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INTERVIEW

Japanese

長靴をはいた猫

2018年07月号掲載

長靴をはいた猫

長靴をはいた猫

メンバー:鶴(Vo/Gt) ヤナギ(Gt) あんじー(Ba) イノウエケンイチ(Dr)

インタビュアー:蜂須賀 ちなみ

下北沢発の4ピース・バンド、長靴をはいた猫。童話の世界から飛び出してきたバンド名に反して、彼らの生み出す音楽は静寂と激情を大きく行き来するもの。女性ヴォーカル、鶴による日本語の響きを大切にした歌詞と、人を信じ切れずにいるような主人公の描写、彼女の歌声と共に呼吸するようなバンド・サウンドが特徴的だ。そんな彼らが2nd EP『仄明かりに溺れる』をリリースしたことを記念し、このたびSkream!ではメンバー全員にインタビューを敢行。まだまだ謎の多いこのバンドの真の姿に迫ることを試みた。

-まず結成の経緯をうかがえますか?

イノウエ:全員大学の同じ部活の先輩後輩なんです。僕がサークル内でやっていたバンドがあって、あとヴォーカルの鶴も前にやっていたバンドがあったんですけど、どっちのバンドも流れちゃって。それで何かやりたいねっていう話をしながらメンバーを集めて、ようやく昨年の3月から活動をし始めたっていう感じです。

-みなさんもともとどういう音楽が好きなんですか?

イノウエ:僕は宇多田ヒカル、スキマスイッチみたいなメロディのきれいなJ-POPをずっと聴いていて。高校に入ってからバンド活動や楽器を始めたので、そこからアジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)とかを聴き始めました。最近のバンドでよく聴いてるのはMrs. GREEN APPLEですね。

鶴:私はバズマザーズ、ハヌマーン、ゆれるです。

あんじー:自分は結構古めの洋楽とかですね。(※GUNS N' ROSESのポスターを指しながら)ここに並んでるやつとか"おぉっ!"って思いました(笑)。

ヤナギ:僕はthe cabsとか、もうちょっとインディー寄りだとMarmalade Butcherとか。技巧的で激しい系ですね。

-長靴をはいた猫の曲って、メロディはきれいなのにアンサンブルは結構複雑ですけど、それってお互いの嗜好を持ち寄った結果なんでしょうね。結成からまだ1年強にして"RO JACK for ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018"に入賞していますし、若いバンドにしてはMVの再生数も多いですし、注目を集め始めている時期だと思いますけど、そのあたりの実感ってありますか?

イノウエ:基本的にはなかったんですけど......4月のライヴは大阪の女の子が、5月のライヴは台湾の人が観に来てくれたんですよ。YouTubeのコメントでもそうなんですけど、東京だけじゃなくて、いろんなところから"応援してます"、"毎日聴いてます"っていうふうに言ってくれる人がいるのを見ると、多少実感が湧くというか、ちゃんと聴いてもらえてるんだな、嬉しいな、と思いますね。

ヤナギ:Twitterの話になるんですけど、俺はそんなに大したことを呟かないのに、ファンだと思われる方たちがフォローしてくれるようになって。その人たちのプロフィール欄に"長靴をはいた猫"って書いてくれてるのを見たとき、"あ~、アーティストとして認知されてるんだな"って感じました。

-バンドのキャッチフレーズとして"「上手く泣けなかったあなたに。」"という言葉を掲げていますが、あれはどなたの案ですか?

鶴:私が考えました。曲を作るときの一貫した軸のようなもので、いつもそういうコンセプトで書いてるんですよ。大人になっていくにつれて、転んだときや道に迷ってわからなくなったときに泣いたりしなくなるじゃないですか。たぶんそれって正しいことで、というか大人になっていくにつれて、みんなそうなっていくんだろうなとは思うんですけど、それが100パーセント正しいとは限らないよねっていう。大人だってたまには泣いたっていい。そうやって爆発できるところも必要だよねって思うんですよ。

-鶴さんにとってはその場所が音楽なんですか?

鶴:そうですね。負の感情を認めるじゃないですけど、自分にとっての音楽は、自分が悲しかったことを"悲しかったんだ"っていうふうに認められる場所というか、開花させられる場所だったりするので。そういうもので共感できる人に出会えればいいなって思っています。

-今話していただいた考え方をするようになった具体的なきっかけってありますか?

鶴:バンドを始めたとき、自分が高校生のときからなんとなくそういうのが根底にあったんですけど――これといったきっかけはないですね。音楽ってたぶん溶け込むものなんですよ、日々に。だから"この曲に救われた"とか"この歌詞にすげぇ共感した"とかそんなことよりも、一番大事なのって、映画のワンシーンみたいに全部が溶け込むような瞬間だと思うんですよね。自然にポロッと泣いていたり、いつの間にか感動してたり、ふと悲しかったことを思い出したり、そういうことが大事だなと思って生きてきたので、自分もそういう音楽を作ろうと思っています。

-では新譜の話に移りますが、改めて、どんな作品になったとみなさんは感じていますか?

鶴:前作(2017年リリースの1st EP『藍微塵の花言葉』)よりも作曲のクオリティが上がってると思います。主に彼(イノウエ)の。

-前作も今作も作曲は鶴さんとイノウエさんで1曲ずつ、作詞は2曲とも鶴さんが手掛けていますね。

鶴:「泡雪」(『藍微塵の花言葉』収録曲)を最初に彼が出してきたときは、結構メリハリつけなきゃいけないところが多くて再編曲みたいなことをしたんですけど、今回はバシッとキメてきた感じがありましたね。あんまり直す必要がなかったので、成長しましたね~っていうふうに思いました(笑)。