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INTERVIEW

Japanese

Miyuu × Michael Kaneko

Miyuu × Michael Kaneko

Miyuu
Michael Kaneko
インタビュアー:石角 友香


自分自身、不安になった時期もあって。でも、いつか希望が見えるといいな、元気にしてたらいいなという感情を込めました(Miyuu)


●「step it(pray)」

-この曲はどんなテーマのもとに書いたんですか?

Miyuu:これに関しては、結構悲しいニュースとかで、テレビをつけると毎日日常が変わっていってるなというのをすごく感じていて。自分も今後どうやって生きていけばいいんやろ? とか、音楽続けていけるんかな? とか、不安になっちゃった時期があったんです。そのときに曲づくりもあまりしてなかったんですよ。気持ちが乗らへんなとか思ってたんですけど、今までを振り返ってみるとそういうときこそ自分は曲を書いて、感情をコントロールできてた部分があったんで、ちょっと頑張ってギター持って曲書こう、みたいな気持ちになって。最初は、悲しいニュースに影響受けてそのまま悲しいな、つらいなというのを入れ込もうと思ったんですけど、やっぱり『LA LA RAINBOW』ってアルバムの全体像を考えると、どこかに希望がある言葉を入れたいしって考えてそこからはすんなり書けましたね。ちょっと祈りじゃないけど、悲しい出来事が起きた人にも、いつか希望が見えるといいなとか、それが仮に叶わなくてもどこかで元気にしてるといいなとか、いろんな感情を歌詞に入れてみました。

-つらいときほど曲書いてコントロールするっていうメカニズムには気づいてたんですか?

Miyuu:いや、この曲書くまではあんまり気づかなかったというか。くそー! とか思ったときに曲書いてたので、ドヨーンとしてるのを解消するのがなんなのかわかってなかったんですけど、今回この曲きっかけで、自分は歌を作ったり歌詞を書いたりすることで自分を救う仕組みになってるんやなっていうことがわかりました。

Michael:アレンジに関しては、最初はJ-POPっぽさを意識してるって話をしてて。でも、いいバランスを取れたかなと。全然J-POPっぽくないアレンジだけど、メロディがそっち寄りだから、両方いけるかなっていう曲。Miyuuちゃんから貰ったリファレンスは壮大さのあるものだったけど、それより暖かい音のほうが合うかなと思って。だからガッツリ、ストリングスや、コーラスを入れるとかじゃなくて、暖かいピアノの音色などでエモーショナルな音を作った感じですね。

●「fly」



Miyuu:ランキングつけるわけじゃないですけど、これも結構上位です。弾き語りバージョンと全然違う曲やなと思ってて。この曲は、私が主演させてもらってる自主制作の映画になるんですけど、ショート・フィルム("はなうたの鳴るほうへ")のテーマ・ソングで、もう2年弱ぐらい前に書いた曲なんです。なので、弾き語りが私の中で音源みたいな気持ちになってたんですけど、新たにこうやってレコーディングすることになって、アレンジしてもらって雰囲気がガラッと変わったなってイメージがあります。

●「summer together」



Miyuu:これがアルバムの最初のきっかけというか。この曲ができたきっかけは自粛期間中に、私が毎日お昼にライヴ配信するようになって、ほんとにただただ30分だらだら喋るようなライヴ配信をしてて、そろそろ話すネタがなくなってきたんです。みんなとコミュニケーションが取れるから、延々と喋ってられるんですけど、せっかくなんで弾き語りをして。さらに、参加型の曲作りするのも面白いんちゃう? と思って、"みんなに歌詞のアイディア出して、こういう曲、作ってみない?"みたいな話を配信ライヴでしてたら"面白い! やりたい!"と言ってくださる方がいたんです。私がいくつか"夏"、"海"とか、テーマを挙げたら、いろいろワードが出てきて。できるだけ多く詰め込みたいので、出てきたワード全部ノートに書いて、パズルみたいな感じで繋げていってできた曲になります。

Michael:これ、自分の作品のレコーディングで初めてマンドリンを入れた作品で。

Miyuu:なんでマンドリンだったんですか?

