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INTERVIEW

Japanese

Miyuu

2020年03月号掲載

Miyuu

Interviewer:石角 友香

アコースティック・ライヴの会場は自分でお願いしにいきました。これからもみんなで何かを作りたい


-共通言語というか、リファレンスとなる誰かのアルバムや曲の話はしましたか?

しました。例えば、その会議の中で挙げたのはCaravanさんのアルバムです。あとLisa Loebっていうアーティストが大好きで、曲ごとに"こういう打ち込みを入れたい"とか、"こういうギターを弾きたい"とか、いくつかLisa Loebの例を挙げて。他には、Tristan Prettymanっていうカリフォルニアの、サーファーでもあるオーガニックな感じのシンガー・ソングライターのアルバムに、1曲打ち込みの曲が入ってるイメージがすごくいいなと思ったんですよ。それで「two of you」って曲は打ち込みをメインで入れてみている曲なんです。

-「two of you」の歌詞がすごく好きで。これは女性と男性の視点で書かれています?

そうですね。タイトルが自分的にはすごく好きで、"two of us"だったら"私たちふたり"じゃないですか。でも、ちょっと"あなたたちふたり"で迷ってる曲にしたくて。誰でも通る道かと思うんですけど、好きな人がひとりじゃないときとかあるじゃないですか。そういうちょっと複雑な気持ちを表現したくて、今までガッツリ愛情とか恋愛について歌った曲がなかったんで、これに関しては複雑な愛情の気持ちを歌いたいなと思って作りました。

-この曲はパーカッションとペダル・スチールが印象的で、あまり他の音が入ってないから歌に集中できるなとも思いました。

ペダル・スチールは昔「into you」(2017年リリースの配信シングル)という曲や、「Southern Waves」(2016年リリースの配信シングル)って曲に入れてもらってたんですけど、それ以降あんまり使ってなくて。でも、この曲にどうしても入れたくて、弾く人を探してたんですけど、なかなかいなかくてギリギリまでどうなるかわかんなかったんですよ。で、全部録り終わって最後の最後に"発見しました!"、"お願いします!"って急遽入れてもらった感じです。

-歌詞が面白いなと思ったのは「someone's tune」。"暗闇で書いた歌は/誰の耳にも止まらない"とか、なかなか赤裸々な歌詞で。当時何か悩んでたんですか?

(笑)自分の感情を殴り書きしてるような曲が前のアルバムに関しても多かったんですけど、今回は私の提案した企画書から、"対誰かへの気持ち"を歌いたいっていうのをテーマにしてるんで、全曲"あなた"とか"君"とかって言葉が入ってるのを意識して作ったんです。この曲に関してはちょっとネガティヴなイメージの歌というか、毒づいてる感じの気持ちを書いてて。フィクションというよりは、自分の気持ちしか歌詞に書けなかったので、ガッツリ自分が思ったことを書きました。こうしたほうがいいよ、ああしたほうがいいよってアドバイスを貰ったりすると、"いや、そうちゃうのに"とか、なかなか納得できない自分がいて、納得できないから、自分の思い通りにしたらあんまり誰にも理解してもらえなかったとか、そういうことが多々あって。自分なりに"納得してやりました!"と思っても、どこかで腑に落ちてなかったり、周りは"素敵だね"って言ってくれたり、"ようわからへん"って気持ちをそのまま歌詞に書きました。

-たしかにそのままです。そして、「no one」はMiyuuさんにとってヒーロー的なミュージシャンというか、そういう存在がいるのかな? と思ったのですが。

高校のときに、グレてたとかじゃ全然ないんですけど、あんまり学校に通ってなくて(笑)。一応卒業したんですけど、春休みに補講に行ってたぐらいだったんです。でも、学校に行きたくなかったわけではなくて、最初のタイミングでちょっとミスしてしまって。刈り上げで......。

-どういう見た目にしたんですか?

それこそマイケミが好きだったんで、ギタリストのFrank(Iero)の髪型がかっこいいなと思って、2ブロックにして、片側をピンクに染めてたんですよ。"めっちゃかっこいい!"と思ってそれで行ったら怖がられて(笑)。入学式もデニムで行ったから、変に目立ってしまったんですよ。私はそんなつもりじゃなかったのに、意外に周りを見渡したらみんななんちゃって制服みたいなのを着ていて。たぶんそれをきっかけに学校に馴染めなくなったんです。別に無視とかをされてるわけじゃないのに、行きづらくなって。

-あぁ......。

なかなか自分から声を掛けることもできなくて。でも、そのときに音楽にすごく救われたというか、音楽を聴く時間が楽しかったんです。単位のために授業に参加せざるを得ないときもみんなの中にいるのが嫌で、隠してイヤホンでずっと音楽聴いたりしてたんですけど、それがすごい支えになったんですよ。だから、誰というより、音楽がヒーローで、憧れてるミュージシャンがいて、そういうものになりたいっていうふうに思って実際に音楽をしてて、そこを目指すけど、やっぱり自分は自分でしかなくて自分からはどうやっても逃げられないんだなっていうのを、音楽しててつくづく感じたんですよね。憧れを追いかければ追いかけるほど自分は違うんだっていう壁にぶち当たって、そういう気持ちが"no one"="誰にもなれない"っていう曲になってます。

-でも、高校生のときに1回そういう経験をすると強いと思います。

そのときの気持ちが結構残ってるから、劣等感じゃないけど、ちょっとそういう気持ちがあって、それが逆にエネルギーになって曲を作る理由になってたりするんで、たしかに自分にとって大事な時期だったなとは思います。

-さて、このアルバムを携えてのライヴもありますね。

今まで3回ワンマンをさせてもらってるんですけど、3月にまたワンマン("Miyuu BLUE・S・LOWLY ONE MAN LIVE")があって、しかも1部、2部と、1日に2回公演なんで、ちょっとドキドキしてて(笑)。去年の8月にも同じ構成でやった("COME COME ONE MAN vol.2")んですが、自分の中で準備が大変やったんで、早め早めにしよう! と思いつつ、結局ギリギリになったらあわあわしちゃうんだろうなと。今回ゲストも呼ぶので、セッションとか、新たな試みもあるし、すごく楽しみにしています。あとは今年の元旦から、クラウドファンディングでツアーしたいっていうのを目標に掲げてたんですけど、この間達成して自分に縁のある3ヶ所、大阪、福岡、愛媛でもワンマンをさせてもらうことが決まりました。そこに関してはオーガニックなライヴにしたいのと手作り感を大事にしようと思って、クラウドファンディングに参加してくれた人へのリターンのグッズも、プリントを自分で刷ってみたり、ひとつひとつ手作りしてます。会場もご飯を食べたり、コーヒーやお酒も飲めたりするカフェのスペースがいいなと思ったので、自分で会場にお願いしに行ったり。愛媛の会場も元旦におばあちゃんちに行ったタイミングで、自分で下見してきて、すごくいい場所なんですよ。お客さんと自分の距離が近くて、且つ生で聴いてもらえるような仕組みを作っていきたいなと思ったのが今回実現できるので、これからもみんなで作る何かっていうのをやっていきたいと考えています。