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INTERVIEW

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琴音

琴音

Interviewer:藤坂 綾

勉強になった1枚でもあるし、かなり濃密な1枚にできたかな


-「ライト」はどんな想いを込めて書かれたんですか。

私自身、曲を書いてから詞を書くタイプなんですけど、この曲はサビのメロディが最初にできたんです。でも、作った当初はこのサビをAメロにしようと思っていて。だからそのつもりでBメロとサビを作っていったんですけど、最初に作ったメロディがとてもお気に入りで、Bとサビがどうしてもかすんで聴こえてしまったんです。それでどうしようかなと若菜(拓馬)さんにご相談したら、最初に気に入ったのをAに持ってくると、頑張ってもBとCは広げられなくなってしまうから、サビに持ってきたほうがいいんじゃないかなと言われて、じゃあサビにしますということでサビにしました。で、BとCはボツになるのかなと思いきや、完成形のBと最後の大サビでCが使われることにもなりました。

-すごいですね。きれいにかたちになって。

ほんとにそうですよね。完全にリサイクルされた状態で、無駄になっていないなって。こうしてちゃんと使われたことで自信にもなりましたし、純粋に嬉しかったです。うまくブラッシュアップもしていただきました。

-たしかに。歌詞はどのように?

「ライト」は収録曲の中で最後に制作に取り組んだ楽曲ということもあり、「君に」と映画"金の国 水の国"劇中歌の曲たちを繋ぐというか、馴染む感じにしたいなと考えていました。なので、「君に」を歌ったときのような森の中にいて、そこに木漏れ日が差しているようなイメージを同じように持っていたので、初め若菜さんにデモをお送りしたときは森感を強調したようなアレンジだったんです。でも若菜さんからブラッシュアップしていただいた音源が返ってきたとき、すごく懐かしい感じがして。それが今のアレンジになっていくんですけど、新潟のお家とか田んぼが思い出されるというか、郷愁に浸るような気持ちになったんです。それってデビュー前に作っていた曲の感じに似ている、この感覚懐かしいと思って、じゃあもう歌詞も自然を感じるようなものにしようと考えたんですけど、自然を感じる歌詞ってなんだろうって。

-たしかに、難しいですね。

そうなんです、そこで行き詰まってしまって。だから歌詞もアレンジの懐かしい感じに寄せようと思い、最初はウェディング・ソング系をイメージしていました。ただ若菜さんにご相談したら、どういうウェディング・ソングを作るかにもよると。21歳の結婚観にするのか、大衆的なものに寄せるのかみたいな。そこで、結婚というよりかは、日々、日常の中で感じる幸せを書けたらいいんじゃないかとアドバイスしていただき、そうなるとアレンジの懐かしい感じとも通じてくるし、楽曲とも馴染むのでそうしようとなりました。でも私、ラヴ・ソングを書くのがとても苦手で、過去に何回か作っているんですけど毎回しんどい気持ちになるほど苦手だし、今回作る時間も限られていたので、自分と向き合うとか従来の書き方では到底間に合わないということもあり、作詞家さんのような書き方でトライしてみようかと思いました。

-というのは?

テーマを決めて、それをそのままタイトルにしました。今回は"ライト"をテーマにして、日々の中にある幸せを灯りに喩えて、例えばお家の中の灯りや街灯の灯りなどから、幸せの灯りってどういうものだろうと考えていったんです。それにプラスして、ラヴ・ソングもウェディング・ソングもそうですけど、すでに世にリリースされている楽曲を聴いて、たくさん分析もしました。私はそこまで共感はできないけど、そんな気持ちなんだなというイメージを拝借したりもしました。なので「ライト」は他人の要素と自分の要素が入り交っている歌詞なんです。

-面白いですね。

自分で書いたんですけど、不思議な歌詞だなと。自分で書いたのに共感できないところがあるし。自分の中では摩訶不思議なものができましたけど、これから歳を重ねていくごとに今わからないこともわかっていくのかなと考えると、これからの自分に期待できる楽曲になったのかなと思いますし、すごく勉強にもなった曲ですね。

-「波と海」はショート・フィルムを1本観たような感覚になりました。

これはすごいですよね。私もまさにそのような感じで、最初は歌詞がなくて、ベースとなるメロディをボカロが歌っているようなデモをいただいたんですけど、もうなんのこっちゃわからないという感じで。これをまず覚えなくちゃいけなくて、拍も数えなくちゃいけなくてってなると大変だなと。拍を数えるとどんどんズレていくと思ったので、楽曲冒頭の"海の中"を歌い出す前の拍だけ数えて、あとは雰囲気で最初は覚えていきました。そうしたら逆にうまくいったという。本当に最初は難解だったので、プリプロの段階ではとても苦しんだんですけど、どんな表現で歌っていくかを考えたときに、「波と海」の楽器レコーディングにお邪魔させていただいて、弦やピアノを弾く人たちの想いというか、こだわりみたいなものがちゃんと細部に宿っているなと肌で感じることができたんですよ。歌詞を見たときも、"波と海"って抽象的ではあるんですけど、文章になることでだんだんとイメージも固まってきて、最終的に自分は"波"を表現しようと思って歌いました。

-波ですか。

はい。ザバーンって波もあれば、おおらかな波もあるし、さざ波もあるじゃないですか。ここはこういう波でって考えながら歌ったことで、労力のかかったぶんいい経験になりましたし、この曲についてもすごく勉強になりました。

-この曲、琴音さんにぴったりだなと思ったんです。

あ、本当ですか?

-私の勝手なイメージですけど、琴音さんって芯が強くて、ぶれないイメージがあって。人に振り回されないし、自分軸でしっかり生きてるというか。それってきっといつも自分と向き合って、対話してるからで、私の中では海に潜っていくことは自分の中に潜っていくというイメージだったので、琴音さんそのものだなと。

たしかに、常に考えごとはするタイプなので、自分に潜っていますよね。自分に潜る感覚、新たな知見を得ました。ライヴに向けてその部分も考えてみます。

-楽しみにしてます。では、映画"金の国 水の国"の劇中歌である3曲についてもお話お聞かせください。

「優しい予感」と「Love Birds」はほぼウィスパー・ヴォイスで歌っていて、柔らかさ、朗らかさを突き詰めた感じで、子守唄を歌うような気持ちで歌いました。その雰囲気を感じていただけたら嬉しいですし、「Brand New World」は推進感を強くしたいなと思い、言葉のアタックとかにもこだわってみました。特にサビはコーラスにより声が広がって感じられる部分もあるので、壮大さを楽しんでいただけたらと。映画を観た方はそのときの感覚も思い出していただけたら、より楽しめるのかなと思います。

-改めて、濃い内容の1枚になりましたね。

そうですね。勉強になった1枚でもあるし、かなり濃密な1枚にできたかなと思います。

LIVE INFORMATION
"琴音 Live 2023 -君に-"

6月30日(金)東京 キリスト品川教会 グローリア・チャペル
7月6日(木)大阪 あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール
OPEN 18:00 / START 18:30
[チケット]
全席指定 ¥6,800 / U25チケット ¥5,000
※U25チケットは、入場時に年齢が確認できる証明書(学生証、健康保険証、パスポート、運転免許証、マイナンバーカード等)の提示が必要になります。
※入場時点での年齢が25歳以下の方が対象です。
※年齢が確認できない場合は通常チケット料金との差額をお支払いいただきます。
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