で革命的なことで凄いことなんだぞ!”って切々と語ってくれたんだけど、僕らはそれってよくある話じゃないかなぁ~って思ってた(笑)。

Jacob:珍しくないもないだろうって(笑)。

-ハハハ、なるほど。

Jonathan:凄くいい人でファッションにも音楽にも熱い気持ちを持った人物だったからその想いは伝わって、それがあの親密ないい空間が生まれた要因だったのかもしれないけど、それは画期的でも革命的でもないだろうと(笑)。

Jacob:その言い方がおもしろかったんだよ、大袈裟なリアクションで“ミュ~ジック”と“ファ~ション”って(笑)。

-わかりました(笑)。ちなみにふたりのファッションのこだわりってあります?

Jacob:どうだろう?このブランドが好きっていうのはないんだけど、最近はずっとブラウンのベストがお気に入りでず~っと着てるんだ。けっこう汚れてきたかな? でもお気に入りで、なんかこれ中心でファッションしているようなサイクルがあるよ。

Jonathan:僕らファッションも音楽も似ている点として、個々それぞれの良質な部分をピックアップして自分らしさを表現する、というのがあるな。ひとつのブランドのすべてが好きで統一するんじゃなくて、例えばこのブランドのジャケットは好きだけどシャツは違うブランドが好きっていう形だよね。音楽も好きなアルバム1枚というより楽曲単位で好きなものがいろいろあるし。まぁ、すべて素晴らしいアルバムもあることはあるけど、どっちかって言うとシングルの良さを意識するから。

Jacob:何を表現したいのかという意図がハッキリと見えていれば、どれだけの違った物を集めて表現しても自分らしさが生まれると思うし、その良さは人に伝わるはずだよ。

-うんうん。では昨年夏にリリースした2ndアルバム『Portamento』について伺いますが、リリースしてからある程度時間が経ちますが、今現在客観的にみてどのように思いますか?

Jonathan:うん、素直にお気に入りのアルバムと言えるね。デビュー・アルバムは僕らの持っているものをすべて吐き出したという感じがあるんだけど、今回は聴き手を意識せざる得ない部分があったんだ。1枚目が支持されれば次も自ずと期待はされるよね? それは無視できないし、2枚目であるからこそしょうがないことなんだけど、自分たちのやりたい音楽とその意識を持ってレコーディングに取り組んだのは始めてだったから、ある意味冒険的なアルバムとも言えるよね。やっぱり浅はかなものは作りたくなかったし、僕らにも聴き手にも意味があるものを作りたかった。今はそんな想いが満足できるアルバムになったと感じているよ。

Jacob:だから1枚目と2枚目には隔たりがある。作り方、意識の違いとしてのね。じゃあ具体的にどこのパートや歌詞が聴き手を意識せざる得ない部分か、って言うのは難しいんだけど、確かにそれはあるんだ。

Jonathan:とにかく意味のある言葉を吐き出したかった。すごくロマンティックであってね。

Jacob:デビュー・アルバムの制作途中で、なんか親近感が薄れるというか、楽曲の意味を見失ったような感じがしたんだよね。それでもあの頃はレコーディングをやり通したんだ。今回は同じような想いはしたくなかったし……逆にこうして時間が経つと昔の曲に新たな意味を見出せてプレイできるけどね。

Jonathan:それって別れた恋人といくらか時間が経ち偶然出会う感じかもね。別れた当初はもう考えたくもないって拒否しちゃうけど、ある程度時間が経ったらぎこちなくも話せるような……。

-昨年2ndアルバム・リリース時にメール・インタビューした際、“愛や喪失、曖昧さや無神論とかを歌った”と答えていましたが、意味のある言葉としてそれらを歌った理由とは?

Jonathan:無神論と言ってもメンバーそれぞれ宗教観は違うから、あくまでそれは歌詞を書いている僕個人の意見ということは言っておかないとね(笑)。1枚目から2枚目って約1年ちょっとの短いスパンでリリースしたんだけど、その短い間にホントいろいろなことがあった。その……理由は教えないけど、もう神様なんて信じないって決断することがあったんだよ。昔からあまり信じていなかったんだけど、それが確信になった出来事が。

Jacob:うん、僕らのリアリティがアルバムには詰まってるね。長いツアーで世界を回ると現実的な厳しさも知ったし。それと僕らはデビュー時に急に注目されてしまって、“自分たちが今まで信じていたことは何だったのか?”と混乱してしまったと思う。だからいろいろと内省的に考えるようになっていったんだ。Jonathanは無神論者になったけど、僕はクリスチャンだったけどキリスト教で納得できない部分があったからクエーカー教徒になってしまった。本当にこの僅かな時間の間にあらゆることが起き、僕らは変化していったんだ。そんな状態で昔のような音楽を作ることは難しいよね? やっぱりこの変化した僕らをうまく表現できて、聴き手に訴えかけることができれば最高だと思うよ。

-わかりました。最後に今後の目標、挑戦したいことなど教えてください。

Jonathan:正直に言うと今夜のライヴで一旦ツアーが終わって、やっとNYの安アパートに帰れるから嬉しいんだ(笑)。大袈裟には言えないけど、ひっそりとツアーを終えるお祝いムードな感じかな?まぁ、地元で少しだけ休んで、またいろいろとこれからのことが見えてくるんじゃないかなぁ。あんまり先のことは考えたくないし、考えられないとも思う。うん、だから今答える目標は家に籠もることって言っちゃうな(笑)。

Jacob:ハハハ、僕はまだまだアルバムをリリースしたいって思ってるよ。そう言っておかないと!