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INTERVIEW

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THEティバ

 

THEティバ

Member:明智 マヤ(Vo/Gt) サチ(Dr)

Interviewer:山口 智男

2018年結成の2ピース・ガールズ・ロック・バンド、THEティバが初の全国流通作品となる1stフル・アルバム『On This Planet』をリリース。バンド・サウンドにとらわれない自由な発想が結実した全12曲が印象づけるのは、メンバー自ら言うとおり"新しいTHEティバ"だ。アルバムの制作を振り返るふたりの話からは、自分たちの可能性を追求することを存分に楽しむ姿が窺える。

-『On This Planet』の制作はいつ頃、どんなふうに取り組んでいったのですか?

マヤ:BearwearとスプリットEP(2021年リリースの『Bearwear/The tiva』)を出したあと、"もうそろそろアルバムなんじゃない?"って話になって。

サチ:そう。次はアルバムを出したいねって。

マヤ:そこからアルバム用の曲を作り始めていって。

サチ:今年の2月の終わりぐらいから1ヶ月かけてレコーディングしました。

-スプリットをリリースしたのが、昨年9月だから、曲を作り始めたのは......。

マヤ:ツアーが終わってからだから、去年の10月ぐらいですね。もともとあった曲も何曲か入っているんですけど、アルバムに向けてがっつり作り始めたのがその頃からでした。

-2020年12月にリリースした2nd EP『THE PLANET TIVA part.1』と2021年2月にリリースした2.5th EP『THE PLANET TIVA part.2』の2枚は、1年くらいの間に書いた11曲を、内向きと外向きの曲に分けてそれぞれ5曲と6曲ずつ収録した連作でしたが、今回曲を作るにあたっては、最初から1枚のアルバムにまとめることを考えていたのですか?

マヤ:めっちゃ考えました。曲をイチから作るということもあって、曲の親和性というか、同じアルバムに入れることをすごく考えて作りました。そういうのすごく苦手だったから、最初は、どうしたらいんだろうって思ったんですけど、コンセプト・アルバムのようにひとつコンセプトを決めれば、全然違う曲ができたとしても、繋がりができるんじゃないかって考えて、何曲か作ってみたんです。でも、それもちょっと違うかなって。それでそのとき作りたい曲を、もともとあった曲に合わせて作っていきました。だから、意識はしながらも、全曲にまとまりがあるのかといったら、そんなことはないのかもしれないですけど、レコーディングしてまとまった感じはあります。

サチ:そこはプロデューサーの岳士(岩本岳士/QUATTRO/Vo/Gt/Key)さんの力が大きかったですね。

マヤ:完全にまとまったなと思ったのは、レコーディングして、ミックスしたものを聴いたあとだったんですよ。

-サウンドメイキングでひとつの世界観を作っていったのですね?

マヤ:そうですね。シンセのニュアンスとか、コードの感じとか、ドラムは何を入れるかとか、岳士さんにすごく助けてもらいました。

-じゃあ、曲ができあがってから実際レコーディングに入るまでに、時間をかけて音作りを詰めていったのですか?

マヤ:今回、プリプロしなかったんですよ。

サチ:スケジュールがタイトだったので、プリプロしながらレコーディングするみたいな感じで、その場で何パターンか試してみて、"これにしよう"って録っていきました。

マヤ:瞬発力が鍛えられました(笑)。

サチ:そのときにしかできないものっていう感じにはなったと思います。考え出したらキリがないじゃないですか。でも、限られた時間の中で出てきたものの一番いい状態って感じの作品かなって思います。

-ところで、マヤさんは最初、どんなコンセプトを考えたのですか?

マヤ:アメリカの寂れたダイナーに集まった人たちが、ひとりずつ自分の生い立ちを歌っていくみたいなものにしようかなと考えてたんですけど、暗い人しか出てこなくて(笑)。それにキャラクターを12人も考えるって、ちょっと難しいかなって思いました。

サチ:でも、すごく楽しそうではあるよね。

マヤ:そう。楽しそうなんだけど、今回のスケジュールでは無理(笑)。

サチ:ちょっとタイトだったからね。もっと時間があったらできたかもしれないね。

マヤ:歌詞カードも絵本みたいにできたらいいねって話はしてたんです。今回、コンセプト・アルバムというアイディアはボツになっちゃいましたけど、いつかやりたいとは思っているんですよ。

サチ:うん、やりたい。

-もともとあった曲に合わせて曲を作っていったそうですが、もともとあった曲というのは?

マヤ:「Dig a little deeper」、「Hard」、「Flowing」の3曲です。

サチ:コンセプト・アルバムを作ろうとしていたときの曲ですね。

マヤ:そう、3人の人たちです(笑)。

-あぁ、寂れたダイナーにやって来た。

サチ:私はマヤからデモを貰って、ドラムを考えるんですけど、その3曲はデモを貰ったときすごく暗いと思いました(笑)。その他、ボツになった曲もあったんですけど、それらも含め、暗い曲がたくさんあると思ったんです。それはそういうことだったんですね。

マヤ:暗い曲にするつもりはなかったんですけど、暗い人たちばかり出てきちゃったんです(笑)。

-でも、その3曲、そんなに暗いですか?

マヤ:歌詞が暗いんですよ。それに最初、サチに送ったデモは、もっとはちゃめちゃに暗かった。それこそ「Flowing」は岳士さんの手が加わって、なんだか"Tom Waits味"が出て、昇華された感じがありますね。

サチ:最初に貰ったデモはギターのチューニングがズレてたせいか、すっごく不穏な音が鳴っていて、それもあいまってものすごく暗く聴こえたんです。

マヤ:全部の弦が半音下だったからね(笑)。

-そこにドラムが加わって、レコーディングする過程で暗さがやわらいでいった。

マヤ:やわらいだというか、アルバムの中に収まって、普通に聴ける暗さになりました(笑)。

-その3曲に、どんどん曲を加えていったのですね?

マヤ:そうです。コードの感じがその3曲からあんまり外れすぎないように作っていきました。

-今回の全12曲、曲調や表現の幅が広がった印象があったのですが、それは曲を作るうえで意識したことだったのでしょうか?

サチ:バンド・サウンドすぎないようにするという気持ちは、チームの全員にありましたね。最後の「After the midnight」も、"バンド感がないのがいいね"ってところを目標にアレンジしていったんです。

-「After the midnight」はアトモスフェリックなサウンドが印象的でした。"バンド感がないのがいいね"という目標は、どんなところから出てきたものだったのですか?

マヤ:「After the midnight」は最初がバンド・サウンドすぎたんです。'80sの髪の毛クルクルのハード・ロックみたいな曲ができちゃって(笑)。

-えっ、全然想像がつかないです(笑)。

マヤ:ボツになりかけてたんですよ。そしたら、岳士さんが"でもメロディがいいから、なんとかして入れたほうがいい"って。それで、どうしたら'80sハード・ロック路線から離れられるか意識したんです。

-その一方では、思いっきりバンド・サウンドの「Ideals」があったり、弾き語りの「Save me」があったり、そういうバリエーションを意識しながら、一曲一曲アレンジに変化をつけていったのですね?

マヤ:そうです。「Ideals」は、"速い曲なくない?"って言われて作りました。

サチ:ミドルな感じの曲ばかりだったんですよ。

-なるほど。「Ideals」は最後から2曲目という位置も絶妙で、それ以前の流れをガラッと変える意外性が、すごくいいアクセントになっていると思いました。

マヤ:良かったです(笑)。