Japanese
爆弾ジョニー
Skream! マガジン 2014年08月号掲載
2014.07.06 @渋谷CLUB QUATTRO
Writer 沖 さやこ
爆弾ジョニーが勝負を仕掛けてきた。新曲だらけのアンコールは、まさしくりょーめーがインタビューで語ってくれた通り"ネクスト・ステージ"だったのだ。かねてからライヴで演奏されていた「KNOCK」、2010年代の邦ロックの定番とも言えるシンセが効いた四つ打ちダンス・ロックの「いたいけBOY♂イケナイGIRL♀」、映画"日々ロック"の書き下ろし主題歌「終わりなき午後の冒険者」、高速パンク・ナンバー「ZENSOKU SWAN」――そしてりょーめーは、彼の21歳の誕生日である12月4日にZepp Tokyoでのワンマン・ライヴ開催を高らかに叫んだ。いきなりZepp Tokyo!? そんな急がなくてもいいのでは?と思ったが、ロックンロールで世界平和を成し遂げようとしているバンドが、Zepp Tokyoワンマンをやりきれなくてどうする? ライヴ本編では、これまで積み上げてきたものを最高の状態へと叩き上げてきた爆弾ジョニー。準備は整った。CDが売れず守りに入る今の時代、このメジャーというシーンに、このツアーで彼らはとうとう宣戦布告をしたのだ。
自身がオープニング・テーマも担当した"ピンポン"の主人公、ペコの名台詞のひとつ"ヒーロー見参!"という影アナを合図に、まず5人がぶち込んだのは「イントロ」。カラフルな布で一面を包まれたQUATTROは、彼らの出現でより華やいだ。続いての「なあ~んにも」ではフロアの後方でも熱いシンガロングが次々と湧き起こり、中盤でRCサクセションの「雨上がりの夜空に」を挟み込む「おかしな2人」で、入場時に観客全員に配られたクラッカーが放たれた瞬間はまさしく花火のなかに飛び込んだような衝撃と感動だった。あの匂いもまた優しく鼻を包み、更にテンションを高めていく。他に、爆音を叩きつける「男の子」の間奏でりょーめーがおもちゃのマシンガンをフロアに打ちまくったりなど、様々なパフォーマンスを盛り込み......と、これはわたしが観た今年4月のワンマン、月刊爆弾ジョニーを彷彿させる流れだ。だが、この日のライヴはその焼き増しではない。それを象徴するのは、「なあ~んにも」の最中にりょーめーが言った"力貸してくれ"という言葉だった。全力でふざけて観客を楽しませていた彼らは、観客の力をも自分たちに取り込んで、もっと大きいところへと飛び込もうとしている。その第一歩が、この会場にいる人間ひとり残らず、全員を、爆弾ジョニーというロックンロール・ワールドへ巻き込むことだったのではないだろうか。だから彼らの音楽を強く信頼する人々が彼らの目の前に集結したこの日、5人の演奏には一切の迷いがなかったし、隅々にまでつんのめるような熱い魂と野心が漲っていた。
タイチサンダーが湘南乃風の「純恋歌」を熱唱したり、「メンバー紹介」でロマンチック☆安田がジャズ・テイストの鍵盤でキメたかと思えば小堀ファイヤーがスーパーマリオのメロを弾いたり、キョウスケが往年のロック・スター、Keith Richardsばりのソロでその場をしびれさせたり、見どころを書き上げていくととにかくキリがないのだが、とにかく"世界平和の第一歩はみんながふざけること"の理念からぶれることがない彼らの意識の高さと一貫した意志には、頭が上がらない。彼らの作る音楽の根底にあるのは、もしかしたら悔しさやコンプレックスなのかもしれない。だからこそ悲しい顔をしている人も笑顔にもできるし、真っ向から心臓を握り、奮わすこともできるのではないだろうか。わたしはこの日、ライヴ・レポートでの参加だからと最初は大人しく見ていたわけだが、「キミハキミドリ」から「唯一人」の流れで、気付けばすぐ隣にいた大学生らしき男子2人組とともに熱唱、熱唱。それだけ5人の音は果敢にこちらの心の中に踏み込んでくる。まるで"こっち来いって、ぜってえ楽しいから"と言われ、なかば強引に手を引っ張られるようだ。人の生活をかき回す、ロックってそういうものじゃないか。りょーめーの言った"ロックというものが持つ熱量はすごいものです。田舎の少年たちの人生を左右するような熱量がありますから"という言葉――。この日のライヴはそのとき彼らが感じた熱量を我々にも与えてくれたような気がした。
4月にインタビューしたときに、りょーめーはこう語ってくれた。"これからいろんな弾を撃とうと思ってる。だから、爆弾ジョニー変わったなって絶対言われる感じの新曲をわざと作ってる。ただ、その曲を嘲笑うような曲も作ってるからその後も楽しみだし、ワンマンでわざと作った曲をやるのも楽しみ""どのタイミングで爆弾ジョニーを知っても『はじめての爆弾ジョニー』に辿り着いてほしいな。その気持ちは持ち続けて活動していくと思うから"――「終わりなき午後の冒険者」はその想いの結晶とも言える、疾走感のある8ビートが眩しい、進化の最中を感じさせる生々しい楽曲だった。彼らは口だけではなく、言ったことを必ずひとつずつしっかりと音楽にしている。そんな5人の若きヒーローたちの動向には、どうしたって注目せずにはいられないのだ。
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