Japanese
INORAN
2022年03月号掲載
Writer 杉江 由紀
崇高且つ先鋭的な芸術が交錯していく様。その光景は実に情熱的なダイナミズムに溢れているうえ、とても奥深い味わいをたたえていると言えよう。
かねてより、LUNA SEAのSUGIZO(Gt/Vn)とINORAN(Gt)それぞれにお互いのソロ・プロジェクトで対峙し共演してきたライヴ・イベント・シリーズの第3弾"SUGIZO vs INORAN PRESENTS BEST BOUT 2021~L2/5~"の模様が、このたび3月9日にライヴBlu-ray『SUGIZO vs INORAN PRESENTS BEST BOUT 2021~L2/5~』として、世に出ることとなった。これは2021年6月9日(ロックの日!)に本イベント・シリーズ史上初の無観客配信スタイルにて行われたもので、当日はSUGIZOとINORANによるライヴ・パフォーマンスのみならず、同時進行的に画家の荻野綱久がライヴ・ペインティングを刻々と展開していくという、三者の卓越したセンスを持った芸術家たちによる臨場感を生かした、"音楽とアートの融合"を体現した希有なる表現の場となったのである。
なお、こちらのBlu-ray作品中では、SUGIZOとINORANが互いにショート・サイズのステージを重ねていき、結果的に両者とも2部構成のライヴを完遂する構成になっているのだが、例えばこのような企画性の高いイベントを有観客スタイルで開催した場合、ともすれば場内後方などにいる観客にとっては"音こそ聴こえても、ステージ上でどんなライヴ・ペインティングが行われているのかよくわからない"といった事態が発生する可能性もあるため、こうしたイベントの趣旨や特性を考えればあえて公演そのものは無観客で行い、観衆はそれを音+映像として堪能するというかたちが、むしろ最も理想的だったとも考えられはしまいか。SUGIZOがギターだけでなく繊細な指遣いでヴァイオリンを奏でる姿や、INORANがギターを持たずにマイク・スタンドの前に立って歌うエモい姿、荻野が躍動しながら筆を走らせていく姿など、見どころは多数だ。
"このご時世に、こうして"BEST BOUT"をみんなに届けることができて本当に嬉しく思います。INORANとSUGIZOと、荻野氏との愛のバトル・ロイヤルを楽しんでもらえましたか? いつか近い将来このパンデミックと痛みから解放されて、世界から飢餓や紛争がなくなって、地球が環境破壊と温暖化から脱却して、この星が真の平穏と安堵を手にできますように。最後にこの曲を贈ります。未来へ希望と祈りを込めて――"(SUGIZO)。
こんなSUGIZOの言葉を受けて最後に演奏された「2050」は、SUGIZOとINORANの両者によって、この日のために制作され、プレイされたもので、この曲の終わりと同時に完成した荻野による絵に描かれていたのは、2016年の初開催時から"BEST BOUT"の象徴として公式グッズなどにもデザインされてきた、伝説の霊獣 龍と鳳凰が向き合う気高く美しい姿にほかならない。
いわゆる生の有観客ライヴとは別次元の、極めて現代的で画期的なパフォーマンスの在り方というものをSUGIZO、INORAN、荻野が三位一体となって伝えてくれているこのライヴBlu-ray『SUGIZO vs INORAN PRESENTS BEST BOUT 2021~L2/5~』については、当日の配信を見逃した方たちや、改めてあのプレミアムな時間を好きなときに何度でも追体験したいという方々に、ぜひご覧いただければと思う。
一方、この作品がリリースされる3月9日には、INORANが昨年2021年9月にLIQUIDROOM ebisuにて開催した有観客ライヴ"TOKYO 5 NIGHTS"の様子をパッケージした、Blu-ray『INORAN -TOKYO 5 NIGHTS- BACK TO THE ROCK'N ROLL』も同時発売されるのだが、こちらも単なるライヴ映像作品とは一線を画したドキュメンタリーを含むものとなっているため、LUNA SEAのファン、INORANのファンにとっては見逃せない作品となっている。
そもそも、有観客ライヴ"TOKYO 5 NIGHTS"は本来であれば、INORANの50歳の節目を祝う記念企画として2020年に行われる予定だったが、コロナ禍による影響で延期になり1年越しでようやく実現した公演だったという経緯がある。
"今日は僕の51回目の誕生日で、いわゆるバースデー・ライヴというものになるんですが、やっぱりこのバンド・メンバーで音を鳴らすことは、これからも何があろうとやり続けたいなと感じてます。この「TOKYO 5 NIGHTS」をやる前には過去の自分のアルバムを聴き直したり、過去のツアーのDVDを改めて観たりもしたんだけど、でも僕は「あぁ、あの頃は良かったなぁ」とは思わなかった。むしろ「絶対にこの先も、ヨーロッパ・ツアーとかアジア・ツアーとか、日本のツアーも、また時が来たらたくさんやろう!!」と感じてて。そう思えるバンドと今こうして一緒に演奏できていること、みんなとこの場でグルーヴできてることがとてもとても幸せなことだと本当に感謝してます。人との繋がりとか、友と信じあうこととか、そういうことを考えさせられた時間が何ヶ月もあったと思うけど、それはとても尊いものなんだなと改めて思ったし、音楽人としてそういう想いをこれからも届け続ける、そして進み続けるという気持ちで、僕は希望を持ってこれからも活動をしていきたいと思います"(INORAN)。
