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INTERVIEW

Japanese

NOTHING TO DECLARE×彼女 IN THE DISPLAY

2018年06月号掲載

NOTHING TO DECLARE×彼女 IN THE DISPLAY

NOTHING TO DECLARE:Mas(Vo/Gt)
彼女 IN THE DISPLAY:RYOSUKE(Vo)
インタビュアー:高橋 美穂 Photo by RIKA(ROCK HAiR FACTORY店長)

-そんな真逆なところもありつつ、お話を聞いていると、カッコいいという価値観は同じなのかなと思ったんですが、そんな耳で聴いたお互いの新作をどう思いましたか?

RYOSUKE:いや、ずっとカッコいいんですよ。僕、もともと海外のプロレスがめっちゃ好きなんです。WWEとか。そこ発信で音楽が好きになったんですよ。ああいうサウンドが流れてるなか、屈強な男が出てくるっていうところが好きで。

Mas:へぇー!

RYOSUKE:当時WWEで流れていたのはLIMP BIZKITとか、MARILYN MANSONで。だから、DECLAREが流れて屈強な男が出てきたらたまんねぇな! っていう。そういうワクワク感で毎回聴いてたんですけど、今回はわりと壮大じゃないですか。明るさもあって。だから、"何かインスピレーションを受けたところがあったのかな"って思ったんですよね。

Mas:なるほど。自分の芯は変わっていないと思っていて。ただ、最初は攻撃性を前に前に出していたけど、ライヴをやっているうちに、お客さんが来てくれたり、仲間が増えてきたりして、少しずつバンドをやる意味が多くなってきたのかな。みんなと会話をしたいと思い始めて、ライヴを想像しながら書く曲が増えたり、みんなを包み込む曲にしたいと思うようになったり。ただ、核は変わらず、今まで聴いてきたロックかな......古き良き。

RYOSUKE:わかります。

Mas:だから、変わったというより広がった感じ。

RYOSUKE:そう聞くと理解できます。リリックも柔らかくなりましたか?

Mas:うん。今回は、聴いてくれた人を"行くぞ!"ってリードしていくような感じ。前向きになったのかな? 今まで後ろ向きだったわけじゃないけど(笑)、ちょっとドロドロしたところを出していたので。RYOSUKE君は、今回の自分たちの歌詞はどう?

RYOSUKE:良くも悪くも変わってないでしょうね。

Mas:うん。ずっと俺が好きなところは残っていて。歌詞の置き方や、洒落っ気を出しすぎず、一音一音出していくっていう。そして、気持ちいいところにビブラートが入っている。

RYOSUKE:ありがとうございます。でも、まだ練習段階ですね。僕は洋楽に影響を受けて音楽をやっているんで、最初は適当な英語で歌って、あとから日本語にしていくんです。その自分の中でのいい塩梅の"正解"が、まだ導き出させていない気がして。そこが噛み合えば、日本語ロックで、なおかつ洋楽を通ってきた道筋が見えてカッコいいという、他のバンドとは違うものが出せるんじゃないかな。

Mas:メロは誰がつけてるの?

RYOSUKE:僕です。(曲を)メンバーとセッションで作ったり、データで貰ったりして。コードさえ鳴らしてもらえれば適当に歌えるから。ただ、自分の中のバックグラウンドを表現しきれていないんですよね。徐々に今回そのフラストレーションが解消されて、糸口が見えてきたかな。

Mas:なるほどね。日本語って、一音一音出す必要があるから。

RYOSUKE:そう、だから疾走感を出すのが難しくて。気がつくと、ルー大柴みたいになってるんですよね(笑)。

Mas:(笑)でも、英詞は少ないよね?

RYOSUKE:どっちもやりたいんです。英詞は、海外に住んでいたわけでもないし、身体に馴染んでいるわけではないので、まずは日本語から昇華して。

Mas:洋楽で育って、ハミングも英語交じりで、日本語を入れるわけじゃん。でも、恥ずかしがらずにって言ったら変だけど、ちゃんと歌詞が聴こえるよね。メロディに乗せるために作りましたって感じじゃない。

RYOSUKE:ここに至るまで、見せたくない出来だったものがたくさんあるんですよ(笑)。ロックは海外発祥だから、英語の方が合うのは当たり前で。そこをうまい具合に昇華できたらいいんですけどね。

Mas:でも、独自のアクセントをちょっと持ってる気がする。

-Masさんの場合は、歌詞をメロに乗せるときにどんなことを考えますか? 英詞なので、また違った話になるとは思いますが。

Mas:曲もメロも僕が書くので、降りてくる順番も違うんだよね。サビのメロからのときもあれば、ドラムのリフからのときもある。そこから肉づけしていくので、僕は比較的自由かもしれないですね。自分で変えちゃうこともできるし。

RYOSUKE:曲を作っていて、スランプとかありました?

Mas:あった。でも、メンバーみんなに相談したかな。叫ぶ曲も歌い上げる曲も、いろんな曲を書くから、"どの方向にいけばいいんだろう?"って思ったこともあったけど、"全部うちって思えばいいんじゃない?"ってメンバーが言ってくれて。

RYOSUKE:難しいですよね。僕も、いろんな曲を書いていると、自分のアカウントが増えていく感覚があるんです。そうしたかったわけじゃないし、ルーツの自分はひとりなんですけど、いろいろトライしていくうちに、どれが正しいのかわからなくなって。結成から8年くらい経ちますけど、ようやくひとつのところに着地した感じがあります。でも、来年は言っていることが違ってるかもしれない(笑)。

Mas:ははは(笑)!

RYOSUKE:そのときは対談じゃなく"相談"になります(笑)。

Mas:(笑)でも、変わっていくことはいいことだと思う。ずっと聴いているTHRICEってバンドがいて。音はパンク系で、メタル色が入って、ポスト・ロックにいったり、ガレージにいったり、デジタルにいったり、常に変わり続けているから、聴いていて俺も(趣向が)広がるし。でも言っていることはひとつっていう。"前作から今まで、どういう気持ちだったの?"って問い掛けを持って新作を聴くと、"へぇ、こんな感じだったんだ"って、音だけで人生がわかる。

RYOSUKE:そういう話を聞くと救われます。