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INTERVIEW

Japanese

Ryu Matsuyama

2020年06月号掲載

Ryu Matsuyama

Member:Ryu(Pf/Vo)

Interviewer:稲垣 遥

僕らがやりたいことだけではなく、チームとして、みんなが見たいRyu Matsuyamaの景色を描いていきたい


-リード曲や先行配信曲も自分たちで決めたんですか?

ですね。あとはスタッフたちと相談しました。今回はmabanuaさんプロデュースでやるからこそ、いろんな人の意見を聞いて作り上げていこうかなというのがあったので、チームRyu Matsuyamaとして1枚を出すのを目指してました。さっきも言いましたけど、僕個人は「Boy」が推し曲でしたが(笑)、「Go Through, Grow Through」でも良かったし、実はどの曲もリードになるような可能性を秘めている曲たちなので、最後の最後まですごく迷いましたね。

-あと前回のEPからも「Sane Pure Eyes」が"Alternative Mix"として収録されています。

はい。なんかカッコいい名前ないかな~、"Alternative Mix"って良くない? って(笑)。以前のレコーディングのセッションを、今回のアルバムに合わせてミキシングし直していただいている感じですね。

-あとラストの「Friend」がすごく頼もしくて、不安や孤独も受け入れつつ、強さをもって前に進んでいくのを後押ししてくれるような感じでした。

ありがとうございます。2014年くらいかな、ドラムのJacksonが加入してから初めて書いた曲でとても思い出深い1曲です。すごく恥ずかしいことを言いますけど、この頃から誰もひとりじゃないんだなって思えるようになってきたって感じがあって。それを歌詞にできたのが良かったです。孤独って、付き合っていけばいいものでもありますから。孤独感って人それぞれですし、誰も孤独ではないと僕は信じていますので、それに"Friend"というタイトルを付けて書きました。

-Ryuさんの曲は明るいメッセージを届けつつ、底抜けに明るいというよりも、しっかり明るいものの側面にある影も描きながら作っている曲が多いなと感じます。

そうですね。僕は明るく振舞っているイタリア人気質の男ですが、中身は結構根暗だったりするので。明暗というか、暗いから光が見えますし、光があるからこそ、影が見えるので、そこらへんの境界線をくっきり――まさに"Borderland"を描いていけたらいいなと......うまいこと言ったな(笑)。

-その"Borderland"という今作のタイトルについてですが、今この言葉を掲げようと思ったのはなぜなのでしょう?

実は、ひとつの法則があって、今までメジャーでやらせてもらったEPも入れて3枚、"Between Night and Day"、"back & forth"、で今回の"Borderland"なんですけど、全部"B"と"And"が付いてる、このからくりというか、個人的にはずっと心掛けてたことがあって。誰も気づいてくれないんですけど......(笑)。

-すみません。たしかに! って今思いました!

(笑)でも、今回は境界線っていうか、国境っていうか、僕らの曲は3人全員いい意味で違う価値観の人間が合わさって作っている曲たちですし、それに今作は、新しい価値観を持ったmabanuaさんや、塩塚モエカさんもいて。今回のジャケットは、イタリアで画家をしている僕の父親(松山修平)が描いた絵で、NYのJoe LaPortaさんなど、本当にいろんな国境を踏んでできた新しい1枚なのかなと思っています。

-1曲目のインスト曲のタイトルも"Step over"=超えるという意味で。

それは完全に狙いにいきました(笑)。

-ところで、アルバム全体の制作は結構時間をかけて行われたんですか?

そうですね。今の時代で、データのやりとりだったんですけど、みんなそれぞれ制作用のソフトを持っていますので、あのときからテレワークはしてました(笑)。

-なるほど、もうテレワークは慣れっこなんですね(笑)。状況的に、ライヴなどは調整中だとは思いますが、ライヴで聴くとまた印象が変わりそうなのも、Ryu Matsuyamaの音楽の魅力のひとつだと思うので、早く聴きたいです。

そうですね。ライヴ・アレンジはめっちゃ違うと思います(笑)。まぁ引き続き音楽をやるのをやめなければいつかはライヴもできるかなと考えていますし。誰かがTwitterで書いてたんですけど、このあとコロナが落ち着いて最初のライヴをやったら、ミュージシャン全員ステージ上で泣くんじゃない? って。

-聴いている側も感慨はすごいでしょうしね。

お客さんも関係者も泣けるようなライヴをこれからできるような気がしますので、今は溜め込んでインプットの時間にして、全力でアウトプットできるようにして待っています。

-楽しみにしております。ちなみに、ジャケットの話も先ほど出たんですけど、Ryuさんのお父様である松山修平さんの絵画が使用されていますが、これはRyuさんからお願いされたんですか?

いやー僕ではないですね(笑)。僕はできるだけ親父との共演は避けたかったんですけど。

-やっぱりちょっと照れ臭いところもありますかね。

そうですね。くすぐったい感じはあります。ずっとやってみたいなとは思っていたんですけど、スタッフさんが提案してくれたりして、修平君の――あ、僕、親父のこと修平君って呼んでるんですけど。

-そうなんですね!?

そう。そうして周りの後押しもあって、今に至ります(笑)。まだ恥ずかしいですけどね。

-アルバムの曲を実際に聴いてイメージしてもらったんですか?

いや、これは、日本の倉庫があるんですけど、ジャケットのデザイナーの方と一緒に行って、そこからいっぱい絵を引っ張り出して、『Borderland』に何が一番合うかなぁって全員で選んで、このピンクと青がかかった1枚になりました。

-イメージして描いてもらったのかと思うくらい、海のようにも見えるこの絵が作品にぴったりだと感じました。

そうですね。まぁ抽象画なんですけど。僕も抽象画を描いている親父から影響を受けたところがあって。歌詞について、シンプルなんだけども、言葉の中でいろんな捉え方をしていただければ嬉しいなっていう書き方をしているんで、そこは親に感謝しています。今回ジャケットの絵も、手にとってくれる人によっていろいろと想像してもらえたら嬉しいです。

-ジャケットに使いたいとお願いしたときは、お父さんはどんな反応だったんでしょうね?

たぶんめっちゃ喜んでますけど、なかなか表には出さない感じです(笑)。でも、すごく喜んでます。

-今回いろいろと新たな挑戦をされましたが、今後してみたいことももうあったりするんですか?

mabanuaさんとぜひもう1枚やりたいなと思ってます。今回チームRyu Matsuyamaとしてmabanuaさんに参加してもらって築けたものは大きいです。この次の作品は、さらにいいものができるのではないかなと思っております。

-TsuruさんやJacksonさんも、mabanuaさんとの制作については何かおっしゃっていましたか?

すごく楽しんでやっていたと思います。Jacksonに関してはドラマー同士ですし、話が通じやすいっていうのもあったし、ブラック・ミュージックが好きなふたりなので、そこの感覚が似ているのが良かったんではないかなって感じもあります。Tsuruちゃんは、ベースとして"こういうアイディアでくるんだ"って新しい発見もあったし、それを踏まえたうえで、自分で飲み込んで新しいアレンジにしてみるみたいな挑戦もあったと思うので、3人共結構楽しくレコーディングに挑めたなと。

-では、ご自身で改めて振り返って、今作はどういう作品になったと思いますか?

僕はいつも"3人で作り上げました"と言ってますけども、今回は先ほども言いましたが、Ryu Matsuyamaチームで作った1枚だなと思います。このチームがどんどん広がっていっていることがすごくありがたいと感じていますね。チームとして、僕らがやりたいっていうだけではなく、みんなが見たいRyu Matsuyamaの景色を描いていきたいと思います。