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INTERVIEW

Japanese

kalmia

2023年12月号掲載

kalmia

Member:千葉 一稀(Vo/Gt) つかさ(Gt) アヤケント(Ba) 西村 凌(Dr)

Interviewer:蜂須賀 ちなみ

-「RUN YOUTH (twilight ver.)」は、2020年にリリースした曲(2nd EP『エンドロール』収録)の再録ですね。

千葉:個人的にすごく好きな曲なので、ずっと再録したかったんです。結構前に出した曲だから、新しくkalmiaを知った人に聴いてもらうためには遡ってもらわないといけないんですけど、今回再録することでもっといろいろな人に聴いてもらえるようになるんじゃないかと思いました。レコーディング中、"昔の声若いね"、"声が太くなったね"って言われた覚えがあって。

西村:3年前でしょ? そりゃ変わるよね。

アヤ:今回の"twilight ver."にはシーケンスが入っています。kalmiaの新しい武器をしっかり楽曲に落とし込みつつ、全体的にパワーアップしているのがポイントなんじゃないかと。

-「君と勿忘草」についてはいかがでしょう。

千葉:今回の収録曲の中で作るのが一番難しかった曲です。歌詞は3回ぐらい書き直したんですよ。最終的に失恋の曲になったけど、最初はラヴ・ソングだったし、女性目線で書いてみたり、"いや、違うな"と思って男性目線に切り替えてみたりという試行錯誤もありました。メロディも結構変えたし、テンポもキーも最初とは違いますし。作って、壊して......を今までで一番繰り返した曲です。それでやっと"これだ"と思えるところに落ち着いた。完成して良かったなと安心しています。

-スクラップ&ビルドをここまで何回も繰り返すことは、今まではなかった?

千葉:なかったですね。最近は......というか、この曲を書いて以降は、自分から出てきた歌詞に対していったん"本当に大丈夫かな"と考える時間を作るようにしています。僕は自分の書く歌詞を気に入っているので、今までは初めに出てきたものに対してすぐにOKを出すことも多かったんですけど、最近は"もっといい言い方があるんじゃないか"、"もっといいメロディがあるんじゃないか"と、しっくりくるところを探す作業に時間をかけるようになって。たぶん、"いい曲"の基準が自分の中で高くなったのかなと思います。最近は、自分から出てきたものをいったん疑ってから、GOサインを出すようにしていますね。

-「アストロノート」はどのように生まれた曲ですか?

千葉:僕は曲を書き始めるときに、アニメや小説からインスピレーションを受けるタイプなんですけど、この曲は漫画"宇宙兄弟"を読んで書いた曲です。メンバーに共有するときにも"「宇宙兄弟」の主題歌のつもりで書いた曲です"って送って。

西村:俺、そう言われたからアニメ観たもん。素敵な作品でした。

つかさ:2番Aメロのフレーズがすごく気に入ってるんですけど、ここは"今からロケットが飛ぶよ"みたいな気持ちで作りました。勢いをつけるような感じ。

-いいですね。ロマンチック。

千葉:もともと、"アストロノート"という名前の曲を書いてみたいという気持ちが何年か前からずっとあったんですよ。とはいえ、もっと前に書いていたらこういう曲にならなかったと思っていて。バンド何年もやってきて、いろいろなものを見てきて、いろいろな人に出会って、"宇宙兄弟"という漫画に出会って......そんな今の自分だからこそ書けた曲だと思ってます。

-この曲はkalmiaの王道というか、「utopia」(2021年11月リリースのデジタル・シングル)の系譜を継ぐ、壮大なサウンドスケープを描く曲という感じがしますね。

アヤ:こういうスケールの大きな曲は、kalmiaの一番の得意分野だなと自分たちでも思います。AメロやBメロ、間奏はメロディアスですけど、サビはめちゃめちゃロックを感じるんですよ。曲の中でカラーが分かれているのが、最初にデモを貰ったときからずっと印象的で。

西村:ドラムは、アレンジャーさんからの提案を生かした感じになっています。実は、僕がコロナにかかってしまって、レコーディングが一度延期になってしまったんです。その後別の日にレコーディングをしたんですけど、スケジュールがギリギリで......。僕、いつもはアレンジャーさんから送られてくるデモを聴いて、自分なりに噛み砕きながらフレーズを考えるようにしているんですけど、この曲に関してはちょっと時間がなかったので、わりとデモ通りに演奏しています。そういうやり方は初めてだったんですけど、やってみたら案外いいなって思いましたね。ライヴでやるときは音源とはまた違うアレンジになっているので、ぜひ生で聴いてほしいです。さっき(アヤが)言っていたように、サビがロックな曲ですけど、ライヴではさらにロックな感じが出ていると思います。

