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INTERVIEW

Japanese

カミツキ

2020年02月号掲載

カミツキ

Member:MiZUKi(Vo) HAGI(Gt) SHU→TA(Dr)

Interviewer:山口 智男

-(カミツキの全曲を作っている)Kevin Aokiさんとは、こんな曲を作ってほしいという話はしたんですか?

MiZUKi:Kevinさんにはわりと会うたびに心境の変化をちょっと伝えたりしているんですよ。だから、感じ取ってくれてるのかなっていうのはありました(笑)。

-じゃあ、汲み取って曲を作ってくれた、と。できあがってきた曲を聴いたとき、いかがでしたか?

SHU→TA:今まで以上にストレートという印象がありましたね。

HAGI:そうですね。四つ打ちが多いですもんね。

SHU→TA:今までは変拍子を入れることを前提に作ってくることもあったので、今回はストレートだなっていう。だからドラムのフレーズに関して言えば、派手さはあるんですけど、玄人なことをやっているねっていうのは、ほぼないんです。最初は、変拍子を入れたほうがいいのかなと思ったんですけど、今回は、これがかっこいいよねと思えたので、だからそういうことはあえてしなくてもいいかって。

-ストレートだからということもあるんでしょうけど、ポップになった印象もありますね。

SHU→TA:メロディも聴きやすいですよね。いわゆる王道も王道な作りになっていると思いますね。そこはMiZUKiちゃんの心境の変化を汲み取って、Kevinさんが今回は、そういう打ち出し方をしていったほうがいいと考えたということだと思います。陽と言える楽曲かどうかはわからないですけど、ダークダークはしていない感じになっている。

HAGI:ちょうどいいですよね。明るすぎず、暗すぎず、エッジがあって、ストレートで。

-今回、タイトルにもある通り、ゲート=門をテーマにした5曲が収録されています。

MiZUKi:前作からそうだったように障害に立ち向かい、進んでいくっていうのが、カミツキの歌詞を書くうえで大きなテーマになっているんですけど、2019年、いろいろなことをしてきたなかで視野が広がって、見えるものが増えたんです。そこで、何かと何かが掛け合わさってというタイミングでしか生まれないもの、そのタイミングでしか超えられないものがあるんだってことを感じたことがあって。それを切り開いていくことで、今回は、ゲートを開いて進んでいくということをテーマにしました。

-その門が曲ごとに"限界×無限"、"過去×未来"、"変化×不変"、"光×闇"、"天使×堕天使"というふうに左右非対称というか、相対する概念になっているというヒネリが加えられ、作品を深くしていますね。

MiZUKi:自分の中で変えたくないものもあるし、変わろうとしても変えられないものもある。でも、進むためには変えていきたいという気持ちが歌詞を書いているときは大きかったので、その2個の気持ちを持ったまま、進んでいくことが大事なのかなと思ったんです。それで、ひとつのことにこだわるよりも――例えば、絶対に変えたくないと思うよりも、変わりたい、変わりたくないという気持ちを、反対のものだけど、どちらも受け入れて、両方を持ったまま進んでいくことに意味があるというメッセージを込めて、左右非対称にしました。

-例えば、MiZUKiさんの中で、変わりたくないけど、変えていかなきゃいけないと思うのはどんなことですか?

MiZUKi:人見知りとか(笑)。さっきも言ったように人とたくさん接した2019年だったんですよ。その中で、私がいくら心の中で、ありがとうと思っても、ちゃんと伝えなきゃわからないと思うことがあって。自分の気持ちを言葉にするのは、ほんとにすごく苦手というか、面と向かうと、どう言葉にしたらいいのかわからなくなっちゃうことが多いんですけど、それを変えてでも伝えなきゃって思ったりもして。

HAGI:でも実際、変わってきましたね。

SHU→TA:インタビューのたび、同じことを言っているかもしれないけど、常に変化しつづけている感じは、見ているとありますね。

-今回の歌詞は、より等身大のMiZUKiさんが感じられるものになっているから、これまで以上に多くの人に届きそうですね。

MiZUKi:1枚目(2017年3月リリースの1stミニ・アルバム『Five Days After Infection of Vampire』)、2枚目(2017年10月リリースの2ndミニ・アルバム『CLOCKWISE HERO』)の頃は人と接するのが苦手だったし、空想で書くことが多かったんですけど、今回は、自分の経験や感じたことが歌詞に反映されているものが多いのかなと自分でも思います。

-特に5曲目のバラードの「Angel」は、歌い手としてのMiZUKiさんの気持ちが表れているように聴こえますね。

MiZUKi:今回は、一曲一曲、ゲートを開きながら戦っていくという物語になっているんですけど、「Angel」は戦いながら、変わるためにいろいろ捨ててきたものがあるなかで、改めて自分を見つめ直したときに、それは本当に自分がなりたかった自分なのかという思いを込めた曲なんです。

-"「世界を変える」なんて/十字掲げ 謳う 天使は/見上げた 罪さえ まだ気付かない まま"という歌詞が何やら重くて。しかも、そのあと、"世界の裏側で/もう一度会えるまで"で終わるじゃないですか。歌い手としての覚悟なのかなと思ったのですが。

MiZUKi:"世界を変える"っていうのは、自分の意識とか立ち振る舞いとかも含めて、私の中の世界を変えなきゃっていう決意のことなんです。今現在も含め、これまでそういうふうに思いながら活動してきたんですけど、その中で、自分は変わらなきゃと焦っている間に、もしかしたら知らず知らずに傷つけているものもあるかもしれないし――と思う場面が実はちょこっとあったんですよ。変わりたいと思うことは間違いじゃないけど、その都度その都度、ちゃんと自分を見つめ直せているのかなと向き合った曲なんです。この曲の中で、鏡に映った自分が、変わってしまった自分を恨んでいるという物語を書いているんです――それはいろいろなものを捨てたり、傷つけたりしてまで、今の自分にはなりたくなかったと過去の自分が思っているからなんですけど、最後は、自分が思っている正義になれなかった今の自分を、過去の自分が世界の裏側に引き込んでいくというところで終わるんです......けど、次の作品はその続きになると、私は今考えています。

-"罪"というのは、何かを傷つけてしまったことを言っているんですか?

MiZUKi:私自身に重ねた部分で言ったらそうです。でも、この主人公は全部、私というわけではないので。前作から続いている、特別な力を手に入れて覚醒した主人公の物語なので、私と重ねて描いた部分はそうかなと思っていますけど――

-それに限ったわけではない、と?

MiZUKi:聴いてくれた人が、その人自身のどういう部分に重ねるかは任せているというか、みんないろいろな環境の変化で自分が変わらなきゃと思ったり、逆に、誰かが変わってしまったところを目の当たりにしたりすることはあると思うので、そういう体験と重ねてもらってもいいし、あくまでもフィクションとして、この主人公は、そんなふうに思っているんだと想像してもらってもいいし、そこは聴き手に委ねています。

SHU→TA:そうなんだ。"世界の裏側で"ってブラジルのことだとばかり思ってた(笑)。

-そういう解釈もありだ、と。

MiZUKi:いいんじゃないでしょうか(笑)。