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INTERVIEW

Japanese

INORAN

2021年11月号掲載

INORAN

インタビュアー:杉江 由紀

3部作ここに完結。2020年9月に『Libertine Dreams』、今年2月には『Between The World And Me』が発表されてきたなかで、このたびそれらに次ぐ第3弾作品として発表されるのが『ANY DAY NOW』だ。引き続きマスタリングをLADY GAGAやJustin Bieber、Taylor Swift、Ariana Grande、MUSE、ADELEなどを手掛けるRandy Merrillが務めている点も興味深いが、何よりINORANというアーティストの描くドキュメント性の強い今作は、あなたに今この時代を生き抜いていくうえで必要な気づきをきっと多く与えてくれるはずだ。

-9月末にはお誕生日記念も兼ねたソロ・ライヴ("INORAN -TOKYO 5 NIGHTS- BACK TO THE ROCK'N ROLL")が5日間行われたとのことで、まずはこのたび有観客ソロ・ライヴを行われた手応えについて教えていただけますか。

ソロ・ライヴもそうだし、今はLUNA SEAでもツアーを回ってるんだけど、やっぱり確実に進化はしていってるよね。今思うと、昔から"何があったって俺たちは負けない!"みたいなことをよく言ってたくせに、いざコロナ禍なんていう予想もしない事態に見舞われてみると、意外に打たれ弱かったというかさ(苦笑)。2020年の春以降はいろいろと戸惑ったり葛藤したりすることもあったにせよ、今はみんなも勇気を持ってライヴ会場に来てくれてるし、僕らもみんなの勇気を無駄にしないように心掛けながら、お互いに最終的には"楽しかったね"って思うことができるように、ライヴをやってるわけです。幸い、この間のソロ・ライヴでもそれは実現できたと思うしね。ひとつずついろんなことを進化させながら、演者側としては、音楽ファンのためにも僕ら自身のためにも、ライヴという場は失わないようにしていきたいと考えているんですよ。ちょっと生意気を言わせてもらうなら、マスクは取れなくても、みんなの目を見るだけでも表情がわかるようになってきてるし、コール&レスポンスがなくても、みんなとちゃんと繋がれるんだって、この1年ですごく鍛えられました。コロナ禍で大変なことはたくさんあるけど、それでも得たものだってたくさんあるんです。

-コロナ禍と言えば、2020年9月に『Libertine Dreams』(13thアルバム)、今年2月には『Between The World And Me』(14thアルバム)が発表されてきたなかで、このたびそれらに次ぐ第3弾作品として完成した『ANY DAY NOW』も、間違いなくコロナ禍以降に生まれた作品になるかと思います。また、今作については公式資料に"3部作の完結編"というコピーが見受けられるのですけれど、INORANさんは当初からこの着地点を意識されていたのでしょうか。

そこまで大げさに"完結編にしよう!"と意気込んでいたわけではないんだけど(笑)、前作『Between The World And Me』を作り終わったあと、引き続き同じスタッフや体制で今年に入ってまた作り出したのが今回のアルバムですね。コロナ禍になって"それでも止まりたくない"とか、"止まるのは嫌だ"という意思表示をずっと作品の中でしてきて、コロナ禍になる以前とは違う環境で作り出した3枚目の作品という意味では、確かにこれがひとつの区切りになるところはあると思います。ただ、去年の2枚を作っていたときと今回の3枚目を作っていたときでは、描く未来像が結構変わってきたところがあるかな。特に、今年に入ってまた緊急事態宣言が出たときには、以前よりもさらに強いかたちで"止まっていられない"、"嘆いていられない"という気持ちを持つようになったんですよ。そこのところが、今回の『ANY DAY NOW』にはかなり反映されたと思います。

-サウンドの雰囲気としては、基本的に『Libertine Dreams』と『Between The World And Me』の延長線上であるものの、今作『ANY DAY NOW』からは、イメージ的にどこか風通しが良くなっているような印象を受けます。これもきっと、INORANさんの心理状態が作品にそのまま投影されているところなのでしょうね。

まさしくそう。これはきっとみんなも感じていることだとは思うんだけど、去年あたりはまだ"もとの世界に戻ったらいいな"って考えたりもしてたんです。だけど、今年に入ってからは"これはもうもとの世界には戻らないんだな"って感じた。だとすれば、あとはもう"新しい世界で幸せを作っていこう"という姿勢が大事になってくるでしょ? そして、今の自分が目指すなら"風通しのいいところ"だよねって思ったんですよ。

-なお、今作も歌詞は全編英語となりますが、いくつかの曲で"光"という言葉が使われていますよね。そのあたりも今作のポジティヴな雰囲気を象徴している点だと感じます。

そうなんですよ。今回も歌詞は書いてもらっているんですけど、依頼をするときに、"光"という言葉を使ってほしいと言ったかどうかまでは覚えていないですが、外に向かっていく意識とか、"失ったものを取り戻す"とかではなくて、"失いそうになったものの中でも特に大切なものはこれだったよね。それをこれからもっと磨いて光らせていこう"みたいな気持ちとか、未来とか、希望とか、今だからこそ書いてほしいのはこういうことなんだよという話は伝えてましたし、実際にできあがってきた歌詞はどれも今の自分のリアルな気持ちと重なりました。

-そして、今作中におけるリード・チューンは「Wherever,Whenever」となっているそうですが、この曲を選出された理由がなんだったのかも教えていただきたいです。

最初は別の曲にするはずだったんです。でも、歌を入れてラフ・ミックスをした段階で"あぁ、これは力がある曲だな"と思って、それでこれになったという経緯でした。歌声のトーンとバック・トラックの音、そして歌詞のフィット感が非常に良かったんですよね。音楽制作って、途中で急にそういう化学変化が起きるから面白いんです。曲を作った最初の段階では、予想のできなかった仕上がりになりました。

-リード・チューン以外にも、もう1曲推し曲を挙げていたたくことはできますか?

僕は「Feel It In The Air」も大好き。これは言わば、ニュー・ディスコね。BTSに感化されて作りました! ...っていうのは嘘ですよ(笑)。流れとしては『Libertine Dreams』に入れた「Soundscapes」でトライしたことを、ここでさらなる完成形に持っていった感じかな。聴いているとアガるタイプの曲になってます。あとは、アルバムの最後に入っている「Dancin' in the Moonlight」も好き。意外と、今までにあったようでなかった感じの曲になってる。アルバム自体は基本的に昼間の太陽のもとで聴きたい雰囲気にはなってるんだけど、この曲で"今日もいい1日だったね"って1日を終えるような感じで締めくくれたというか。"さらに明日もいい日でありますように"っていう願いも込めたうえで、この作品を完結させるようにしたかったんです。