Japanese
戌亥とこ(Nornis)
Member:戌亥 とこ
Interviewer:高橋 美穂
何かを目指したりとか、何かに挑戦したり、何かを頑張れたり、そういうきっかけを作れる存在になれたらいい
-そして、繰り返しになりますけど「白夜」もまったく違う曲調で。今作の中では一番ロックでエモーショナルな楽曲ですけど、作詞作曲のbuzzGさんにはそういうリクエストはしたんでしょうか?
はい。buzzGさんの書かれる切なくも激しいロック、まさにエモいみたいな楽曲が大好きなので、そういう感じで書いていただきたいっていうお願いはしました。
-先ほどルーツをうかがったときに、そこまでロックに傾倒された経験はなさそうでしたけれど、それでもご自身の中にはエモーショナルな一面があって、だからこそbuzzGさんにお願いしたのかなって。
そうですね。普段あんまり感情的じゃないぶん、楽曲ではそういうところを出せたら嬉しいなって。
-普段穏やかな方だと、スイッチを入れないと歌うのが難しいのかな? とも思うんですけど、いかがでしたか?
でも「白夜」の歌詞は物語みたいで。"。"やカギカッコが付いていたりするので、そこの世界観に入り込んで歌えました。自分の感情を出すというよりは、楽曲の感情にシンクロしたいと思って歌いましたね。
-それこそディズニー映画というルーツが生かされていますよね。楽曲の物語に寄り添うっていう。
あぁ、たしかに! そうなのかもしれない。
-これって、自分で作詞作曲をするシンガー・ソングライターではない、シンガーの方に必要なスキルである気がします。
そうですね。今までたくさん楽曲を歌わせていただくなかで、収録やライヴで雰囲気が違う楽曲の世界観にパツッと切り替えて入り込めるのは、楽曲ごとに感情移入しているからなのかもしれません。
-そういうところに面白味を感じていらっしゃるし、そういうことが得意だからこそ、いろんな方に楽曲を提供してもらっているのかもしれないですね。
たしかに。いつか作詞もチャレンジしてみたいと思いつつ、自分で何かを作り出すってなると、いろんなものをインプットしたいっていうのがあるので。こうしていろんな方が、私が歌うならこういう楽曲って考えて提供してくださるなかで、私ってこういうイメージなんだって、自分では気づけないことを知っていけるのは嬉しいですね。
-ファンの方に低い声を魅力と教えてもらったところとも通じますけど、いろんな気づきを得てきたシンガーとしての道、という感じがしますね。
はい。VTuberって観てくださる方との距離が近いので、感想がダイレクトに届くんですよ。こういうのを歌ってほしいとか、こういうのが好きっていうのも目に入るし、たくさん勉強させていただいていますね。
-"私はこういうシンガーなんだ、こういうことがしたいんだ"っていう自己主張だけではなく、ファンの方やクリエイターの方と表現を作り上げているというか。
そうですね。いいですよね、みんなで一緒にっていう(笑)。
-そして話をミニ・アルバムに戻すと、ラスト・ナンバーが「残光」。これは本当に美しい楽曲ですね。におさんが作詞作曲ですが、楽曲を受け取ってどう思われましたか。
におさんは世界観も独特ですし、切なさ......夕焼けから夜に変わっていく感じを聴いたときに想像して。そういう哀愁や切なさのインパクトがありました。この楽曲も、映像がふわって浮かぶ感じだったというか。
-その切なさって、戌亥さんの歌声の印象とも重なりますよね。
そうなんです。最近、収録の現場で"声に憂いがある"って言われて(笑)。あぁ、そうなんだっていう。
-低いんだけど、暗くはない、アンニュイな感じなんですよね。まさに夕焼けが似合う声だと思います。
そうですね。グラデーションの時間帯というか。
-全5曲、歌われてどうでした? あまり"この歌は苦労した"っていうお話は出てきていないですけど。
基本的に歌ってて楽しかったし、気持ち良かったです。「残光」に関しては、最初は静かに切なく、だんだん気持ちを込めていく、それこそグラデーションの加減をどうするかっていうところは練習しました。でも収録では、練習していたものを出せたのですんなり、という感じでしたね。
-これから、もっといろんなタイプの歌を歌っていただきたいんですが、シンガーとして新たに見えてきている目標はありますか?
「テレスコープ」は明るめでしたけど、落ち着いた楽曲が多かったので、明るいほうの幅も広げていきたいですね。あと、ちらっとお話が出ましたけど、作詞もしてみたいと思っています。
-活動全体として、やってみたいことはありますか?
ライヴはいっぱいやりたいと思っています。あと、具体的ではない表現になってしまうんですけど、誰かのきっかけになるような活動をしていきたいと思っていて。戌亥とこの歌や活動を知ってくれた人が、何かを目指したりとか、何かに挑戦したり、何かを頑張れたり。そういうきっかけを作れる存在になれたらいいですね。
-戌亥さんご自身にも、そういうきっかけを作ってくれたどなたかがいらっしゃるんですか?
そうなんですよ。私、同じにじさんじ所属の樋口 楓さんのソロ・ライヴを観て、当時はVTuberっていう世界に詳しくはなかったので、こんなことができるんだ! って知って、何かを始めたいと思ったので。バーチャルの世界の生き物が、いわゆる2次元と3次元と、次元が違うところを超えて、同じ空間で何かを届けたり伝えたりできることを目の当たりにしたときに、自分も挑戦したいと思いました。プラス、私が活動を始めてから、こういうのを頑張れましたって、受験とか転職活動を頑張れましたとか、いろんな声をいただいていて。もっと小さなきっかけでもいいので、そういう存在になれたら嬉しいですね。
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