Japanese
Conton Candy
2022年08月号掲載
Member:八島 紬衣(つむぎ/Vo/Gt) 鈴木 楓華(ふうか/Ba) 鈴木 彩楓(さやか/Dr)
Interviewer:吉羽 さおり
高校生だった2018年に結成して、23歳以下限定の音楽コンテスト"TOKYO MUSIC RISE"でグランプリを獲得し、音楽サイト"Eggs"の再生アーティスト・ランキングも常にトップ3に入るなど、10代らしからぬ演奏力と、10代らしい鋭く感受性の高い歌で注目を集めてきたConton Candy。活動休止期間を経て現3ピースになり昨年1st EP『PURE』を発表、そして今年7月27日には2nd EP『angel』をリリースした。3ピースによるノイジーでポップなギター・サウンドとふとしたときに身体を貫く切なさ、痛み、苦みや甘さを丁寧に綴った歌はよりパワー・アップして、バンドの勢いを封じ込めた作品となった『angel』。この1年の思い、曲作りや今作での挑戦について話を訊いた。
-前作EP『PURE』からは1年ほど経ってみて、改めてこんな作品だったなとかはありますか?また、この1年は次の作品に向けてどんなふうに過ごしてきた感じですか?
紬衣:前回の『PURE』は、4ピースの段階でやっていた楽曲とかを、3ピースに再アレンジして制作していったんですけど、今回の2枚目は、3人がデフォルトな形でのスタートだったので、個人的には、どちらかというと1枚目よりも2枚目のほうがスムーズに作りやすかったかなとは思います。
-ライヴも重ねてきて、3人のアンサンブルができあがってきた時間だったんですかね。この1年は結構鍛え上げたなという実感ですか。
紬衣:結構なライヴ数をやっていたので、ムキムキになりました(笑)。
彩楓:ムキムキです。4ピースから3ピースになって初めての1年だったので、1枚目はすごく手探りで、もともとある曲をレコーディングしたという印象だったんですけど、今回はムキムキになれたかなって思います。
楓華:(笑)前作にも3人になってから作った曲はあったんですけど、なんとか音源ができたっていう感じだったんです。今回は、3人になってからライヴで育ててきた曲を録ることもできたし、やりたいことがはっきりした1枚になったので、新しいことにも挑戦してパワー・アップした1枚になったのではと思います。
-「執着」などはライヴでもやってきた曲なんですね。
紬衣:最後の「月と太陽」以外はライヴで何回もやってきていますね。
-ライヴでやってレコーディングができたという感じですね。バンドの密度が高くなっているし、音の表情であるとか表現力が濃い1枚だなっていうのは感じます。これは重ねてきた時間があってこそですね。
紬衣:そうですね。
-曲ができて、ライヴで演奏して、そしてレコーディングへというなかでは曲が変化することはあったんですか。
紬衣:3人が曲作りの段階から同じ方向を見ていることが多いというか、私がデモをふたりに送った段階で、歌詞や曲の内容、構成とかを汲み取ってくれることが多くて。ふたりの気持ちが自分の考えとマッチしていることが多いんです。というのがあって、ここは変えようとか、大きく変化した部分はないんですけど、レコーディングでエンジニアさんに一番助けてもらったのはコーラス面ですね。エンジニアさんと、ここは抜いたほうがいいとか、ここは入れたほうがいいとか、ここはちょっと高いコーラスだけど入れたほうが絶対にかっこ良くなるよっていうのを、一緒に試行錯誤しながらできました。
-デモ段階でもすでに歌詞があるんですね。
紬衣:そうですね。弾き語りみたいな感じでふたりに送ってます。
-歌詞があって曲のイメージ、雰囲気があったうえでアレンジや自分のパートも考えられるんですね。
楓華:スタジオで合わせるときまでに、コードやイメージを掴んでいくんですけど、作るのはだいたいスタジオでっていう感じです。
-練り上げていくのは時間をかける感じですか。
紬衣:最初のゾーンに入るまでは、ヤバい、できないっていうときもあるんですけど、ゾーンに入ってしまえば、3回くらい合わせただけで形ができる曲もあれば、何回スタジオに入っても形にならない曲もありますね。
-今回の中ではスピーディに形になった曲というと?
紬衣:今回だと......。
彩楓:「執着」と「envy」じゃない?
紬衣:あと「月と太陽」は早かったかな。
彩楓:「エンジェルスモーク」が一番大変だったかも。
楓華:闇雲だったよね。見えない! って。
紬衣:「エンジェルスモーク」は、今までのConton Candyの楽曲にはない新しいパンチラインだったので。それで混乱させてしまった部分はあったかなって思いますね(笑)。
-「エンジェルスモーク」は隙間や余白を生かしたサウンドですね。
紬衣:そうですね。自分がバッキングでジャカジャカと弾く以外のことにトライするのが、今回のEPのスタートな気がしているので。その面で、どうしようっていうのはありましたね。
-「エンジェルスモーク」をどういう感じのサウンドにしたいかのイメージは、紬衣さんからふたりに伝えたんですか。
紬衣:ドラムは8ビートでずっと走っていてほしいって伝えていて、落ちサビとかキメもこういう感じにしてほしいと伝えました。ベースに関しては、ノールックでした。好きなように作ってっていう、ほぼ丸投げな状態だったので(笑)、苦労させちゃったなって。
-いつかやってみたいという曲だったんですか。
紬衣:私は、ACIDMANがすごく好きなんです。ACIDMANって、本当に弾きながらそれ歌えるの!? っていうギターのリズムとメロディがあって。最後まで、これからどうなるんだろうってワクワクしながら楽曲を聴けるんですよね。そのニュアンスを自分の楽曲にも取り込みたくて。ACIDMANにインスピレーションを受けて「エンジェルスモーク」という曲を作った感じだったんです。
彩楓:キャッチーなギターのフレーズを軸にしたループ感のある曲になっているんですけど、そのループがあるからこそ、リズム隊は引き算をしたり足し算をしたり、どこをどう持っていくかがすごく難しかったよね。
楓華:うん。
紬衣:8ビートで走ってほしいと言ったのも、ギターが結構難しいことをしているので、ここでドラムも難しいことをしちゃうと、楽器だけに振り切ったサウンドになっちゃうんじゃないかなっていうのがあって。自分たちの楽曲はまっすぐで、わかりやすいAメロ、Bメロ、サビがある音楽をブレずにやりたかったんです。それで、そういうオーダーをしたんですけど。
楓華:難しかったですね。ループ感は崩したくないけど、ここでベースも単純だと面白くないので、どこでどうしようかっていうのは考えました。
紬衣:そこは丸投げしました、よろしくねって。
楓華:投げられました(笑)。
-結果的に、とてもドラマチックな曲に仕上がりましたよね。
紬衣:そうですね。歌詞の内容も盛りだくさんで、出会いから別れまでを書いている曲なので、聴いた人が1冊の本のような、映画を1本観たようなお腹いっぱいな気持ちになってもらえたら嬉しいです。
-普段は瞬間の気持ち、情景を切り取っていくような内容が多いですね。「執着」のような曲は、スムーズに曲になっていく感じですか。
紬衣:そうですね、「執着」、「envy」あたりはもうできあがってたよね。「エンジェルスモーク」は新しい試みだったので、自分もどうなっていくのか、どうしたらいいかがわからない部分が若干あったんですけど。「執着」や「envy」に関してはデモ段階で、ここは絶対にこうしたい、このリフ入れたらどう? っていうのまで踏み込んで作れたので早かったのかなと。
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