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LIVE REPORT

Japanese

Nornis

Skream! マガジン 2024年11月号掲載

2024.09.28 @SENDAI GIGS w/ エナー・アールウェット(O.A.)

Writer : 高橋 美穂 Photographer:小沼 高(Takashi Konuma)
© ANYCOLOR, Inc.

VTuber/バーチャル・ライバー・グループ"にじさんじ"に所属する、戌亥とこ&町田ちまの女性2人組ヴォーカル・ユニット Nornisが、6月19日にリリースした1stミニ・アルバム『Tensegrity』を引っ提げて"Nornis LIVE TOUR 2024 -Tensegrity-"を開催。KT Zepp Yokohama、Zepp Namba (OSAKA)と回ってきた彼女たちがツアー・ファイナルを飾った、9月28日のSENDAI GIGSの模様を、ここではレポートする。
開演前からスクリーンには観客にインタビューする様子が流れ、すでに会場内は楽し気な雰囲気。2階の立ち見までビッシリ埋まっているどころか、カラオケ まねきねことコラボレーションしたライヴ・ビューイングや、ニコニコ生放送でのネット配信等でもファンが見守るなか、いよいよ客電が落ちる。
今回のツアーでは、各地でオープニング・アクトが出演。仙台ではエナー・アールウェットが登場し、「そばかす」(JUDY AND MARY)と「君がいない未来」(Do As Infinity)のカバーを披露した。"初めての生バンドのライヴ"と初々しく話しながらも、いざ演奏が始まると迫力のある歌声を響かせ、早くもフロアは大盛り上がり。
そう、このツアーには生バンドが参加しており中央の背景にスクリーン、その前にアーティスト、そして上手と下手に分かれてバンド・メンバーがオン・ステージ。視覚でも聴覚でも、バーチャルとリアルが自然に溶け合っていた。

そんなことを考えながらオープニング映像を観ていると、いつの間にか戌亥と町田が背中合わせに立っていた。1曲目は「Tensegrity」。2人の声の違いが際立つユニゾンや、それでいて相性のいいハーモニーを、じっくりと聴き入るオーディエンス。フロアがペンライトで真っ赤=彼岸花(リコリス)の色に染まった「Lycoris」、バンド・メンバー 大谷 舞のヴァイオリンが際立つ「Circle of stars」と、神秘的なNornisの世界観が早々に発揮されていく。
かと思いきや、MCではグッとキュートになる2人。町田は"ラスト公演です!"と呼び掛けてオーディエンスを焚き付け、戌亥は仙台名物 牛タンが"分厚いのに柔らかかった"と嬉しそうに話し、フロアとの距離を縮めていく。

続く「Fragment」からは衣装チェンジ。花束を持ち、花びらが散るなか歌い上げると、イントロから"オイ! オイ!"とコールが起こった「Deep Forest」へ。「innocent flowers」でも、間奏で町田が手を振り上げると、すぐに"オイ! オイ!"と呼応するオーディエンス。一人一人がライヴを作っていると思える、ここでしか味わえない一体感があった。
中盤に突入し衣装をもとに戻すと、座って「シネマ」(Vivid BAD SQUAD)、エモーショナルなハモりを響かせた「再会」(LiSA×Uru)と、立て続けにカバーを披露。さらに、楽曲の主人公が憑依したような表現力を見せた「背後に注意」(町田)、シティ・ポップのような懐かしさを感じる「残光」(戌亥)と、それぞれの個性を発揮したソロ・コーナーも。

スクリーンに階段を上っていく映像が映し出されると、辿り着いたのはかわいいベッドルーム。町田と戌亥がベッドに座って歌い出したのは「Min-night」だ。シャボン玉が舞い、夢のような雰囲気に包まれる。続く「夜が明けるまで」では、フロアに手の波が揺れる。まるで、2人の部屋にお邪魔したかのような、アットホームなムードになっていった。
その後にはサプライズが。仙台で初披露となる新曲「Wishing you」が演奏されたのだ。ダイナミックなバンド・サウンドがライヴ映えするバラードに、2人の想いそのもののような歌詞が乗る。この楽曲はライヴ翌日、9月29日に配信リリース。そのスピード感からも、今のNornisの勢いを感じる。
MCでは"休憩時間にNornisの楽曲をジェスチャーで表現している"様子を再現し、なんの曲のジェスチャーか当ててもらうという展開に。しかし、ネット配信で観ていた人は当てたものの、現地のオーディエンスやバンド・メンバーはなかなか当てられず! とはいえ最終的にはめでたく正解したし(「Deep Forest」でした)、舞台裏が見られる貴重な機会ともなった。
ここからはラスト・スパート。Nornisにとってはスパイスのようなパンチのある「ジョハリ」、CO2も立ち昇った「just wonder」と思い切り盛り上げ、この2人だからこそ生み出せるスケールの賜物のような「Ray of Hope」で本編を締めくくった。

力強いアンコールに迎えられて、2人は再登場。虹の前でペンライトを持って「Shangri-la」を歌い、会場内には飛行船も浮かぶ。"Sha la la"のシンガロングは、会場内だけではなくネット配信等で観ている人にも広がっていった。
あまりの祝祭感に"もう1回やろー!"と叫ぶオーディエンス。対して"やらなーい"と笑いながら返す戌亥と、"楽しい時間はあっという間"と噛みしめる町田。そこからグッズ等の告知がスタートし、とどめに"Nornis Orchestra Live「Concerto di luce」"を、2025年3月8日に大宮ソニックシティ 大ホールにて開催することを発表し、大歓声に包まれた。

オープニング・アクトのエナーも揃って全員で記念撮影した後は、町田と戌亥が、それぞれしたためてきた想いを読み上げる。お互いへの想いを"大切で特別な相棒"(町田)、"町田の隣で歌えるなら、どんなステージでも構わない"(戌亥)と伝えると共に、"みんなNornisを見つけてくれてありがとう"(町田)、"熱量と愛を実感するツアーだった"(戌亥)とファンへも感謝を述べた。
そして町田が"たくさん気持ちを込めて歌います"と言って始まった「Try add」で、テープが飛び、ピースフルに大団円。戌亥が言っていたような"大切なものを見つける勇気"を貰える、力強いパフォーマンスだった。
楽曲、歌、演奏、演出どれをとっても"Nornisはジャンルも国境もリアルもバーチャルも超えて、もっと響き渡っていく"と確信できるライヴだった。この実力なら、来春のオーケストラ・ライヴも、間違いなく見応えのあるものになるだろう。楽しみにしていてほしい。

[Setlist]
■エナー・アールウェット(O.A.)
1. そばかす(JUDY AND MARYカバー)
2. 君がいない未来(Do As Infinityカバー)

■Nornis
1. Tensegrity
2. Lycoris
3. Circle of stars
4. Fragment
5. Deep Forest
6. innocent flowers
7. シネマ(Vivid BAD SQUADカバー)
8. 再会(LiSA×Uruカバー)
9. 背後に注意(町田ちま)
10. 残光(戌亥とこ)
11. Min-night
12. 夜が明けるまで
13. Wishing you
14. ジョハリ
15. just wonder
16. Ray of Hope
En1. Shangri-la
En2. Try add

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