ビレッジマンズストア 水野ギイの"家、帰っていいですか?" 第2回
2025年03月号掲載
今日も帰ってますか?早く帰ってください。ビレッジマンズストアの水野ギイだ。
おかげさまで第2回、前回「文字数制限とか聞いてないんですけど大丈夫ですか」と書いたが案の定本誌でしっかり削らされ、レーベルの担当の方に謎に謝られた。おれは謝り専なので謝られたくないんだよ。見ている君は1400文字を越えそうだったら早めに言ってほしい、そろそろ口を閉じろよと。
さて、本題だ。
家に帰りたい気持ちを手紙にして飛ばすこのコラムだが、そもそもなぜ人は帰らないのか。わざわざ連れ立って飲みに行くのか。終電を逃すのか。勝利(帰宅)の為にまずは敵を知らねばならないのではないか。
普段から空気を愛読し、人の機嫌を窺う欄全てにしおりを挟む男ことおれは中立の立場を装っている故に答えを知っている。
「時間を使い合うことで友情や絆を確かめたい」
至ってシンプル。
ではなぜ何度も何度もそれをするのか、それもシンプル、思ったより効果がないからだ。
話は変わるが、君は「クロスションベン」を知っているだろうか。
1つの小便器に男子2人が並びお互いの放物線を交差させたり、時にぶつけ合ったりする秘密の遊びである。
当方腐ってもバンドマン、仲間や同士と苦しさや喜びを分かち合い、最高の共有を何度も経験してきたはずだが、今までの人生で他人と心の距離が1番縮まった瞬間を思い浮かべてみたら、結局クロスションベンだった。
もしかしたらこれを読んでいる全員が同じようなものなんじゃないだろうか。放課後友達の家でやったスマブラ、クラス中をたらい回しにされたアダルトビデオを受け取った瞬間、修学旅行で一緒に買ったメリケンサック。心を通わせることがなぜあんなに簡単だったのか。そしてなぜ今は何時間ねばっても、共に朝日を見てもそれらを越えられないのか。
記憶はあるし何話したかも3割くらい覚えてる。みんな最高大好きだ、でも次の日にはきっとおれはあいつのことを考えてあげられない。
それぞれのクロスションベンが記憶の底にへばりつき、それを越えられない歯痒さと少しの希望が「今夜こそは」と終電を逃し、お互いのチン毛を燃やすのかもしれない。
ちなみに同じことをすればいいのかもと思い立ち友人とクロスションベンを試みたこともあるが、当時にはなかった謎の跳ね防止気遣いと、ちょっとだけ後ろめたエッチな空気に満たされて終わった。あとおじさんは放物線が歪だった。
おれはもう徹夜明けの繋がりを永遠にすることを諦めてしまったし、あの頃のように遠慮のない凶器のような親近感を他人に向けることはできない。家に帰りたいし君を早く家に帰したい。
そしてだからこそ今でも人の内面に触れる機会である音楽が好きで、たまに距離感の壁をぶっ壊せるライブが大好きだ。
無くした分だけできるようになって、忘れた分だけ解るようになる。
無いものねだりをしているだけで、総量はきっと変わらないのだと思う。
少しだけ湿度を変えた友情だか愛情だかを好きなやつとクロスさせていけたらいい。そう、0時を回る前まで。
というわけで今回はここまで、ただいま!
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