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INTERVIEW

Japanese

みのべありさ

2017年11月号掲載

みのべありさ

インタビュアー:秦 理絵

-悔しさとか迷いが強く出てるのは「Link」と「世界はトンネル」の流れですよね。この曲を聴いたとき、この人には歌わねばいけない理由があるんだなと思いました。

この曲は自分に言ってますからね。でも結局自分に響かないと、人には響かないと思うんですよ。今回、ミックスのときに「Link」を聴いて号泣しました。この曲に"ありがとう"って思って。でも"これでいける!"って思いましたね。

-自分の気持ちを曲として吐き出すと、やっぱり気持ちが成仏する部分もあるんですか?

そうなんですよ。だいたい、深夜2~3時ぐらいに曲を作るんですけど、そうするともう何もなくなって、ふっと4時くらいに寝られるんです。それを次の日聴いても"いいな"って思ったら、オッケーっていう感じですね。

-まさに「カーテン日和」は朝5時に悩んでる曲ですもんね。

これも迷ってるときの曲ですからね。でも、こういう人は多いのかなって思うんですよ。それが自分だけじゃないっていうのを知れたから、前よりも聴いてもらう人が"どういうふうに思うんやろう?"って考えながら書くようになったなと思いますね。


私は感覚人間なんです、全部に対して自分の感覚を必死に伝えて、それが"いい"って言ってもらえたら嬉しい


-アレンジの膨らませ方はどうしてるんですか? 「Train Rain」とか「カーテン日和」とか、ロックなバンド・サウンドでもテイストの違う曲になってますし。

私とサポート・メンバーとで一緒に作ってるので、自分の頭の中で鳴ってる音のイメージを伝えてるんです。でも、それが一番苦手なんですよ。まず最初に色で言うんですよね、この曲はオレンジとか。でも、それでわかってくれるメンバーなんです。

-すごい。

そう、すごいんです。私じゃなくて、周りが。

-オレンジの曲というと、「Presents」とか?

「Presents」はピンクですね。アルバムの曲は全部色が被らないようにしてるんです。カラフルなのが好きなので、12色の色えんぴつみたいな感じですね。前のアルバムもそうなんですよ。私、感覚人間なんです。全部に対して。"言葉で伝えるのが難しい感覚"を伝える作業を必死にして、それが"いい"って言ってもらえたら嬉しいです。

-いまは音楽が自分の感覚を伝えるツールとして機能してるけど、音楽がなかったら、ありささんは生きるのがちょっとしんどいかもしれないですね。

ほんまに音楽がなかったら、私は自分が何者なのか? みたいになる人やと思います。でも、もっと普通に生きてた気もしますけどね。ここまで自分のことを深く考えられるのは、やっぱり曲を作ったからやし。いったん曲として自身を出して、そこから自分で見るのが楽しいんです。"私こんなんなんや"って、曲が鏡みたいな感じです。

-じゃあ、このアルバムのタイトルが"Sensation"なのも、日本語のセンセーションっていう"大騒ぎ"みたいな意味じゃなくて、"感覚"の方なんですね。

初の全国流通なので、わかりやすく言いたかったんですよね。私がどういう人なんやろう? っていうのを伝えたくて、"私のセンスはこれや"っていうのを出したかった。音楽のセンスとか感覚、人柄、全部ひっくるめてのセンスです。

-曲を作ることで、自分を探すって言ってましたけど、アルバムが完成したことで改めて見えてきた自分自身ってどういうものでしたか?

今回、周りの人に優しくなれたんじゃないかと思うんですよね。いままでは"どうせわかってくれないやろう"とか冷たい態度だったんですけど。このアルバムを作る過程で、いままでよりもたくさんの人が協力してくれて、みんなが"いい"って言ってくれたから、自分に自信もついたし。もっと自分を探せていけそうな気がします。

-まだまだ自分探しは終わらない?

それは一生見つからないと思うんですよね。だけど、理想の自分には近づけたかなと思います。

-ありささんの理想はどういう自分なんですか?

これ! みたいなのはないんですけど、なんやろう......うーん、人を好きになることかな。あんまり好きじゃなかったので。音楽に成長させてもらって、もっと人に優しくなりたい、それが理想の自分なのかな。

-「世界はトンネル」では"この世界の優しさは不器用すぎて隠れている"って歌っているし、たしかに人の優しさを信用できてないところが曲に出てますもんね。あと「Link」でも、"冷たい人はあたたかく 厳しい人は優しい"って歌ってるし。

たぶん、人の優しさを信用してないんですね。何があったわけでもないんですよ。別に平凡な家庭だったんですけど。なんやろ......優しくされすぎて、それが当たり前すぎたのかな。それで、いままでのCDも全部ひとりで作ってきたところがあるんです。でも、ひとりでやれば、100パーセント思いどおりにできるけど、それだけだと超えられないものがあるっていうことも、初めてわかったんですよ。

-この先も1枚1枚、人間として大切なものを拾い集めて活動ができるといいですね。

それが楽しいですね。そのためだけに音楽をやってるんだと思います。そこだけは何年もブレてないんですよ。私が表現するものは音楽しかないんです。