Japanese
G over
Member:Nao(Vo) Yoki(Gt) Aoi(Ba) Ibuki(Dr)
Interviewer:丸井 汐里
自分たちのこのスタイルで勝負できるという形が定まってきた
-そして、大阪公演で発表になったのが、最新アルバム『FATE』のリリース。ツアーとアルバムのタイトルが一緒ですが、どちらが先に決まっていたんですか?
Ibuki:ライヴが先でしたね。今回はライヴのためのアルバムだと思って作った部分があるので。
-ライヴを意識して作ったのはどうしてですか?
Ibuki:G overはライヴをやるようになってまだ2年くらいなんですけど、最近やっと自信を持ってやれるようになってきたんです。演出だけじゃなくて中身も、ライヴに来ないと観られないもの/聴けないものをたくさん出せるようになって、どこの会場に行っても自分たちのこのスタイルで勝負できるという形が定まってきたので、それをさらに強くしたいと思って作りました。
-今作を拝聴していて、Naoさんの歌声の表現力の高さをものすごく感じました。Ibukiさんが書いた歌詞を、どう自分の中に落とし込んで表現しているんですか?
Nao:歌詞をめちゃくちゃ読むんですけど、Ibukiがこういう曲調の曲を作ったときはこういう歌い方を求めているんだろうなっていうのがだいたい分かるんです。たしかに今回のアルバムは、ほぼ全部歌い方が違う。
-IbukiさんはNaoさんが歌うことを意識して歌詞を書いているのか、自分が伝えたいことを重視しているのか、どちらですか?
Ibuki:後者ですね。僕とNaoはベースの性格がちょっと違うんですよ。G overの初期っぽい音楽だとNaoの性格と一致するんですけど、今回はバラエティに富んでいろんな曲を作っているので、ポップな曲とかだとNaoが今まで歌ったことがなかったり、根本の考え方が違うところがあったりするんです。ただ、めちゃくちゃポップな曲の歌詞を書いているときのこっちのマインドとしては"ま、いっか!"っていう(笑)。
Nao:"ほんまに!?"って、たぶん30回くらい確認した(笑)。
-信頼関係があるからこそですよね。
Nao:そう、そういうことや!
-収録された全9曲のうち6曲が新曲で、大阪公演で3曲が初披露されたそうですが、たしかにライヴで盛り上がる様子が目に浮かびますね。披露された曲のうち、2曲目に収録された「DA・堕・だ・打・DANCE GIRL」と3曲目の「最終戦線」は、メロディやギターのリフ、ベースラインがループしていて中毒性を感じました。
Ibuki:1回聴いたら覚えられる曲のほうがいいなと思う部分もあって。僕、ジャズとかフュージョンも好きなので、メロディは動きまくるほうが好きなんですけど、聴きやすさとか聴いていて分かりやすくて楽しいっていうのも重要だと思っているんです。そこを落とし込もうと思ったのが「DA・堕・だ・打・DANCE GIRL」。「最終戦線」は、G overはもともとこういうタッチの楽曲でやってきたので、その要素も入れました。ただ、ライヴでのノリ方を変えてしまうとお客さんが分かりづらくなってしまうので、ノリ方がすぐに分かるようにというのを意識して、この2曲は作っています。
-だからアルバムを通して聴いたときにイメージが湧きやすかったんですね。そして「DA・堕・だ・打・DANCE GIRL」の歌詞は、覚えやすさに加えて語感の気持ち良さがありますね。
Ibuki:僕、歌詞とメロディを同時に制作しないと曲を作れないんです。Aメロの歌詞とメロディを完成させて、そのまま次にBメロの歌詞とメロディを完成させて、サビにいって2A、2B、Cメロっていうふうな作り方をする。サビができてからそこに向かって作るのではなく、先にメロディと歌詞とコード作りまでを終わらせてしまうので、語感がいいのかなと思います。
-一方で「最終戦線」の歌詞はメッセージ性が強くて、荒々しさの中に自分を変えようとする意志が感じられました。作り方や発想が違うのかなと思ったんですが、いかがですか?
