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INTERVIEW

Japanese

aint

2018年08月号掲載

aint

Member:ニシダ コウキ(Vo/Gt) 海野 タカアキ(Gt)

Interviewer:加藤 智裕

-この前の金井さん(BIGMAMAの金井政人/Vo/Gt)との対談(※6月号掲載)時にニシダさんからお話はうかがったので、作曲者の海野さんから、金井さんとのエピソードなどあればうかがいたいです。

海野:考え方が根本的に違うので新しいなと思いました。金井さんには歌を押しにいくアドバイスをいただいたんですけど、僕にはその発想は出てこないなと。普段、歌が入っているバンドを聴かないから、歌の立たせ方とか音の録り方とかも"こういう立たせ方あるよ、こういうミックスの仕方あるよ"っていうのを教えていただいたのが功を奏したかなと思います。

-今作には9曲中6曲(「君のこと」、「Moondrop」、「アカシ」、「明日が来るまで」、「透明な世界」、「hello」)がこれまでの音源から収録されておりますが、どういった基準で選ばれたのですか?

ニシダ:ひとつは単純にドラムが6月に入ったので、曲作りが遅い状態で、なかなか曲ができなくて。今ある楽曲をブラッシュアップして、もう1回レコーディングして世に出してしまえば、他にレコーディングする楽曲がないじゃないですか。それで自分たちが曲を作るしかない状態にしてしまおうと思ったのがあって。もうひとつは、前に録った楽曲が自分たちでセルフ・レコーディングしていた楽曲だったので、納得していない部分も多々あったから、きれいにして出したいというのがありました。

-再録してみて改めてこれまでの楽曲をどう思われました?

海野:めちゃくちゃ変わったなと(笑)。

ニシダ:レコーディングする前にアレンジとかも変えてみて、改めて聴くとかっこ良くなったなっていう曲ばかりで。そこはかなり満足してます。

-その中でも「アカシ」は、1stデモ『アカシ/hello』(2015年7月リリース)、アコースティック盤『Acoustic e.p.1』(2015年12月リリース)、1st EP『ハナノアト』(2016年リリース)、そして今作と、ことあるごとに収録されていますが、バンドとしてもやはり思い入れのある楽曲なのですか?

海野:初めてできた曲ですね。

ニシダ:この曲はタカアキ君がもともと作っていた曲で。

海野:aintを始める1年か2年前ぐらいから――

ニシダ:aintを作るきっかけになった曲ですね。

-新曲の「催花雨と踊り子」は今作の中でも最も優しい曲だと思いました。恥ずかしながら"催花雨(読み:さいかう)"という言葉は初めて見たのですが、どうしてこのタイトルに?

ニシダ:福岡のバンド"くだらない1日"とツアー(2018年3月開催)を回って、それのツアー・タイトルが"催花雨前線ツアー"というタイトルだったんです。そのバンドが上京するタイミングで一緒に回ることになっていたツアーで、それがちょうど春のタイミングだったので"お互いのバンドが春の雨で咲くように、お互いに高めあっていけたらいいね"という意味で付けたんですけど、そこから"催花雨"を貰って、それにちなんだ感じで歌詞を作った曲です。

-この曲もこれまでのaintからすれば挑戦的な楽曲だなと思いました。

海野:これまでアップテンポな楽曲や変拍子強めの楽曲を作ることが多かったので、自分の中で課題と課していたのが、変拍子がなくて、ギターも難しくなく、ドラムもシンプルで、歌を立たせるということだったんです。それをコンセプトに半年くらいかけてメンバーに提出したのが「催花雨と踊り子」ですね。

ニシダ:アップテンポばっかりだったので、ライヴの緩急をつけたいと、ゆっくり目の曲をリクエストしてました。あと、男女ヴォーカルの絡みを意識し出したのは「催花雨と踊り子」ができたことの影響が強いですね。

海野:usakoに歌ってみてって言ったのもコウキ君だよね。

-それまではusakoさんは特に歌われてはいなかったのですか?

ニシダ:最初はコーラスぐらいで、あとは本人がやれるところをっていうぐらいだったんですけど、「明日が来るまで」ができたタイミングでメイン・ヴォーカルをやらせてみて、「催花雨と踊り子」ができて1曲丸々一緒に歌ってみようかって感じで一緒に作っていきました。

-この曲中でもそうですし、aintの楽曲ではポエトリー・リーディングが出てきますよね。特に歌詞には記載されておりませんが、内容はどう決まっていくのでしょうか?

ニシダ:「催花雨と踊り子」のポエトリー部分に関しては、僕の頭の中にあったストーリーを要約して、この曲ができるきっかけになった"催花雨前線ツアー"で一緒に回ったバンドのヴォーカル(高値大輔)に入れてもらいました。僕とusakoもちょろっとポエトリーを入れつつ3人でやってます。他の楽曲のポエトリーは清風が基本やっているんですけど、そこは歌詞とかも本人任せというか。

-感情の赴くままにというか(笑)。ライヴごとで歌詞が変わったりするんですか?

ニシダ:本人的にはちょいちょい言っていることを変えたりしている日があるらしいんですけど、僕らは全然わかんない(笑)。

-「催花雨と踊り子」のストーリーはどのようなことを思い浮かべていたのですか?

ニシダ:落ち込んでいる男性がいて、ふと現れた女性に癒されていくじゃないけど、でも結局その女性は消えてしまって悲しいまま終わってしまうという......。僕、ハッピーエンドの曲があまり書けなくて、悲しいまま終わっちゃう曲が多いんです。

-歌詞で言うと今作は"僕と君"の話が多いですよね?

ニシダ:男女ふたりの話が多いですね。

-どの楽曲でも"君"が出てくるのですが、「Alnitia」だけ"あなた"になっているのが気になって。これは意識してですか?

ニシダ:僕は頭の中でストーリーを作っていて、私生活とか関係ない歌詞のことが多いんですけど。「Alnitia」は何か嫌なことがあったときに自分の私生活の部分から捻り出したところが大きいのでそれでかなと。

-基本はフィクションなんですか?

ニシダ:フィクションの中にちょいちょい自分の感情も混ぜつつ、あまりばれないように(笑)。

海野:「明日が来るまで」、「透明な世界」の歌詞を出されたときは"コウキ君、大丈夫かな?"って思いました(笑)。

-どうして男女の歌詞になってしまうんでしょうか?

ニシダ:なんででしょうね......。

海野:僕からしたらめちゃくちゃ嬉しいんですけどね。曲を書く段階では歌詞も歌のメロディも作ってないのでオケを聴いての想像がこれになるんだったら、実は僕もそういうふうに書いてますよって(笑)。

ニシダ:言っちゃっていいのかそれは(笑)。

海野:でも歌詞がきて、そう捉えた!? っていうのもありますし。

ニシダ:まぁ、男女(の歌詞)になるのはメンヘラだからだと思います(笑)。

海野:高低差はすごいね。