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INTERVIEW

Japanese

Conton Candy

2022年08月号掲載

Conton Candy

Member:八島 紬衣(つむぎ/Vo/Gt) 鈴木 楓華(ふうか/Ba) 鈴木 彩楓(さやか/Dr)

Interviewer:吉羽 さおり

あまり考え込まなくてもいいんだよ、私もそうなんだよ、というのを、音楽で言えたらいいなって


-曲を作ってる段階で、何か頭の中に映像が浮かんでいる感じってあるんですか。

紬衣:曲を書いているときはあまり浮かんでいないんですけど、歌詞を全部見返したときに、自分で情景が思い浮かべて、このときにこんな感情を抱いていたらおかしいよねとか、そういうふうに自分で校閲する際には情景を思い浮かべることが多いかもしれないです。

-そうなんですね。とてもリアリティがあるので、どんなふうに書いてるのかなっていうのは思いました。「執着」にしても、スパンと割り切れない感情が生々しく描かれていて。

紬衣:切れそうで切れない糸みたいなものを書きました。1歩踏み込んでしまったら、きっと関係が終わってしまうっていうその不安さや葛藤は、自分も経験したことがあるし、友達の相談ごととかでも聞くことがあるし。というのがきっかけで書いた曲ですね。

彩楓:「執着」は題名からもしてもそうなんですけど、ドロっとした部分があるので、コード感を聴いて、逆に爽やかでキャッチーさのある曲でギャップを出していこうかなっていうのはありました。ビートを作るうえでは、そういう思いが結構ありましたね。

-そこは「envy」にも共通しますね。生々しい歌詞に対して、サウンドやメロディにはキャッチーさがある。

彩楓:歌詞はドロドロですよね(笑)。

紬衣:Conton Candyには「リップシンク」という曲があるんですけど、私としては「リップシンク」に継ぐような、ポップな楽曲をもう1曲くらい持っておきたいなってのがあって作ったんです。実はこの歌詞に関しては、全部響きで書いたものだったんですよ。

-そうなんですか。

紬衣:意味が通じているのが奇跡なんですよ(笑)。

楓華:(笑)

紬衣:Aメロは、"神様がくれた贈り物"、"干渉のない私の愛"って全部"か"から始まっているとか。

-たしかに!

紬衣:リズムとか言葉遊びを意識して作ったので。あまりに飛躍しすぎているところは変えているんですけど、そこまで歌詞もあまり直さずに、という感じだったんです。

-メロディが呼んでいる語感を意識して書いていったんですね。

紬衣:そうです。そしたら奇跡的に意味が通っていて。

−「envy」でもそうですが、香り、匂いというものが出てきますね。

紬衣:匂いとか、煙になって飛んでいきがちですかね、私の歌詞は。

彩楓:はははは(笑)。

楓華:飛んでいきがちだよね。

-香りと記憶の結びつきは強いものだと思いますし、ふとしたときに思い出しちゃうというか、抗えない感じがありますよね。「月と太陽」なども匂いが出てきて。

紬衣:「月と太陽」はこれまで書いたバラードで一番上手に書けたって自負している曲なんです。この曲を作った当時──3人とも好きなんですけど、ふたりがよく清 竜人さんを聴いていて。清 竜人さんの、バラードなのに跳ね感がある感じがすごくいいなって思っていて、自分もそういう感じで作りたいなっていうのだけ彩楓に言ったんです。そしたら、跳ね跳ねな感じになって。

彩楓:もともと跳ねは好きなので、得意分野ではありました。

紬衣:コーラスも頑張ってくれて、すごくいいものになったので、ライヴでも音源を超える迫力と、世界がわーって広がるようなニュアンスを出せたらいいなって思います。歌詞も一番頑張りました。

彩楓:歌詞、ヤバいよね。すごくいい。

-"今までの記憶を忘れることは/出来てしまうけど/あなたという全ては/この先も痛いほど覚えているよ"とか、とてもわかる人が多いんじゃないかなと思います。よくひとつの恋愛を終えて次に進むというときに、女性は記憶を上書き保存していく、男性はファイルが増えていくなんて話があるんですけど、そういうことでもないですよね。記憶ってそんなに簡単に上書きされていかないしっていう。

紬衣:たぶん、人間ってみんないい記憶よりも悪い記憶に執着しがちなものなので、嫌な思い出ばかりを覚えてしまっている過去が多いんですけど、そういう過去に寄り添って支えてあげられたらいいなって考えていますし、無理に忘れる必要はないよって伝えたいなと思ってます。

楓華:いやぁ、泣きそうになるよ(笑)。

彩楓:当てはまる人多いんじゃないかなって思う。

紬衣:ベランダで月を眺めながら聴いてほしいです。

彩楓:泣けるよそれは。

-具体的にイメージもあったんですか。

紬衣:ベランダで女の子がでかめの半袖の白Tに短パンで、夜空の月を眺めて思い出しながら泣いてるっていうのが浮かんでいて。

彩楓:今度それやろうか(笑)。

-ふたりは紬衣さんの歌詞を見て、紬衣さんらしいなと感じるところはあるんですか。

楓華:全部つむ(紬衣)っぽい感じだなって思います。

彩楓:たしかに。

楓華:"あぁ、つむっぽいな"っていう何かがある。その何かはわからないんですけど(笑)。

紬衣:なんだ? なんだろう。

-なんでしょうね、ちょっとエモい感じですかね(笑)。めちゃくちゃリアルなんだけど、痛みだけとは違う甘美なところもあるんですよ。そのポップさが共感できるところなのかなって思いますね。

紬衣:同じような恋愛とか、同じような感情を持った子が曲を聴いたときに、寄り添える曲や歌詞にというのは意識していますね。あまり考え込まなくてもいいんだよというのを直接は伝えてないんですけど、歌詞の中からちょっとずつ伝わったらいいなって。こういう人が世の中にたくさんいるんだよ、私もそうなんだよって音楽で言えたらいいなとは思います。

-そういうことで、歌詞を書くときに気をつけていることはありますか。

紬衣:具体的な人物像が見えることと、具体的な描写が見えることは意識しているかもしれないです。私は、ものでも人でも景色でもなんでもいいんですけど、対象がないと書けないので。そのなかでも私は、人に焦点を当てたほうが、言葉がたくさん出てくるというか。

-さっきふたりは、歌詞は紬衣さんらしいという話をしてましたが、自分がこれまで曲を書いてきたなかで、こういう感情にすごくくすぐられるんだなとか、こういう瞬間に惹かれるんだなっていう、書き手としての視点はありますか。

紬衣:自分の歌詞を読み返すことはあまりしないんです(笑)。曲を作っているときは歌詞とにらめっこしながら作るんですけど、曲ができてしまうと、そこからは歌詞に焦点を当てることがあまりないので、ライヴでもよく間違えるんですよ(笑)。

楓華&彩楓:はははは(笑)。

楓華:おい、飛ばした! って。

紬衣:「エンジェルスモーク」は、間違えるポイントがいっぱいあって。

彩楓:何回か(歌詞に出てくる)ピアスのキャッチ失くしてるっていう。

紬衣:3回くらい失くしてるかな。

-それは失くしすぎだっていう(笑)。

紬衣:最近はできるだけ失くさないように、あと(同じく歌詞に出てくる)終電も逃さないように頑張ってます(笑)。