Japanese
Miyuu × Michael Kaneko
オーガニックなサーフ・ロックや、フォーキーな音楽性が板についている稀有なシンガー・ソングライター、Miyuuが2ndフル・アルバム『LA LA RAINBOW』をリリース。これまでも単曲でのアレンジで関わってきたMichael Kanekoが、トータル・プロデュースを手掛けたことで、音像の奥行きや厚みが増し、多彩な楽曲を収録しながらもひとつの世界観を作り上げることに成功している。今回はリリース日に行ったライヴ&インタビューから、ふたりの対談を抜粋してお届け。全曲紹介でふたりのこだわりや、チャレンジ、レコーディングの楽しさもたっぷり語っているので、アルバムを聴きながらのサブテキストにぜひ。
Miyuu
Michael Kaneko
インタビュアー:石角 友香
-まずはおふたりが出会った経緯からうかがえますか?
Miyuu:出会いは4年前にYouTubeの企画("YouTube Music Sessions")があって、何人かのアーティストのライヴ音源を録ったんですけど、そのあとにプロフィールを見る機会があって。そこでマイキーさん(Michael Kaneko)の曲を聴いてなんて素敵な曲なんだと思って、あとから声を掛けさせてもらったんです。そこから何回かライヴにただただお客さんとして行かせてもらって。
Michael:そのあと、最初に仕事したのが3年前か。
Miyuu:"ブレイカーズ"っていう映画の主題歌(「dandelions」)を私が書いて、マイキーさんにアレンジしてもらったのが初かな。
-そもそもMiyuuさんがMichaelさんの音楽に惹かれた理由は?
Miyuu:もともとアメリカとかのロックが好きで、弾き語りをするなかで、サーフ・ロックみたいなのが自分は好きなんだなってわかってきたんですね。そういうタイミングでマイキーさんの音楽を聴いて、潮風を感じるし洋楽の雰囲気があるので、これもうドンピシャやな、と思って。
-MichaelさんはMiyuuさんの音楽をどのタイミングで知ったんですか?
Michael:それはそのYouTubeのライヴで。そのときカバー1曲、オリジナル1曲やったんだよね? カバーはMAROON 5。それを弾き語りでやるんだ、すごいなと思ったのを覚えてます。その頃からJ-POPだけど、洋楽っぽいサウンドだなっていうのは感じてました。だから、一緒に仕事したら合うんじゃないかと思ってて。
-今回のアルバム・プロデュースをMichaelさんに全面的にお願いすることになったのは?
Miyuu:去年の春ぐらい、アルバムの話がまだないときに、私が夏の曲を作りたいなっていうところから、夏と言えば海、海と言えばやっぱマイキーさんじゃない? って(笑)。
Michael:全然俺、海っぽくない(笑)。生まれ育ちが西海岸と湘南っていうだけで。今はバリバリ東京なんだけどね(笑)。
Miyuu:(笑)直感でお願いしたいと思って、それでデモを送らせてもらったんです。アレンジをお願いしたら"いいよ"とおっしゃってくれて、1曲目ができて。そこから私、毎月配信をすることになったんですね。その中で"毎月新曲を歌います"って決めたから、毎月作ることになって、"あ、これアルバム作れるんちゃう?"みたいな話になって。アルバムとしてアレンジをするときに誰にお願いするかとなると、私はもうマイキーさん1択だったんですよ。
-曲が集まってアルバムが作れそうだと思ったとき、どんなヴィジョンが浮かんできましたか?
