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INTERVIEW

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戌亥とこ(Nornis)

 

戌亥とこ(Nornis)

Member:戌亥 とこ

Interviewer:高橋 美穂

にじさんじに所属するVTuberであり、ヴォーカル・ユニット Nornisでも活動する戌亥とこが、1stミニ・アルバム『Telescope』を完成させた。寂れた和風喫茶で働くメイド服を着た女の子で、足元に本物かどうかはわからないけれど尻尾が見え隠れしている......というミステリアスなキャラクターながら、その歌声はリアル。低く落ち着いた声質で、ロックからバラードまで歌いこなす実力は、それそのものだけでも魅力的だ。『Telescope』では、オリジナル曲の代表曲「地獄屋八丁荒らし」(2022年リリース/11月中旬現在732万回再生)も手掛けたmajikoなど、多彩なクリエイターが関わり、戌亥の才能を後押ししている。今作について詳しく訊いた。

-まずは、1stミニ・アルバムが完成した今の率直な気持ちを教えてください。

実は、まだ手元にないので実感がないっていうのが正直なところなんですけど。CDに限らず、デジタルのリリースや動画での公開など、いろんな方法でみなさんに作品をお届けしていたんですが、共通して、みなさんの目や耳に届いて、やっと完成したっていう実感が沸くんですね。なので、まだ完成を待っているような気持ちです。

-でも、9月9日の配信("【#とこばくたん】誕生日なので逆凸をします。※最後に告知があります!【戌亥とこ/にじさんじ】")で今作のリリースを発表されたじゃないですか。そのときのファンの方々のリアクションを受けて、何か思うところはあったんじゃないんですか。

ただ、あのときは"出るよ"という情報しか出せなかったので、みんな"どんなものになるんだろう?"って。一緒にNornisっていうユニットをやっている町田ちまも同時にミニ・アルバムをリリースするお知らせをしたんですけど、ふたりの作品が出ることを喜んでくれる人もいたし、楽しみにしてくれているんだなって感じてはいるので、みんなに気に入ってもらえるといいなぁという気持ちです。

-そもそも、戌亥さんのルーツというか、影響を受けた音楽、アーティストはどのあたりなのでしょうか。

ルーツっていうほどはっきりしたものを考えたことがあまりないんですけど、ディズニーのアニメーション映画はよく観ていて。どの作品にも素敵な楽曲があるので、より音楽を身近に感じるきっかけにはなりましたね。あと、楽曲や声色の幅で、こんなにいろんな表現ができるのか! って衝撃を受けたのは阿部真央さんです。

-たしかに、美しいだけではないパワフルな歌声というところは、阿部真央さんと共通しているかもしれない。

似せようとか、寄りたいとかは考えたことがないんですけど。とは言え、表現の仕方は自然と参考にしているかもしれないですね。

-ちなみに、ディズニー映画で特に思い入れのある作品を挙げていただくならば?

ほんっとにいっぱいあるんですけど、特に"ポカホンタス"は映像もきれいで楽曲も素敵なので、今でも観返したりしています。

-改めて、ディズニー映画やその音楽のどういうところが魅力だと思いますか?

映画を観ていると、するっと音楽が入ってくる。そのタイミングも自然で、物語に戻る流れも自然で、お話や台詞の中に楽曲が溶け込んでいる感じが好きですね。楽曲単体でもいいんですけど、映画の中で聴くとさらに空気感が変わってくるというか。

-ああいうドラマチック、ファンタジックな世界観は、今の戌亥さんの表現に影響を与えていますか?

影響はあると思いますね。私自身、普段めっちゃ怒るとか悲しむとかがないタイプなんですけど、作品の中って感情がいっぱい盛り込まれているじゃないですか。そういうところから学んでいる感じがします。

-戌亥さんは今VTuber/シンガーとして注目を集めていらっしゃいますけど、どんなところが魅力だとご自身では分析されますか?

もともと声が低いのがコンプレックスで。デビューしますって初めて配信したときに"声低いんですね"、"もっと声高いと思ってた"って言われることも多くて。歌にしても、ハイトーンが得意な人がうらやましいと思っていたときもあるんですけど、でも今はこの低い声を生かして、包容力がある歌を歌えたらいいなぁと思っているし、そういう表現も磨いていきたいと思っています。話し声も、聞いていて落ち着くって言ってもらえることも多いので、まぁ、良かったのかなって(笑)。

-この活動を通して、低い声を肯定的に受け入れられるようになったんですね。

そうですね。みなさんのおかげと言いますか。聴いてくれた人が"この声が好き"、"この声だから落ち着く"って言ってくれることで、"そういう見方もあるんだな"って少しずつ気づいて、じゃあ悪くなかったのかって思えたっていう。

-その魅力は『Telescope』にも表れていると思いました。

良かった、ありがとうございます。

-タイトルが"Telescope"になったのも、「テレスコープ」が戌亥さんにとって、そしてミニ・アルバムにとって重要だったからでしょうか?

そうですね。

-「テレスコープ」をはじめとして、多彩なクリエイターさんが歌詞と曲を提供していますけれど、"この方にお願いしたい"、"この方にこういった歌詞/曲を書いてほしい"というリクエストはしたんでしょうか?

そうですね。私がこの方に作っていただきたいってお願いしたり、スタッフさんからご提案いただいて、私も書いていただきたいと思ったパターンもあって。どのクリエイターさんの楽曲も以前から聴いていたので、それぞれの方の楽曲のこういう雰囲気が好きなので、そこを生かした楽曲を作っていただきたいっていうお話はしました。