Ibuki:「曙光」(2021年リリースのデジタル・シングル)から「Hood」(2022年リリースのデジタル・シングル)までの曲のルーツっぽいところがある曲で、そこをイメージして書いたんですけど、あまり考えてないんですよ。他の曲はキャッチーにしようとか考えたんですけど、この曲は当時の雰囲気ってどうだったっけっていうのを探りながらにしては、結構早く書けて、自然と出てきましたね。多分、このジャンルが得意なんだと思います。
-8曲目の「No Thank you!!??」も初披露されましたが、一緒に歌うと自分も鼓舞されていくような歌詞がいいですね。これはテーマを決めて書いたんですか?
Ibuki:そうです、ファイト・ソングです。僕、嵐も好きで、「エナジーソング~絶好調超!!!!~」みたいな曲を作りたいなと思っていたんです。ただ、歌詞は僕の性格ですね(笑)。あまり難しいことを考えないようにしているのと、そんなに落ち込むことがないので、そこが出たかなと。
-展開がどんどん変わっていって、転調もして、というトラックも歌詞と合っていると思ったのですが、アレンジはどういうふうに進めましたか?
Ibuki:実はこのアルバムの新曲6曲、「DA・堕・だ・打・DANCE GIRL」以外はアレンジも含めて4日くらいで作ってるんです。だから怒涛すぎて覚えていないところもあるんですけど(笑)、リズム重視でしたね。あと「Jumping」(2024年リリースの1stミニ・アルバム『崩壊』収録曲)って曲のリフをイントロで差し込んでいるんですよ。アルバムを出すときにはファンのための曲を1曲入れようっていうのがあって。
Yoki:ファンとの掛け合いができる曲を1曲作りたいっていう。ライヴでコール&レスポンスのコーナーができるように。
Ibuki:今回もそういう曲を入れたいと考えたときに、「Jumping」っぽいイントロ・リフが欲しいなと思ったので、ほぼ同じような感じにしました。
-それが4日でできたっていうのがまたすごい。短納期でいかにバラエティに富んだものを作るかというのも、ある意味挑戦だったかもしれないですね。
Ibuki:僕たちはこのアルバムを持ってツアーに行きたかったので、僕等で決めた納期に僕等が追われるって状態でした。ただ、レコーディング前日に旧「No Thank you!!??」をAoiに聴かせたらすごく酷評されて、作曲人生で一番悩みました。そこから死ぬ気で作り直しましたね。
Aoi:なんか引っ掛かりがないというか、面白くないみたいな(笑)。Ibukiがこんな曲を書いたらいけないと思って言った気がします。
Yoki:でもそういう意見もありがたいで。
Nao:僕はどんなやり取りをして、どんな会話をして、どんなディスカッションをしてるのか、何一つ知らん(笑)。2曲ずつ録ったんですけど、前日に音源と歌詞がLINEに来て、明日これやりますと。前日やで!? と思いながら聴いて覚えて。それで、1曲しか覚えられへんかったのよ。1曲やって、次の曲やるってなったときに、それを覚えながらレコーディングする。で、明日この2曲ですと。怒涛の3日! ジャンルが全然違うし、えらいこと変わるなみたいな。でも面白かった!
-自転車操業状態だったんですね。Yokiさんはその怒涛の中で、この曲のこれをこだわったというところは覚えていますか?
Yoki:バラードが1曲あるんです。「こんなに好きになったのは」っていう、あまりG overにはない曲で。作ってるときから好きやって言ってたんです。哀愁をまず出そうと思って、夜中に作業をやりましたね。
Nao:夜、キッチンに出たときに部屋から悲しいギターが聞こえてきて、どんだけ変わるんや! 俺知らんこれ! と思いながら(笑)。
-Naoさんは歌うにあたって意識したことはありますか?