-「スタンドバイミー」はウエディング・ソングと解釈してよろしいでしょうか。

千葉:そうですね。"ウエディング・ソングを1曲書いてみてほしい"という話をいただいたのと、自分の周りでも結婚している人が増えてきているから"もう知らない世界の話ではないんだな"と思ったので、一度書いてみてもいいんじゃないかなと。ただ、ウエディング・ソングってすでにいっぱいあるので、"kalmiaがやったらこういう曲になるよね"という曲にしたいなと思って。メロディもストレートに行くんじゃなくて、リズムでちょっと遊んだりしています。"あの空間(結婚式)を楽しんでいる人たちに届けたい曲"というイメージで作っていったので、流れるのは(結婚式の)一番大事な場面じゃなくてもいい。入場のときとか、披露宴とか、楽しい雰囲気のときに流してもらえたら嬉しいです。

-歌詞も千葉さんらしいですよね。

アヤ:ですよね。ウエディング・ソングって"永遠の愛"とかハッピーなテーマの曲が多い印象があるんですけど、この曲の歌詞はすごく生々しいなと思いました。普通、ウエディング・ソングで、部屋で過ごしているときの話とかしないよ。

つかさ:ここ(2番Aメロ)は本当に、部屋でふたりが会話している様子が想像できる。だからギターもLRで会話しているような感じにしたんですけど。

千葉:この部分は、"結局みんな、ふたりで部屋でダラダラしている時間が好きなはずなんだよ"と思いながら書きました。

-アルバムのラストはやはりこの曲に任せたかったですか?

千葉:直感ですけど、この曲にしか任せられないなと思いました。1曲目の「黎明讃歌」は、人生のことについて考えながら、答えを探し求めて歩いてるような曲。ラストの「スタンドバイミー」は、結婚という大事な人とふたりになる瞬間を歌った曲で、それは自分の物語がいったん終わって、新しい物語がスタートする瞬間でもある。「黎明讃歌」で始まり「スタンドバイミー」で終わるのは、自分にとってはマストでした。

-12月1日からは全11公演のツアー[kalmia 2nd mini album 『twilight』release - ROAD TO "twilight" TOUR -]が始まります(※取材は11月上旬)。対バン・アーティストも一部発表されていますね。

千葉:今までいろいろな出会いがありましたけど、コロナがあって解散や活動休止を選んだバンドもいれば、何かの節目なのか、最近また活動休止しちゃうバンドが増えてきている気がして......。そんななかでも繋がれたバンド、"一緒にやっていきたいよね"というバンドに声を掛けさせてもらいました。

アヤ:2020年に『エンドロール』というEPを出したとき、結構大規模なツアー([kalmia 2nd EP「エンドロール」Release tour "終わりの始まり"])を予定していたんですけど、コロナ禍とぶつかってしまったので、中止になってしまった公演もあったんですよ。コロナが原因で関東以外にはなかなか行けない時期もあったんですけど、その間に閉店してしまったライヴハウスもあって......。今回のツアーで行く新潟のCLUB RIVERST、広島のALMIGHTY、福岡のQueblickは、2020年以降なかなか行けていなかったライヴハウスで、リベンジ・マッチという意味合いもあります。嬉しいスケジュールになったので、この嬉しさをぶつけるようにライヴしたいですね。

つかさ:「黎明讃歌」をみんなで歌えたら嬉しいなと思っています。もうみんなで声を出せるし、僕たちが初めて作ったシンガロング系の曲なので。

西村:僕は前回のツアー([kalmia 2nd EP「エンドロール」Release tour "終わりの始まり"])のときよりも、賢くライヴできそうだなって(笑)。前回はkalmiaにとって初めてのツアーだったから、右も左もわからないまま、しゃかりきになってやっていましたけど、今回は2回目だから、成長した僕らを見てもらえるんじゃないかと。

千葉:ワンステップ上がったkalmiaをみんなに知ってもらえるようなツアーにしたいと思っています。いろいろな土地に行って、改めてkalmiaの音楽を浸透させたいです。