2020年9月の『Libertine Dreams』、2021年2月の『Between The World And Me』、さらに2021年10月の『ANY DAY NOW』と続いた、コロナ禍での 3部作では、それまでのバンド体制でのアルバム作りという手法をとることなく、あくまでもひとりで完結する音楽創作に取り組んできたINORANにとって、この久しぶりのロックなバンド・スタイルでの有観客ライヴは相当意義深いものとなった、ということだろう。今作には"TOKYO 5 NIGHTS"の内、INORANの誕生日である9月29日の2ndステージのライヴと、5日間10公演の動向を追い、撮りおろしインタビュー映像も収めた密着ドキュメンタリー"INORAN-Perspective 10-"が収録されており、ドキュメンタリーに関してはタイトル通り"10の視点"をコンセプトに映像作家、安田潤司が制作したものとなっている。つまり、今作はオン・ステージのINORANとオフ・ステージのINORANを一挙に楽しめる贅沢仕様となる。
崇高且つ先鋭的な芸術が交錯していく、秀逸な『SUGIZO vs INORAN PRESENTS BEST BOUT 2021~L2/5~』。生々しくロックで、ドキュメントな『INORAN -TOKYO 5 NIGHTS- BACK TO THE ROCK'N ROLL』。要はどちらも必見なり!!
▼リリース情報
SUGIZO / INORAN
ライヴBlu-ray
『SUGIZO vs INORAN PRESENTS BEST BOUT 2021 ~L2/5~』
2022.03.09 ON SALE
[KING RECORDS]
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・三方背BOX仕様+フォトブック封入
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TOWER RECORDS
HMV
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【通常版】
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TOWER RECORDS
HMV
<SUGIZO Part.1>
Nova Terra
IRA
TELL ME WHY NOT PSYCHEDELIA?
NO MORE NUKES PLAY THE GUITAR
<INORAN Part.1>
Hard Right
Adrenaline Rush
Libertine Dreams
Between The World And Me
Don't Bring Me Down
Shaking Trees
<SUGIZO Part.2>
絶彩
ENOLA GAY RELOADED
禊
<INORAN Part.2>
Purpose
Soul Ain't For SaleMissing Piece
Missing Piece
Soundscapes
Leap of Faith
<SUGIZO & INORAN>
2050
Recorded on Wednesday, June 9th, 2021
INORAN
ライヴ&ドキュメンタリーBlu-ray
『INORAN -TOKYO 5 NIGHTS- BACK TO THE ROCK'N ROLL』
![]()
2022.03.09 ON SALE
KIXM-483/¥7,480(税込)
[KING RECORDS]
amazon
TOWER RECORDS
HMV
[収録内容]
・Live [INORAN TOKYO 5 NIGHTS BACK TO THE ROCK'N ROLL]
1. SE
2. grace and glory
3. Get a feeling
4. Daylight
5 .Beautiful Now
6. Don't you worry
7. Come Away With Me
8. COWBOY PUNI-SHIT
9. Hide and Seek
10 .We've Lost Control
11. Rightaway
12. All We Are
Recorded at LIQUIDROOM on September,29,2021
・Documentary: PERSPECTIVE 10
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