Nao:バラードは自分の中では得意なほうだなと思っていたので、この曲が一番レコーディングで歌いやすかったです。感情を乗せやすいですよね。あと、この曲のデモだけIbukiが歌ってたんですよ。だから緩急のつけ方が分かりやすかった。それで、ラストのブレイク直前の、"無理やわ"みたいなところの裏声の質が、"もうこれ以上の答えはないです"みたいな、二度とできない歌い方ができたんですよね。腑に落ちました。
-「こんなに好きになったのは」はしっとりした恋愛ソングに対して、7曲目の「season」は同じ恋愛でもハッピー全開ですよね。
Ibuki:そもそもこの2曲はファンの人たちからピュアな恋愛ソングを聴きたいって言われて、僕も書きたいなと思いながらも書いたことがなかったので、やるならアルバムでしかできないなということで挑戦したんです。あとは嵐っぽさを出したのもあります。
Yoki:もろ出したんじゃない?
Ibuki:でも、この曲に関しては行き違いもありまして。ファンの人がライヴで聴いて心が温まるような歌詞の恋愛ソングと、横に手を振れる曲をくださいってYokiから言われていて。
Yoki:僕は2曲オーダーしたんですけど、Ibukiはまとめて1曲にしちゃったっていう。
Ibuki:結果、ハッピーな恋愛の曲のほうが得意なんじゃないかって、作ってみて思いましたね。
-先程の性格が出たって話とも繋がりますね。そして4曲目の「Summer Jump!!」も新曲ですが、爽やかなのに、Naoさんの歌声から夏が思い出になっていくエモさを感じたんですよ。
Nao:僕、夏が大嫌いだから、今回のアルバムの中で夏の曲に対する愛情が一番ない(笑)。
Yoki:デモを聴いたときは爽やかでしかなかったけど、Naoちゃんが歌ったら哀愁が入って。
Nao:いやいや、そういうことじゃない! 俺があまり夏のことを良きものとして捉えてないから。
Yoki:めっちゃ面白かった(笑)。
Nao:夏の風物詩は好きなんですよ。花火とかかき氷とか。いかんせん暑いのが大嫌いなんだ。
-Ibukiさんはこの曲はどういうイメージで作ったんですか?
Ibuki:今回のアルバムで僕が一番作りたかった曲なんですけど、僕は夏、嫌いじゃないんですよ? 歌詞の"みんなでお祭りデート"とかは、僕とYokiが地方出身なんですけど、地方だとあるんですよ。地元の男友達4人くらいで集まったら4人とも彼女いる、みたいな楽しい夏のイメージを書きたくて。サウンドの夏感にも自信があって、メキシコあたりのビートを入れてみたりとか、バックのパーカッションはシンセじゃなくて、海外のボンゴやマラカスを入れたりしたんです。
-なのにNaoさんは夏が嫌いだったんですね(笑)。まだ披露していない曲たちが今後ライヴでどう歌われて、ファンの皆さんとどう共有されていくのかが楽しみになりました。12月にはツアーの東京公演、"Happy End編"を控えていますが、どんなライヴになりそうですか?
Yoki:ここで初解禁情報を! 『FATE』に収録した新曲6曲、全部やります!!
Ibuki:"Happy End編"はめちゃくちゃ楽しいと思うんで、ぜひ来てほしいですね。
Yoki:"Bad End編"からの続きっていう物語があって、大阪公演に来た子も楽しめるような演出にしてます。どうバッドからハッピーに繋がるのかっていうのを、大阪に来た子はぜひ見比べてみてほしいです。
Aoi:初めてのツアーのファイナルでもあるので、タイトル通りハッピーな1日にできたらいいなと思っています。
TOUR INFORMATION
"G over 東阪TOUR 『FATE』"
12月6日(土)duo MUSIC EXCHANGE
[チケット]
一般チケット ¥4,000(ドリンク代別)
ticket board
イープラス
RELEASE INFORMATION
G over
2nd Full Album
『FATE』

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1. Abandonne
2 .DA・堕・だ・打・DANCE GIRL
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