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INTERVIEW

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MEW

 

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Member:Jonas Bjerre(Vo) Johan Wohlert(Ba)

Interviewer:KAORU

1994年に結成されたデンマークのバンド、MEWによる7枚目のオリジナル・アルバム『Visuals』がリリースされた。2000年のシングル曲「Am I Wry? No」は、ここ日本でもフロア・アンセムとなり、バンドの名前が広く知られるようになった。10年代に入ってから2枚目となる本作は、バンド史上最も示唆に富んだ内容となっている。世界情勢を含むロック・シーンを鋭く見据えながらも、初期から変わることのないバンドのアイデンティティをより明確に世に示した作品だと言えるだろう。Skream!ではJonas BjerreとJohan Wohlertのふたりにメール・インタビューを敢行。急速的なパラダイム・シフトが起こっている現代の音楽シーンについて、23年に及ぶ活動をしてきた彼らがどう感じているかということも含めて、貴重なコメントをしてくれた。

-ニュー・アルバム『Visuals』の完成おめでとうございます。前作『+-』(2015年リリースの6thアルバム)から2年ぶりですが、この2年間ずっと曲作りをしていたのですか?

Jonas:今回は『+-』のツアー中に浮かんできたアイディアがもとになっていて、その段階から曲作りを始めていたんだけど、考えてみたら1~2年近く経っているわけだから、そこまで早くはなかったんだよね。僕たちにとってはかなり早い作業ではあったし、僕らに言わせれば、わずか2年で作ったということになるんだ。実は以前から、こういう勢いを大事にしたアルバムを作りたいって思ってた。そのときのバンドの姿がそのまま表れているような作品をね。とりあえず自分たちでそれができるのかやってみようっていうことで、プロデュースも兼ねて、自分たちでやりながら作り始めてみたんだけど、その感じがとても良くて、方向性も良い方に向いてるなと思えたから、そのまま自分たちでプロデュースして完成させたんだ。これができたっていうことに自分でも驚いているよ。

-この2年の間に、ロック・シーン、いや全世界的に、David BowieやPRINCEなど偉大なアーティストたちが亡くなったということに大きな悲しみと大きな損失を感じました。あなたたちは、おそらくDavid Bowieにインスパイアされているのではないかと思うんですが、『Visuals』のクリエイティヴに何かしらエモーショナルな影響を与えましたか? サウンド面でも、David Bowieを彷彿させる曲もあるように思えます。また『Visuals』は、近年の世界情勢にまつわる事象もクリエイティヴに影響をもたらしているとのことですが、このことについて詳しく教えてください。

Jonas:たしかにすごくタフなことだったよね。PRINCEとDavid Bowieが同じ年に亡くなってしまうなんて......。ふたりとも僕にとってヒーローだったし、そういうふたりが一気にいなくなってしまったっていう現実と折り合いをつけるのはなかなか大変だった。ポジティヴなことなんてそこから全然考えられないし。でも、あるとしたら、人間にはみんな寿命があるんだということ。だから、生きている間に最大限に人生を楽しんで幸せにならなきゃね。そういうふうに思わせてくれたことは、唯一の前向きな影響だったかなとは思うんだけど。でも、そのことから影響を受けたのか、たしかにこのアルバムにはダークな側面がかなりあると思う。でもその理由は、彼らがいなくなったということだけじゃなくて、政治的な状況からの影響もあるんだ。世界的に右翼化が進んでいて、よその国であっても、僕らとしては決して選ばれるべきだと思わなかった人たちが選ばれてしまった現実があったり。そういうことがあったから、やっぱり人間は、最後まで希望は捨ててはいけないということ、そして、問題や悩みがあったら、できるだけ早く解決して、いまの自分にあるものに感謝をしながら楽しんで生きていくべきだと。そういうことを何かと考えさせられる年だったんだよね。今、(水の入ったペットボトルを差し出して)この水が"半分なくなっちゃった"と思ったときに、これを"いっぱい入っているつもりで生きていこう"っていうんじゃなくて、"半分だけでも水があるんだ"という状況を受け止めて、感謝して生きていくということが大事なんじゃないかなと思うんだ。なんて、すごく哲学的な話になっちゃったよね。もうひとつ、僕らは80年代育ちだから、子供のころに聴いていた音楽とか、両親が聴いていた音楽でもあるんだけど、それが何か、今になって蘇ってきているという感じがする。バンドを始めた当初は、それらの音に触発されて始めたわけではなかったんだけど、無意識に自分たちの中に残っていたもの、ストーリー性のある知的なポップ・ミュージックが好きだったよねっていう部分が、最近の僕らの中で再浮上してきたような気がしているんだ。

-『Visuals』のアートワークは、これまでの作品からするとダークなイメージですし、白く縁取られた目が不気味にも思えます。「Carry Me To Safety」(Track.11)のMVでは、このアートワークが静止した状態、そのあとに公開された「85 Videos」(Track.9)は、それを発展させたようなヴィジュアルです。ステンドグラスのような色彩で、サイケデリックで。このアートワークにはどのような意味が込められているのですか? また、デザインしたのは誰ですか?

Jonas:今まではアルバムごとに、ビデオ、アートワークと、それぞれ違う人にやってもらってたんだけど、今回の作品はセルフ・プロデュースをしたということも含めて、結構内輪で作ってる意味合いの強い作品でもあるんだ。だからアートワークも自分たちで作るのが自然なんじゃないかなと思った。実際にアートワークもビデオも僕が手掛けていて、具体的な方向性がはっきりとわかるような作品にしたいなと思って制作したよ。ちょっと不気味に思えるってことだけど、たしかにそういうところはあるんだけど、笑える部分もあるんじゃないかな。こんな踊ってる鳥がいたりさ。

Johan:この人(アートワークの顔)、びっくりしてる感じしない? 見るたびに"オッ!"ってなる顔だなと思うんだよ。そういう部分も含めて、ちょっとサイケデリックな絵柄でもあるよね。

Jonas:ダークと言えばダーク。アルバム自体も前作より確実にダークだし、さっきも言ったけど、前の年にいろいろと起きた悪いことも反映されているわけで。そうは言いつつも、あくまで前向きな気持ちで作ったけど、ちょっと冒険性のあるアートワークだろうね。

-「Twist Quest」(Track.7)のリリック付きMVも公開されましたが、このMVもとても印象的ですね。インド神話の聖獣ガルダからインスパイアされているようにも見えるのですが、いかがでしょうか? また、このMVの監督は?

Jonas:ガルダについてはちょっとよくわからないんだけど、このビデオも僕が作った。特に神様的なものを意識したわけではなくて、発想のもとは万華鏡なんだ。万華鏡的に作っていった映像の中に、クチバシみたいなものを思わせるものがあった。クチバシだったら鳥だ。鳥に踊らせるという発想になったのは、実は僕らって踊りは全然得意じゃなくて(笑)。鳥の踊り具合もいまいちぎくしゃくしているでしょ? そういう感じが僕ららしいかなと思って、ああいうビデオになったんだ。