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INTERVIEW

Japanese

Rain Drops

 

Rain Drops

Member:緑仙 三枝明那 鈴木勝

Interviewer:秦 理絵

昨年発表された『シナスタジア』と『オントロジー』を経て、6人組VTuberユニット、Rain Dropsが初のフル・アルバム『バイオグラフィ』をリリースした。タイトルが表すとおり、これまでに6人が積み上げてきた経験を糧にして完成された全14曲は、ひとつの枠にとらわれないユニットだからこそ、よりバラエティ豊かなサウンドに振り幅を広げ、これまで以上に難易度の高いヴォーカルにも挑戦。"距離"をテーマにしたという歌詞には、リスナーとの心の繋がりを大切にするRain Dropsの変わらない想いが貫かれている。1曲目の「エンターテイナー」にユニットの未来を託し、ここをもって第1章の完結になるという今作について、緑仙、三枝明那、鈴木勝に話を訊いた。

-本題に入る前に、8月26日に開催された"Rain Dropsファーストワンマンライブ『雨天決行』"について聞かせてください。率直にどうですか? 終えてみた感想としては。

鈴木:自分は初めてお客さんが目の前にいてくださるライヴだったんですけど、ペンライトがとてもきれいで感動しました(笑)。今までも画面越しでみんなの声援を届けてもらうことはあったけど、直接その場で拍手とか反応が伝わってきて嬉しかったです。

-MCでは、"いろいろな曲を歌うことで自分たちの足跡ができてきた"とおっしゃっていて。今までの自分たちを振り返るタイミングにもなったのかなと思いました。

鈴木:VTuberのライヴって、カバーを披露することが多いんですけど。今は6人でいろいろなオリジナル曲を歌わせていただけてるので。曲を作るのに関わってくださった人たち、曲を出すたびに"応援してる"ってことを伝えてくれる人のことを感じながら、6人でたくさんの曲を歌ってきたんだなというのを実感できましたね。

-三枝さんはどうですか? ライヴを振り返ってみて。

三枝:このコロナのご時世で有観客ライヴをできるのがまず嬉しかったです。直にお客さんの熱量を感じられて、いい刺激を貰えたなって思いました。お客さんの前に立ってパフォーマンスをすることの大事さを学ばせてもらったし、もっとこういう経験を積みたいなって感じましたね。

-特にぐっときた曲はありましたか?

三枝:「オントロジー」のときは、改めてこの6人で初めてパフォーマンスをできるんだなっていう実感が湧いてきて、イントロがかかった瞬間に泣きそうになりました。やってることが間違ってなかったんだなって思いましたね。

-緑仙さんはどうでしょう?

緑仙:コロナ禍での開催っていうのもあって、来られなかった人もすごく多かったんですよ。そういう人のためにも、ちゃんと成功させないと、次に繋がらないなっていう気持ちが個人的にはすごく強かったんです。気合を入れてやらなきゃって。結果、現状の僕たちがやれる最高のパフォーマンスができたんじゃなかって思います。6人で楽しくできたのが本当に良かったです。

-初のワンマンを終えて、Rain Dropsの"この先"が見えるところはありましたか?

緑仙:そうですね。技術的な課題もそうですけど、足りてない部分も見えてきたので。すごく練習したんですけどね(笑)。それでも、まだ足りないなっていうのがあったので。次までにはもっともっと仕上げていきたいと思います。

-そんなライヴを経て、リリースされる初のフル・アルバム『バイオグラフィ』です。また一段とバラエティ豊かな作品になりましたね。

三枝:Rain Dropsでやらせていただく楽曲って、守ってないというか。

-あぁ、わかります。

三枝:"こういう感じでしょ?"っていうより、"こんな曲やったことない"みたいな曲が多くて。レコーディングをやると自分の技術がどんどん上がっていくんですけど、今回は特にそれが顕著でしたね。特にリード曲の「エンターテイナー」は、ものすごくプログレッシヴで、生で歌うことをまったく想定していないんじゃないかっていう。メイン・ヴォーカルが6人いるユニットだからこそ、表現できる曲なんじゃないかなと思います。

緑仙:今回、ムズいんですよね。歌わせる気がないんじゃないかっていうぐらい(笑)。それに追いつくためには、家でちゃんと練習をして技術を上げなきゃいけなくて。いろいろなことに挑戦できたアルバムになってるんじゃないかなと思います。それこそ「エンターテイナー」の歌詞に、"改めまして/「はじめまして」"ってあるんですけど、ずっと聴いてくれる人からしても、こんな一面があったんだっていう新鮮さとか成長も感じてもらえるような、完成度の高いものになってるなと。

-勝さんはどうでしょう?

