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Japanese

ビレッジマンズストア

Skream! マガジン 2024年12月号掲載

2024.11.17 @Zepp Shinjuku (TOKYO)

Writer : 西平 歩由 Photographer:タカギユウスケ

歩みを止めることなく常にチャレンジを続け、"村立20周年"を迎えたビレッジマンズストア。"名古屋が生んだロックンロール暴れ馬"として5人がZepp Shinjuku (TOKYO)で見せた最強のステージは、まさに向かうところ敵なしであった。

バックドロップのロゴを赤いライトが照らし出し、坂野 充(Dr)、岩原洋平(Gt)、ウエムラ(Ba)が登場すると、現体制となって初めて赤いスーツを身に纏ったメンバーの姿に会場中からは感嘆の声が上がり、盛大な拍手が沸き起こる。ステージに現れるや否や"史上最強の夜遊びが始まるぞ新宿!"と水野ギイ(Vo)が叫ぶと、その合図を皮切りに披露された「WENDY」に1曲目とは思えない程の盛り上がりを見せるフロア。7年前に開催した "正しい夜遊び"("ビレッジマンズストア「正しい夜明け」リリースツアー"名古屋DIAMOND HALL公演)には筆者も参加しており、当時と同じ曲での始まりに胸が熱くなる。

続けて演奏された「勝手にしやがる」では水野もギターを手にし、稲妻型のギターがあまりにも似合っていることに思わず口角が上がってしまった。妖艶且つ焦燥に駆られるようなリフで魅了し、「黙らせないで」のヴァイオレンスな雰囲気と破壊力で会場を熱狂の渦に巻き込んでいく。"100年先"とは言わずどこまでも連れて行ってくれそうな「みちづれ」の力強さにウォール・オブ・デスが起こり、「ビレッジマンズ」で水野が高いジャンプを煽るとフロア全体が揺れる。その勢いのまま披露された「逃げてくあの娘にゃ聴こえない」では岩原とウエムラがダイブし、オーディエンスの頭上でソロを弾き倒す。水野もフロアに飛び込み後方まで運ばれながら「ボーイズハッピーエンド」を歌い上げた。「逃げてくあの娘にゃ聴こえない」の"暴れ馬が暴れないと馬車馬になっちゃうのよ"という歌詞の通り、休む暇を一切与えず繰り広げるパフォーマンスは圧倒的だ。

「1P」で水野が"こんなロック・バンドと戦ってくれる人!"と問い掛けると一斉に拳が上がった。ピンクと緑のレーザーでステージを照らし、同曲のジャケットを彷彿とさせる演出もグッとくる。20周年を迎えたことで"20歳以下は信じない"という曲名の説得力が増した「Don't trust U20」の潔さが清々しく、坂野のパワフルなドラム・ソロ、ウエムラの毒々しいベース・スラップ、岩原のスリリングなギターが鳴り響いた「御礼参り」にヒリヒリさせられる。

水野が首元にマラボー(ストール状の白い羽根)を巻き、演奏されたのは「ビューティフルドリーマー」。久しぶりの姿とレアな楽曲に息を呑むフロアを、「埃の降る街」でさらにノスタルジックなムードに染め上げていく。来年20周年記念ツアーを開催し、ベスト・アルバムをリリースすることを発表し披露された「MIZU-BUKKAKE-LONE」では、風船が降り注いでお祭り騒ぎを加速させ、「臨死ファンクラブ」と「アダルト」の孤独に寄り添うきらめきと初期衝動溢れるサウンドが心に染み入る。

水野が20年間続けてきたことへの感謝、7年前の自分への想いを語り、"一緒に演奏したいっていうやつを見つけました"と紹介し、活動休止中の荒金祐太朗(Gt)が登場するとこの日1番の歓声が上がる。1曲のみの参加ではあったものの、荒金の暗闇を切り開き未来を照らすような鋭いリフが際立つ「サーチライト」で復活したことや、1年3ヶ月ぶりとなる5人揃ってのステージという待ち侘びていた光景は感涙ものだ。

「正しい夜明け」でこの夜がいかに最高だったかを証明し、「Love Me Fender」でロックンロールへの愛情を爆音で鳴らし、「TV MUSIC SHOW」で全身全霊の情熱をステージにぶつけ、"20年って全然足りないね!"と水野が無邪気に笑う。最後に披露された「PINK」では"見てよ 愛の様だ/見てよ 肉の様だ"とシンガロングが起こり、メンバーもオーディエンスもありのままの姿を曝け出すかっこ良さに心を打たれた。

鳴り止まないクラップとメンバーの名前を呼ぶ声に応えるように、水野、岩原、坂野、ウエムラがステージに再び登場し、荒金のことを"完璧だった。仕上げてきてんじゃねぇよ!"と愛のあるいじりでねぎらう。「夢の中ではない」で彼等が20年間積み重ねてきて辿り着いた境地を、"これは夢ではない"と高らかに歌い、「ロマンティックに火をつけて」では、メンバーそれぞれのソロで水野が5人の名前を挙げ、全員揃ってビレッジマンズストアであることを提示する。幾多の夜を乗り越えた先に待っていたステージの最後を飾ったのは「眠れぬ夜は自分のせい」。苦しみを分かち合うような優しさに溢れ、この瞬間を絶対に忘れたくないと感じさせてくれる、そんな一夜を"これからもよろしく。愛し合ってるぜー!!"(水野)と締めくくった。

[Setlist]
1. WENDY
2. 勝手にしやがる
3. 黙らせないで
4. みちづれ
5. ビレッジマンズ
6. 逃げてくあの娘にゃ聴こえない
7. ボーイズハッピーエンド
8. 1P
9. 猫騙し人攫い
10. Don't trust U20
11. 御礼参り
12. ビューティフルドリーマー
13. 埃の降る街
14. MIZU-BUKKAKE-LONE
15. 臨死ファンクラブ
16. アダルト
17. サーチライト
18. 正しい夜明け
19. Love Me Fender
20. TV MUSIC SHOW
21. PINK
En1. 夢の中ではない
En2. ロマンティックに火をつけて
En3. 眠れぬ夜は自分のせい

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