Miyuu:まず、このアルバム自体が去年世界で起こったいろいろな変化――私自身、コロナに影響を受けてて、家にこもってたらネガティヴになることが多かったんですね。私、普段、曲書くときに自分の感情を殴り書きするような歌詞が多くて。ネガティヴなもの、怒りとか、悲しみとかをエネルギーにして書いてたんですけど、そうやってると元気になれないなってところがあったんです。去年は落ち込んだので、逆に元気になりたいなと思って意識して書き始めたのが、夏頃マイキーさんと仕上げた「summer together」で。そこから意識してポジティヴな言葉遣いをいっぱい入れ込んでみたんですね。で、メロディ・ラインも明るいのを意識して作って。そうしてるうちに自分の気持ちも"楽しいな"って変わってきたんです。聴いてる人にもそういうふうに思ってほしいなと思ったから、今回あまり暗い曲がなくて。歌詞も言霊っていうのを意識して、明るいのを作ったので、全曲通して、わりとオーガニック且つ楽しい気分になれるようなサウンドになったかなと思ってます。聴いてくれる方も、まだ先がどうなるかわからなかったりするじゃないですか。だから、日常の中で、小さなハッピーをちょっとでも見つけられるようなアルバムにしたいなと思って作りました。
シンプルに"何が言いたいのか"を意識して"元気"、"楽しい"、"ラヴ"、"フレンド"みたいなわかりやすい単語を使いました(Miyuu)
●「love you in blue」
-歌詞が染みますね。"ありきたりなlove song 口ずさんでしまったら"のところとか。
Miyuu:はっきりとテーマを"ラヴ"にするとか、普段も"愛してる"とか言うとかは恥ずかしいんですけど、曲でもちょっと恥ずかしさがあって。まだこの曲歌うときに"恥ずかしいな"と思うんですけど(笑)、シンプルに"何を言いたいのか"っていう曲作りをこのアルバムではしたんです。さっきも言った"元気"や、"楽しい"、"ラヴ"、"フレンド"みたいな、わかりやすい単語を意識して使いました。そうだ、この曲の面白い話をマイキーさんに聞いて。
Michael:去年の秋ぐらいにちょうどこのアレンジをしてるとき、Twitterに変な動画をアップしたんですよ。ギターのスライドの音が欲しいなと思ったけど、スライド・バーが見つからなくて、代わりに使えるものないかなって台所に行って。コショウのボトルがちょうど良くてやってみたんだけど、そのときは誰もこの曲のアレンジをしてるって知らなくて、実はこの曲に使ってました。
●「my friend feat.Michael Kaneko」
-この曲でMichaelさんに歌ってもらうことは最初から決めてたんですか?
Miyuu:決めてましたし、この曲はアルバムの中で唯一作曲がマイキーさん。この曲は、マイキーさんとやらせてもらってるMUSIC ON! TVの"ZOOM UP! ~Chill Out~"の、オープニングの曲を作ろうってところから始まりましたね。せっかくシンガー・ソングライターふたりでやらせてもらってるので、何かオープニング一緒に作れたらいいねっていうところから、番組自体がグランピングをテーマにスタジオ作りをしていたので、ちょっとアウトドアな楽しくなれるような曲がいいなと言ってて。マイキーさんが曲を送ってくれたんです。最初は英語っぽい感じで歌詞も入ってて、自分でこれに歌詞を乗せてみようってところから始まりました。
-寄り添ってくれる内容ですね。
Miyuu:"友達"って、私が贈りたい人を設定したのは初めての試みだったんですね。今まで自分の感情が優先で、届けたい相手ははっきりとは見せてなかったんですけど、今回こういう歌詞の書き方をしたから、ちょっと途中でコケちゃって、"どうしよう"って思っててできたのがこの歌詞になりました。
-ほんとに真っ暗な中、つらそうな人がいたという?
Miyuu:それこそ自分自身がそうで。そんな時期、会えないなかで連絡くれたり、みんなで、画面上で喋ったりすることですごく勇気づけられたんで、意外とそういうことってシンプルやけど、支えになってるなというのを感じたんです。そのままその気持ちを言葉にしました。
●「yellow light tonight」
-ジャジーなアレンジですね。
Michael:Miyuuちゃんから、"クリスマス・ソングで"と言われて。クリスマス・ソングのスタンダードってジャズっぽい曲が多いから、そっちに寄せたアレンジですね。なので、ライヴ感のあるレコーディングで、全部生で録りました。クリスマス・ソングのスタンダードって言ったら絶対生楽器のほうがいいなと思ったし、俺のライヴ・メンバーでもあるし。
Miyuu:毎回毎回、鍵盤のメロディ・ラインが変わっていって、どんどん新しいのが生み出されてて。
Michael:これはそうだったよね。それは(鍵盤の)彼がコードをわかってるから、アドリヴでやってる。ライヴだったら、ちょっと遊んでいいよって言ってるし。レコーディングだと歌の中でフレーズを弾きすぎたらダメだし、でもシンプルすぎてもつまらないから、そのバランスが難しいんだよね。
Miyuu:本当に勉強になります。
●「indigo night」
Miyuu:これはトップ3に入る曲。
-歌い方も新鮮でした。
Miyuu:私、ブースに入ると結構力が入っちゃうタイプで、普段出てる声がなかなか出ないことが多いんですけど、後ろで流れてる楽器の音が力を抜くサポートをしてくれてるなと思って。いつも自分が感じる"あ、力んでるな"って感覚がなく歌えたなと。
Michael:Norah Jonesじゃないけど、そういう感じも合うなと思いましたね。
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