鈴木:今まで以上にジェットコースターみたいなアルバムになったなと思いますね。今回、いろいろな"距離"をテーマにした作品になってるんですけど、いろいろな人間模様がギュッと凝縮されているんです。いろいろな人生が垣間見られるというか。曲調とかやってることは全然違うけど、1本筋は通ってるなと思いますね。

-今回、"距離"をテーマにしたのは、どうしてですか?

鈴木:自分たちのVTuberっていう活動って、自分も人間で相手も人間で、対面ではなく画面越しのコミュニケーションのかたちをとってるので。その距離をもどかしく感じることもあれば、面白いなって思うこともあって。それは活動を通して、ずっとつきまとってくるものなんですよね。それを、"バイオグラフィ"っていう自分たちの歴史とか、歩みっていう意味の言葉を冠したアルバムのテーマにできて嬉しいなと思ってます。

三枝:今回のアルバムには1stミニ・アルバム(2020年5月リリースの『シナスタジア』)とか、2ndミニ・アルバム(2020年11月リリースの『オントロジー』)の曲も収録されてるんですよ。それで単純に"バイオグラフィ"っていう意味もあるけど、"活動初期はこうだったけど、今はもうちょっとうまくやれてるな"とか、"ちょっと慣れてきたな"みたいなことを考えながら収録できたので。そういう意味でも、自分たちの"バイオグラフィ"なんです。

『オントロジー』のインタビュー(※2020年12月号掲載)では、だんだんユニットになっているのを感じられたレコーディングだったという話もありましたけど。今回のレコーディングを振り返ってみて、何か変化はありましたか?

緑仙:今回は、録る前にメンバーから楽曲に対してのチャットが来ることがありましたね。今までも収録に入ってから、お互いにアドバイスすることがあったんですけど。曲を聴いてる段階からこういうふうに歌ったらとか話せるようになって"うわ、成長している、俺たち"って思いました。

-特に印象に残ってるやりとりはありますか?

緑仙:「ブギーマン」かな。

-緑仙さんと三枝さん、力一(ジョー・力一)さんで歌っている不穏なラップ曲ですね。

緑仙:僕はラップを知らないから、ふたりにどうやって歌ったらいいかって話したりしたんですよ。三枝君、この曲どうでした?

三枝:僕もラップをやったことがなかったので。ラップってなんぞやっていうことを知人から聞くところから始めましたね。で、今流行ってるラップや、国内外の音源を聴いて。最終的にはありのままがいいんじゃない? っていうところでやってるんですけど。誰かのまねをしてもしょうがないし。すごく楽しかったので、また挑戦できる機会があれば、やってみたいと思いました。

-三枝さん、今回のレコーディングの振り返りとしてはどうでしょう?

三枝:昔は収録スケジュールが押したりしてたんですよ。決められた枠組みの中で、順番に収録する時間が決まってるんですけど。僕が現場に入ったときに、まだ前の人の収録が終わってなくて、みたいなことが結構あったんですけど。今は現場に行ったら、"30分前に帰ったよ"みたいなことがあって。全体的にレコーディングが速くなったんじゃないかなと思います。

鈴木:だから、みんなと(現場で)擦れ違うことがなくなって寂しかったんです。ただ、「エンターテイナー」は全員が集まるっていう録り方をしたんですよ。他の人が録っている様子もみんなが見ているみたいな。で、その日、夜も深まってきてミドリ(緑仙)がラップを録ってるときに、みんなのテンションがおかしくなってきちゃって。ミドリの録音ブースのガラス越しにみんなでしゃがみ込んで、"頑張れ"って、お菓子片手に見守ってました(笑)。

緑仙:難しそうなパートを歌うときだったから、"これは緑仙時間かかるぞ、ニヤニヤ"という感情と素直に"頑張れ"というちびっこたちの視線の中で、なんだったら1、2発ぐらいでキメちゃったんですよ。そしたら、"なーんだ、つまんねぇな"って顔でみんな帰るっていう。みんなが見てくれたおかげで、一瞬で終わりましたね(笑)。

-ははは(笑)。和気あいあいとしたレコーディングが目に浮かびます。

緑仙:今回もレコーディングは楽しかったですね。