Michael:家にあったから(笑)。ウクレレじゃないなと思ったんだよね。大橋トリオさんのサポートのときに1曲だけのために買ったの。「HONEY」って曲があるんだけど、ライヴで弾くから買って、せっかくあるから弾いてみようかなという。

●「red」



Miyuu:これはマイキーさんのギターから入る(笑)。この曲面白いですよね。

Michael:俺の中ではトップ。この曲好き。アレンジに一番時間がかかった。すごくシンプルに聴こえるけど、結構大変でした(笑)。

Miyuu:アコギから入るから、そのまま淡々と進んでいくんかなと思ったら、小技が効いてて。

Michael:そう、小技が結構入ってる。フォーキーじゃないですか。で、一緒にTaylor Swiftの『Folklore』がすごいって話してたんだよね。フォークなんだけど、プロダクションが素晴らしくて、あのアルバムは結構衝撃的だったから、そっちをちょっと目指した。まぁ敵わないけど。あのプロダクションはめちゃくちゃいいよね。

-メロディに対するフロウも洋楽っぽいし。

Miyuu:歌詞を書くとき、小学校からの友達の恋愛をもとに書いたんですよ。その友達に"いつ自分の曲作ってくれんの?"って言われてて(笑)。今回、テーマ・カラーをもとに作っててレッド=情熱的な愛情とか、そういうことについて書きたいなと思ったときに、友達の過去の大恋愛について思い出して書いたんですよ。

●「shine on you」



Miyuu:この曲は私の頭ではまったく想像できなかった曲になりました(笑)。

Michael:"もうこれ、遊んじゃっていい?"みたいに言ったもんね。

Miyuu:私がウクレレ・バージョンのデモを送ってて、"これちょっと面白い感じにしたいと思ってる"って言われたので、"全然、料理しちゃってください"と返しました。

Michael:一応、ウクレレが乗ってて打ち込みで。最初2コードだったんだけど、それも変えたんです。自分の中ではちょっとリミックスっぽい感じなのかな。1曲、アルバムの中にあっても面白いかなと思って。

Miyuu:それは思いました。私はウクレレ始めたてというか、まだそんなにコードを覚え切れてなかったから、自分が知ってるコードだけを使って曲を作ろうと思って。それにウクレレを自粛期間に始めたって人も多かったから、一緒に歌えたらいいなというので作ったんですけど、もう見事に......。

Michael:変えてすみません(笑)。

Miyuu:(笑)ギターで作ってたらたぶんもうちょっとコードが動いてたと思うんですよね。でも、ウクレレだったから、3コード延々と繰り返してて。

-そのミニマルなループ感が良かったんでしょうね。

Michael:そうですね。打ち込みだけどイケイケでもないし、ウクレレ使ってるし、いいバランスが取れたかなと思います。

●「purple」



Miyuu:パープルって青と赤を混ぜた色じゃないですか。だから、赤は自分が情熱的に燃えてたもの、夢とか。逆に青って自分の中で挫折や、冷たい経験をしたこと。その両方の間で今の自分があって、その中で唯一後悔したことを考えてたときに、後悔したことって思ってるけど、きっと生きていくし明日は来るし、明日何かを変えれば後悔じゃなくなるんじゃないかと思って。パープルってところからいろいろ派生してできた曲になってます。

Michael:この曲は締め感があって"これ(曲順)最後でしょ!"って話になって。僕的にはアウトロは東京ドームなんですよね(笑)。

Miyuu:壮大なイメージ(笑)。

-この曲はこれからMiyuuさんが大きいフィールドに出ていく感じもあるし。

Miyuu:To Be Continued感、ありますね。

-ではアルバム全体の感想をお願いします。アーティストとして非常に飛躍した作品だと思うんですが、いかがですか?

Michael:3年前ぐらいにプロデューサーとしてMiyuuちゃんと仕事をしたんですけど、自分もまだそういうのやり始めたばっかりで、そこからお互い成長してきてる感、すごくあるなと。このアルバムはシングルになれるような曲が多いし、全部シングル・カットしてほしいなって思うぐらいなんですよね。僕もこういう機会いただいて、プロデューサーとしても成長できたし、この3年間一緒に仕事して音楽作って、それが全部まとまった作品かなと思ってます。

Miyuu:ほんとに光栄で。マイキーさんはシンガー・ソングライターとしてももちろん尊敬するし、素晴らしいなって思うし。マイキーさんがプロデュースしてるアーティストの曲を聴いても、その人の個性を引き出したり、でも自分のテイストを入れてみたりっていうプロデュース力が、ほんとにすごいなと感じてて。アルバムをトータル・プロデュースしてもらうことって日本だからなのか、あまりないことなんですよね。洋楽的な作り方で。ひとりのプロデューサーさんと一緒に、二人三脚で作っていく作り方があるんだよって話を聞いて、まさにそういうふうにできたアルバムになってるなぁと思ってます。私からしたらあのYouTubeの企画で会ったときは雲の上の存在というか、交わることはないんやろうなと思ってたんですけど、4年越しでこうやって私のアルバムをトータル・プロデュースしてもらえるというのは、ほんとに嬉しいことでしたね。それにアルバムがこの時期に作れたっていうことはマイキーさんをはじめ、スタッフのみなさんも頑張っていただいたからできたものだと思っているので、本当にひとりでも多くの人に聴いていただきたいなと思ってます。