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INTERVIEW

Japanese

BALLOND'OR

2017年07月号掲載

BALLOND'OR

Member:MJM(Vo/Gt) NIKE(Gt) CREAMMAN(Ba) AKAHIGE(Dr) †NANCY†(Syn)

Interviewer:石角 友香

ノイジーなハードコアもUKロックの叙情味も、日本語ロックのリアルも詰め込まれた、近年には珍しいハイブリッドでヤバいバンド、BALLOND'OR(バロンドール)。彼らが、0.8秒と衝撃。や夜の本気ダンスを輩出したactwiseから待望のニュー・アルバム『MIRROR MIND』をリリース。かっこよく言えば、バンドという生き方を選んだこだわりの集団、ぶっちゃければ、バンド以外の生き方ができない人たち。思わず"トレインスポッティング"の話題で盛り上がったことから、このバンドの持ち味や独特の繋がりがわかる対話をお届けしよう。


何もかもうまくいかないときに夜通し繰り返して観た映画が"トレインスポッティング"


-新作を聴いた感じやアーティスト写真から、日本のバンド・シーンのバンドっぽくない印象があって。どちらかというとUKっぽいかと。

NIKE:イギリスのバンドにはみんな影響を受けてますね。基本、被るところはブリットポップとかシューゲイザーとかオルタナで。それを日本でどうやろうかな? みたいな感じで結成しました。

-冗談かわかりませんが、MJMさんとNIKEさんの失恋も契機になっているとか。

MJM:あ、それは結構マジです。でも、そこに深い意味はなくて、最初に組んだときに失恋をしてしまって、やる気がまるで起こらなくなってしまったんですよ。もうどこか、知床半島とかの田舎に行こうかなと思ってたときに、彼(NIKE)が"音楽やんないか?"って誘ってきて、それで結成したんです。

NIKE:もともと友達で。もう深刻なくらいに引きこもってたので、このまま行くと知床の土になるかな? と思うぐらいで。

MJM:彼は俺を誘った前日ぐらいにフラれたらしくて。

NIKE:僕も絶望的な状況だったんですけど、"こいつだったらわかり合えるかな"と思って。それで音楽をやろうと思いました。

-人間不信になるような経験をした前とあとでは、歌詞も変わったんじゃないですか?

MJM:あぁ、それはあるかもしんないですね。もともとパンクとかハードコアとかエモとかが好きだったんで、そういう激しい音楽をやってたんですけど、失恋をしたタイミングで、そういう音楽が"きついな"と思えてきて。ただ単純に、やる気が何もなくなっちゃったんですよ。無の状態。で、やるんだったらドリーム・ポップみたいなものを想像してたんですけど、結局やっぱりロックがすごく好きだったというか。失恋に失礼ですけど、そんなことよりロックとかパンクの方が全然強かった。それでこういうバンドをまたやろうと思ったんです。

-歌詞にマンチェスターに絡むものも出てきますね。

MJM:はい、そうですね。"24アワー・パーティ・ピープル"(2003年公開)とか"トレインスポッティング"(1996年公開)とか、ああいうのを見て、自分が落ち込んでたときに"もうハシエンダに行って、ぶっ飛びたいな"ってずっと考えながら、ただ散歩してました。

-"京王線の線路歩いて/ハシエンダまで行けたらな"っていう歌詞(Track.1「ICEBOY」)がありますけど、そういう発想をする人はなかなかいないなと思って。

MJM:そうですね。宇宙とかまで行きたかったんですけど、それは無理だなと思って(笑)。

NIKE:全員で"24アワー・パーティ・ピープル"とか"トレインスポッティング"とか夜な夜な集まって観まくるぐらい、そこも全員の共通点だったりします。

"T2 トレインスポッティング"(2017年公開の続編)はいかがでした?

MJM:全員で公開日に観に行きました。そこで思ったのは、リアルタイムでは知らないんですけど、それでもなんかこの映画に世界を変えられたというか。色とか表情とか、音楽すべてで変えられて。後追いの僕らでも"T2"を観て、なんて言うんですかね? もう正直、メッセージ云々より、レントン(※同作品の主人公)の過去のあの表情を見たときに、"殺しにきたな"と思いました。

NIKE:僕も初めて観たときは、恋愛もうまくいかず、バンドをやりたいけどそれもうまくいかずみたいな時期が重なって、その空っぽの中に"トレインスポッティング"のあのメンバーが入ってきて。それでその晩、何度も何度も見返して、気がついたら朝になってたんです。そのときに聴いた「Born Slippy (Nuxx)」(UNDERWORLDの1996年リリースのアルバム『Second Toughest In The Infants』収録曲)は二度と忘れられない。あれが鳴るたびにあのときの空っぽが満たされる感覚が蘇ってくるというか。だから、"T2"を観たときもおんなじような感覚になりました。