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INTERVIEW

Japanese

ビレッジマンズストア

2024年10月号掲載

ビレッジマンズストア

Member:水野 ギイ(Vo) 岩原 洋平(Gt) ウエムラ(Ba) 坂野 充(Dr)

Interviewer:サイトウ マサヒロ

"名古屋が生んだ暴れ馬"ことビレッジマンズストアが、約3年ぶりの流通CD作品となる4thミニ・アルバム『勝手』を10月23日にリリースする。新メンバー ウエムラを迎えた新体制での新曲3曲を含む全7曲には、二日酔いも筋肉痛も恐れない、21年目にして向こう見ずなエネルギーが満ちる。その源にあるのは、紆余曲折を経た今だからこそ宿る確かな自信だ。Zepp Shinjuku (TOKYO)での20周年記念公演"正しい夜遊びの解"も控える彼等に話を訊いた。

-結成20周年を迎えて、率直にどのような思いを抱いていますか?

水野:あんまり数字に頓着がないというか、"よし20年だ、頑張るぞ!"みたいなことは思ったことがなくて。逆にやめる理由も探したことないし。他のメンバーが抜けるときも"なんでだろう?"って思ってたぐらい、当たり前のようにやってきたから。趣味って終わりがないじゃないですか。その感覚に近い。好きでやってるものに見切りを付けてやめる必要があるのか未だに分かってないから、これからも何年だとか気にせずにやっていくんだろうなという気はしてます。

坂野:うん、別に20年だからどうっていうことはないですね。ただ、今までのメンバーも含めて、みんながいたからこうやって楽しくやってこられたっていうのは感じてます。

岩原:良く言えば個性的、悪く言えばすげぇ不揃いな人間が集まってやってるのに、ここまで続くのは奇跡なんだろうなと。ありがたいことだなと思いますね。僕が加入して12年って言われると、へぇ~って感じですけど。

坂野:他人事みたいな(笑)。

-20年の中で、バンド存続の危機を感じたことは?

水野:各々が自分の感情と折り合いを付けられないときっていうのはもちろんあるけども、絶望的な状況になったことは別になく。結局は好きだからやってることだし。俺はやめようと思ったことはないかな。

岩原:やめるって発想がそもそもないんですよね。何か思うことがあっても、ライヴをやったらポンッて忘れちゃうし。

-これまでずっと、ハングリーな状態を保ち続けてきたバンドだという印象があります。

岩原:満腹になったことはないね(笑)。

水野:常にハングリーにならざるを得ない状況にいるからね。でも、今まで自分が好きになったバンドもそういうメンタルでやってる人たちが多かったから、嬉しいと言えば嬉しいです。自分のなりたいものになれてるんだなって。

-その状況をキープできたのは、何かのきっかけで爆発的にスケールアップすることなく、一歩一歩前進してきたからこそなんじゃないかなと思います。

水野:それはそうですね。"このフェーズに入ったからこうなろう"じゃなくて、あくまで昨日までやってたことが今日に繋がり続けてるバンドだと思う。

岩原:曲作りでも、水野が俺に対して"そんなことできないけど"っていうようなことを求めてきて、でも叶えてあげたくて頑張る、っていうことがずっと続いてて。それが俺のハングリーさになってるのかな。

坂野:ライヴに関しても、これをやろうっていう提案は水野が一番してくれるから。

水野:でも、飛び道具をやるというよりも、その前のライヴで良かったこととかダメだったことから地続きのものを提案してる。

-そうやって、表現したいものが徐々に変わってきたと。

岩原:個人的なことを言うと、"人にこう見られたい"と"自分はこうなりたい"という気持ちをずっと反復横跳びしていて、バンドとしてどういう表現をしたいのかって実はあんまり見えてないんですよね。でも、それを許してくれてるこの人たちは心が広いなと思います。

-バンドの変化として、衣装を赤いスーツから変えたことはアイコニックな出来事だったと思います。

水野:バンドを始めて10年目くらいまでは、"他の人にはできないこんなことができるんだぞ"、"こんなこと思い付いたんだぞ"っていうことをアピールしたかったんです。"こんなバカみたいな服着れないでしょ"みたいな。そうして突飛なことをしないと自分っていうものを表せないと思っていたんですね。でも、最近はそれより、もっと根底にある自分の分かりやすい部分を見てもらおうって考え方に変わってるのかな。だから衣装もそうだけど、あくまで自分がカッコいいと思ってるものを表現したいっていう意志が強いのかもしれない。

岩原:かつては小さい丸からトゲをはみ出させていたけど、今は丸自体をもっと大きくしようということを考えている気がします。

-それは、20年続けてきたことで身に付いた自信の表れなのかもしれない。

水野:かもしれないですね。最初は虚栄心が強かったけれど、着実に自分を認められるようになってきてるから、自分の根底を見せられるようになったのかな。

岩原:羨ましいなぁ。俺はまだそこまで行ってない(笑)。

-2023年3月にはウエムラさんが正式メンバーとして加入しました。改めてその経緯をお聞かせいただけますか?

