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爆弾ジョニー

2014年04月号掲載

爆弾ジョニー

Writer 沖 さやこ

この記事を読んでいる皆様に、まずお願いしたいことがある。YouTubeにアップされている「なあ~んにも」のMVをご覧いただきたい。このMVがとにかく素晴らしい。一面眩しいほどの白背景。映るのは5人の姿と5人の機材だけ。こんなにもシンプルなのに、最初から最後まで爆弾ジョニーというバンドの凄味を見せつけ、それを封じ込めた映像。一心不乱に楽器と戯れ音を鳴らす5人の姿も、全員で横並びで肩を組んで歌う姿も、全員が中心に視線を集め"1、2!"と声を合わせる姿も、高らかに"なにもないじゃないか"と歌う姿も、カメラに向かって噛みつくように叫ぶりょーめーの姿も、全員が衝動的に暴れまわる姿も、いちいちすべてが感動的なのだ。音のさわりだけだと"銀杏BOYZの影響を受けているバンドか""忌野清志郎や甲本ヒロトを彷彿させるな"で止まってしまう人もいるかもしれない。そんな人々も、きっと彼らが音楽を鳴らす姿を見れば、それだけではない感情が生まれるはずだ。爆弾ジョニーのロックンロールは、彼ら自身そのものだから。

爆弾ジョニーは1993年度生まれの北海道出身の5人組で、2010年に同じ高校の同級生を中心に結成された。2011年には現役高校生でありながら上田健司がオーナーを務めるKamuy Recordからインディーズ・デビューを果たす。2012年7月にはJOIN ALIVE、8月にはりょーめーがソロでRISING SUN ROCK FESTIVALに出演し、その後りょーめーは映画『赤い季節』にも出演。2013年にはJOIN ALIVEやRSRは勿論、FUJI ROCK FESTIVALのROOKIE A GO-GO、MINAMI WHEELなどにも出演し、よりその知名度を上げる。12月4日にはりょーめーの20歳のバースデーを祝し、渋谷CLUB QUATTROでワンマン・ライヴ"今日から大人っマジでマジで誕生日!!"を開催。このライヴでメジャー・デビューが発表された。2014年2月6日にはZepp Sapporoで上京前最後の札幌ライヴ"北の国から2014~旅立ち~"を行い、ひとつのけじめを迎えた5人。そして4月23日にKi/oon Musicからリリースされるメジャー・デビュー・アルバム『はじめての爆弾ジョニー』はその名の通り入門編とも言える内容。ライヴでお馴染みの「なあ~んにも」「おかしな2人」「キミハキミドリ」など全14曲が新たにレコーディングされている。

爆弾ジョニーが掲げるテーマは「青空ベイビー」でも歌われている"世界平和"。"世界平和の第一歩はみんながふざけること"という理念のもとに活動しているのだが、彼らが行うことはとにかくいちいち面白い。その面白さの理由は"大袈裟"だから。彼らのファッションが物語っているようにいちいちド派手で豪快。全力で背伸びをして、自信に満ち溢れている。それが単なる"粋がる"で終わっていないところは、音楽的造詣の深さだ。パンク、ハード・ロック、フォークにレゲエをしたかと思いきやダンス・ミュージックで魅了し、ラップもするし、ファンクもある。そしてその音の全てが瑞々しい。このバランス感覚は新世代ゆえか、はたまた天性か。その音のなかに君臨するのがりょーめーのヴォーカルだ。聴き手の心臓に言葉を刻み込むようにアグレッシヴなヴォーカルはどうしたって耳を傾けずにいられない。道化を演じていたかと思えば演歌をも凌ぐ熱い大和魂と歌心を聴かせ、ほんのり滲む男の色香にどきりとしてしまう。かつてTHE BLUE HEARTSが歌っていたような"面白いことをたくさんしたい"そんな純粋な感情で突き進むロックンロール。ライヴで彼らと同じくらいの年齢の男子だけでなく、大人たちもが5人を熱視線で見つめ、強く握りしめた拳を突き上げる理由はここだ。こいつらについていけば、"間違いなく面白いことが待っている――そう確信させる圧倒的な存在感が、爆弾ジョニーにはある。

「なあ~んにも」の間奏でりょーめーはこう叫ぶ。
"CDが売れないこのご時世、ロック・バンドは通用しないのか?答えはNOだ、時代を変えるのがロック・バンドのお仕事!いつやる?今だろ!誰がやる?俺らだ!"
平和ボケと言われつつも、常に不安や暗い話題がつきまとうこの日本で、バカみたいにでかい音でこんなことをまっすぐ言い切ってくれるバンドを、ずっと待っていたんだ。

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