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Dinosaur Pile-Up

2015年08月号掲載

Dinosaur Pile-Up

Writer 山口 智男

昨年、"SUMMER SONIC"に出演し、ほぼ無名に近い存在にもかかわらず、爆音の演奏で会場を沸かせたDinosaur Pile-Up(以下:DPU)が再び爆音を轟かせるため、サマソニに帰ってくる。
"(サマソニで)新曲を披露できるなんて、すごくエキサイティングだし、日本のみんなは僕らのことを我が家に帰ってきたみたいに迎えてくれるしね。今から日本に行ける日を指折り数えてる。待ちきれないよ!"
バンドのフロントマン、Matt Bigland(Vo / Gt)は海の向こうからそんなコメントを送ってくれたが、サマソニをきっかけにその存在を印象づけたDPUは昨年10月、2ndアルバムにボーナス・トラックを加えた『Nature Nurture(Japan Edition)』をリリースしたのち、東京と大阪でBLUE ENCOUNTをゲストに迎え、VSスタイルのライヴを行い、ここ日本においても着実にファンを増やしてきた。2年連続出演となる今回のサマソニでもその爆音の演奏にノックアウトされるロック・ファンが続出するに違いない。
 
DPUが日本で歓迎された理由は、90年代グランジ/オルタナティヴ・ロック・サウンドのリヴァイヴァルという形で、大音量の音楽を浴びるように楽しむロック本来の醍醐味を今一度、ロック・ファンに提示したことに尽きると思うが、表題曲の他、新曲が計4曲収録された最新作『11:11 EP』は、そんなDPUの魅力を改めてアピールするにはもってこいの作品だ。そもそもはMattのソロ・プロジェクトとしてスタートしたため、これまでレコーディングではMattがすべての楽器を演奏していたが、プロデュースを担当したTom Dalgetyのサジェスチョンで、今回はMatt、Mike Sheils(Dr)、Jim Cratchley(Ba)というこの数年、ステージを共にしてきたラインナップでレコーディングを行ったためか、轟音のロック・サウンドはさらにパワーアップした印象がある。DPUが得意としているヘヴィなリフを畳み掛けるTrack.1「11:11」は、3人でジャムっているときにできたリフが元になっているというMattの言葉からMatt、Mike、Jimが特別な関係にあることが窺える。
"それが新曲作りの第一歩だった。その曲のデモを、マネージャーがTomに聴かせたところ、電話がかかってきて、めちゃめちゃいいじゃないか!と言ってくれたんだ"(Matt)
そこからDalgetyとのコラボレーションがスタート。昨年、全英No.1ヒットになったROYAL BLOODのデビュー・アルバムを手がけたDalgetyは最初の2曲を聴いただけで、DPUの大ファンになったそうだ。
"DPUは僕が好きなものをすべて持っている。かっこいいリフ。迫力あるドラム。キャッチーなサビ。今回は前2作とは違うアプローチをしてみた。バンドがライヴしているようにレコーディングしたんだ。結果、今まで以上にインパクトのあるサウンドに。派手でヘヴィなサウンドが作れたんだ"(Tom)
 
今年、結成40年を迎えたイギリスの暴走ロックンロール・バンド、MOTORHEADにオマージュを捧げたTrack.2「Bad Penny」は、曲に宿らせた疾走感が新鮮だ。轟音のギター・サウンドとポップなメロディを組み合わせたTrack.3「Might As Well」も彼らが得意としているタイプの1曲。そしてラストのTrack.4「Replace Me」は周囲がOASISやBLURを聴いている中で、ただひとりNIRVANAやRAGE AGAINST THE MACHINEを聴いていたというMattのルーツを物語る正調グランジ・ナンバーだ。
現在のDPUの絶好調を伝えると同時に轟音のひと言では表現しきれないポテンシャルをアピールする全4曲。8月のサマソニでは、そこからどの曲が披露されても全然不思議ではないが、全員でレコーディングしているんだからライヴで演奏するときも力が入るというものだ。ともあれ、5月からヨーロッパ・ツアーをスタートさせている彼らは万全の状態で日本に戻ってきてくれるに違いない。爆音と聞いて、あまり洋楽に馴染みのないリスナーは、ひょっとしたら敬遠するかもしれないが、Mattが歌うはっきりとしたメロディがその爆音から浮かび上がるDPUの楽曲は、邦楽ロック・ファンにも気に入ってもらえるはず。それは前述したVSスタイルのライヴでBLUE ENCOUNTやWHITE ASHらのファンを少なからず魅了したことでも証明済み。EPはもちろん、サマソニのライヴも要チェック。Dalgetyとはすでにアルバムも完成させており、リリースが今から楽しみだ。

 


Dinosaur Pile-Up
2nd EP
『11:11 EP』
[A-Sketch]
NOW ON SALE
【TOWER RECORDS限定盤】
AZNT-10 \1,000(税別)
TOWER RECORDS 
 
1. 11:11
2. Bad Penny
3. Might As Well
4. Replace Me

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