水野:まずは公募して、おや? と思った人にサポートをしてもらおうと。やっぱり、一緒にライヴをやってみて気持ち良くないと嫌だったから。で、最終的にウエムラとやることに決めて。

-ウエムラさんのどこに惹かれたのでしょう?

水野:それこそ、ハングリーさが強いのがこいつだった。ウエムラは個人で活動してたけど、バンドはやっていなくて、でも人一倍バンドをやりたいって気持ちが強いやつだと思ったから。あと、音楽をわりとなんでも聴くんだけど、結構ロックが好きだと思うんだよね(笑)。話しててもそれがめちゃくちゃ伝わるっていうか。音楽で最強なのってバンド・スタイルでしょ! ってどっかで思ってる。そこがいいなと思いました。

-ウエムラさん自身は、加入が決まってどのような思いを抱きましたか?

ウエムラ:住む家が決まったような気持ちでした。太い大黒柱があって......。

水野:いい家だよ、ここは。

岩原:築20年だからね。

ウエムラ:10代の頃にもバンドをやってたんですけど、そのバンドが解散したときに、バンドって夢がねぇなぁと思ったんですよ。そうやっていろんな夢を諦めて1人で活動してるときに、公募の話があって。

岩原:僕はウエムラと10年くらいの付き合いなんですけど、加入が決まる前から"俺、バンドしてぇっす"って話してたのが印象に残ってて。

水野:でも岩原からしたら、個人活動で実績のあるウエムラを誘っていいのか分からなくて、実際に一緒にやることになるまで何ラリーかあったよね。

坂野:"早く付き合っちゃえよ"状態(笑)。

-そうして再び5人体制となりましたが、同年8月には荒金祐太朗(Gt)さんが活動を休止することになります。4人での活動継続にあたって、どのようにバンドを再構築していったのでしょうか?

水野:いや、5人のままですね。今はもう、欠けてるなっていう状況であるべきなんですよ。荒金祐太朗というギタリストがどういうやつかはめちゃくちゃ分かってるから、あくまであいつがいる状態で完璧になるものをやっておかなくちゃいけないなと思って。戻ってきて違和感が生まれるのは気持ち悪いし。あいつがいるていで、こういうのが好きだろって思いながら曲を作ってる。

-率直に、今のバンドの状態っていうのはどうなんですか?

水野:めちゃくちゃ強くなったと思う。だって、今まで5人でやってたことを、4人でやらざるを得なかったんですよ。最初はめちゃくちゃ不安だったし、何かが足りないってずっと思ってた。だけど最近は、"これ「5」くらいあるぞ"って。祐太朗が戻ってきたら"6"になっちゃうんじゃないのって感じる。久しぶりに観る人がいたとしても、1人足りないとは思わないんじゃないかな。メンバーそれぞれが輝いてて、信頼できて。一人一人の負担はエグいですけど。

坂野:お客さんも、荒金が戻ってきたらこのバンドはどうなるんだろうって感じてると思ってて。僕自身も、もっとヤバいことになる予感がしてます。

-10月23日にリリースされる4thミニ・アルバム『勝手』は"一年前発売を取りやめた超自信作ミニアルバム"とのことですが、改めてリリースの経緯を教えてください。

水野:祐太朗が不調になったのがちょうどレコーディング期間中だったので、一度制作が滞っちゃったんです。途中まで作ってたんですけど、祐太朗の意思が伝わり切らないまま続けるのは嫌で、すでに録り終えてリード曲にする予定だった「みちづれ」だけを出してやめちゃったんですよね。ただ、他所に迷惑を掛けるのは嫌だったから、"(ビレッジマンズストア ツアー2023)勝手にしやがる"というツアーだけは開催して。でも、正直そのツアーはキツかった。試行錯誤してたし、岩原は骨を折るし。