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INTERVIEW

Japanese

山本彩

2019年09月号掲載

山本彩

Interviewer:沖 さやこ

2019年に入ってから大小様々なキャパシティの全国ライヴハウス・ツアーを開催し、その期間中に楽曲制作や1stシングル『イチリンソウ』をリリースするなど、パワフルに活動する山本彩が、早くも2ndシングル『棘』を発表。彼女の持つ荒々しさが気高く表れた表題曲、LUCKY TAPESのKai Takahashiとのフィーチャリング楽曲など、シンガー・ソングライターとして精力的に活動する彼女を体現した作品が完成した。夏フェスでのステージの心情や楽曲の背景を訊きながら、彼女の現在のモードを探る。


今は自分自身がまだまだであることを自覚したうえで、自分自身に可能性を感じているし、期待もしている


-グループ卒業後初作品であり初シングル『イチリンソウ』(2019年4月リリース)に続いての2ndシングル『棘』。その表題曲の歌い出しが"今日もまた一輪の花が枯れていった"だったので、思わず笑っちゃいました(笑)。

あははは(笑)! 実は周りの人から言ってもらってそれに気づいたんです。

-えっ、そうだったんですか。

「棘」はグループを卒業してから曲作りをしていた時期......去年の年末から今年に入ったあたりの期間に作ったストックの中の1曲なので、"「イチリンソウ」の次にこういう曲を作ろう"というふうに作ったものではないんです。

-予期せぬところで生まれた関連性ということは、花がモチーフになったものが生まれるのは、山本さんにとってとても自然なことなんでしょうね。

うん、そうですね。過去にも「レインボーローズ」(2016年リリースの1stアルバム『Rainbow』収録曲)という曲を作っていたり、花言葉をテーマにして取り入れたりしてて。そういう奥深さがすごく好きなので、自分の引き出しの取り出しやすい位置には、常にあるものなのかもしれないです。

-「棘」は"ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019"のステージで初披露なさっていました。あの日は阿部真央さんと「喝采」をコラボするなど、かなりハイテンションで楽しそうな姿が印象的で。でもあの炎天下でふらつくことなく、よく最後までフル・パワーでやりきりましたね。

暑さとかも全然感じなかったんです(笑)。ステージに出てきた瞬間から、ものすごい数のオーディエンスの方々がいらっしゃることに感動と喜びがあって、阿部さんともコラボしたあとは一気にアドレナリンが出て、ただただ楽しさしかなかったですね。私の出たステージには、後ろのほうに屋根があって、そこで座って観てくださっている方々や、端っこのほうで拳や声を上げるでもなく観ていた方々を煽りにいったら、リアクションしてくださったり――初めての方々にもたくさん観ていただいて、それが届いていることを実感できました。

-初見の人たちに観てもらえるのは、フェスの醍醐味のひとつでしょうね。

初めて観てくださる方々が多い場所は、いい緊張と興奮がありますね。始まる前は不安があったり、ビビってたりとかもするんですけど、そういう場所に出させていただくたびに、その緊張を力に変えていくことが身についていく感覚があります。ワンマンとは違うパワーが発揮される場なのかな、と思いますね。正直、山本彩はまだまだアウェイだと思うんです。でもそういう場所でこれだけ楽しんでライヴができるんだな......とこの前の"ROCK IN JAPAN FESTIVAL"では思えましたね。

-春に行った全国ツアー"山本彩 Tour 2019 I'm ready"の経験も大きく影響しているかもしれませんね。

そうですね。ツアー"I'm ready"は、会場でのお客さんとの距離感も今までに体験したことがないものでしたし、今まで行けなかった土地にも行けたり、自分が予想していなかった場所で声を出してくださったり、バンド・セッションもできたり――それこそツアー中に生まれた曲もあったり。すごくいろんな経験ができました。

-「棘」はバンド・サウンド感が強く、反発心や屈強な意志が明確に出た曲で、ライヴでも堂々とした存在感を放っていました。これだけ強い曲が生まれたのには、どういう背景があったのでしょう?

反骨心がすごく生まれてる時期に作った曲ですね。その結果これだけ荒々しい、感情をぶつけるような曲が生まれたんだと思います。夜中1時くらいにSNSを見ていて、なんだかむかむかむかむかしてきたり(笑)。

-あははは(笑)。ちょっと落ち込んでいるところにSNSが追い打ちをかけるのは、あるあるですね。

それ以外にもいろんな気持ちや出来事があって。それでバッとギターを取って、うりゃ! って感じで作りました(笑)。グループの卒業を発表してから並行して曲作りをしていて、そのときはそのときなりの不安や葛藤が曲に表れていて。今振り返ってみるとあのときはキャパオーバーになり気味だったのかもしれないな......と思います。今は自分自身がまだまだであることを自覚したうえで、自分自身に可能性を感じているし、期待もしている。前向きに、いろんなことに好奇心を持って活動できているなと思っていますね。でもいつもそういうマインドをキープできるわけではないから、そういうときにこういう曲が生まれるんだなー......という発見がありました。

-となると、過去の日記を読み返すような感覚でしょうか。

そうですね。いい意見もたくさんいただくのに、嫌な声や考えをスルーできず、そっちばっかりに過敏になってしまった時期でした。レコーディングをしながら、そのときの感情がふつふつと蘇ってきました(笑)。みなさんそれぞれに生きる場所があって、そのなかで自分らしくいることを肯定されないこともあるだろうなと思うんです。自分を肯定することを後押しできるような曲にしたかった。歌ってる自分自身も、聴いてくださるみなさまもいい意味で振り切って、開き直って(笑)、自分を清々しく肯定していただけたらなと思います。