Japanese
HINTO
2016年09月号掲載
Member:安部 コウセイ(Vo/Gt)
Interviewer:石角 友香
-あぁ、女の子が"ああでもないこうでもない"ってやってる感覚?
理解してそれに対して意見ができるんです。念のために言っておきますが、僕ノーマルですからね。――気づいてないだけかもしれませんけど(笑)。
-こういう"ひとりで平気です。むしろ他人といるの鬱陶しいです"みたいな人ってわりと多くいるような気がします。
うん。このアルバムのテーマって"孤独"がずっと最後まであるんですけど。なんか孤独なんですよ、9曲すべての主人公が。それで"WC"ってタイトルにしたところもあります。シンボリックだなと思って。あと、恋愛の曲も多かったし。"そもそも男と女がわかり合おうとするのが無理だろう、だって便所が違うんだもん"っていう気持ちもあったりして(笑)。便所が違うのに、そっからして違うのに......って昔っから思ってて。で、まぁそれが今回のテーマになりましたね。
-パブリックな場所で男女で分かれてるのってトイレぐらいですからね。
そうですね。その重要な部分が分かれてる、だからわかり合おうとしちゃダメだよって自分に言い聞かせてるところもあります。だから女性が謎すぎて諦めてるところも――さっきの話と反対になってますけど(笑)。女性になりきればわかるんですけどね、たぶん。男の方の自分の感覚だと非常にイライラするときがあるんで(笑)。
-でもそのイライラすることを歌詞に書く人はいくらでもいると思うんですよ。
そうそう。で、それをただ書いてもつまんないじゃないですか?"それフラストレーションだよ"って言われても、"よくわかんないところを許すよ"って言われても両方とも僕はつまんないと思うんです。そうじゃなくて、よくわからないところをちゃんと具体化して書かないと。それが歌詞だと思うので。
-歌詞というものの性質として、わからないものを突き詰めていかないと面白い歌詞にはならないと?
うん、そう。
-"孤独がテーマ"と言われてみればそうですけど、悲しいものには聞こえないです。
そうですね。だから孤独を悲しいとは思ってないですよ。一切、悪いものとして捉えてないので。"なんでみんな孤独を嫌うんだろう?"というところがちょっとあったんで。
-"本当のところ、そうじゃない?"って思ってる人は多いと思うのですが、いざそういう作品を作るとなると難しくないですか?
難しいし、このやり方をすると売れない(笑)!
-(笑)いやいやいや、"本当のところ"を求めてる人がいるわけで。
その"本当のところ"や"こんなの嘘っぱちだ"とか、"いいバランス感だ"とか言ってくれて僕たちを発見してくれたその人たちは長く応援してくれるんですよね。
-100パーセント聴いてる人にハマるかはわかりませんけど、"本当のところ"を求めてる人は探してる音楽だと思いますよ。
うん。さっき"売れない"とか自嘲気味に言いましたけど、自分たちが本当に震えるような作品を作りたいと思ったんです。今までちょっと意識してたとこもあったんです。"これはやりすぎかな?"とか"こうすると売れないのかな"とか"売れるためにはどうすればいいのかな"とか。そういうことを考えんの、もうやめようと思って。売れないもん、それやっても。"じゃあこの作業なんなんだよ?"って思うと、意味のない作業だなと。それなら、自分がかっこいいと思うものを本気でやった方が気持ちいいなと。なんか今回の作品はそんな感じがすごく強いなぁ。
-ましてやメンバー全員で"売れるものってなんだ?"って共有するのは大変じゃないですか。
てか、その才能は俺にはない。もうはっきりわかった。あれは別の脳みそだなと。ビジネスとしての才能なんだと思うんですけど、僕に音楽をたくさんの人に広めてそれをお金に変えていくっていう才能はないですよ。曲を作る才能、オリジナリティのある歌詞を書く才能、アレンジする才能はあると思います。ちゃんとそういう才能を持ってるし、いいライヴをやる才能もあるけど、ビジネス的な脳を使ってセルフ・プロデュースをして、それで世の中の流れを見て、曲調とかも含めてコントロールしていく。そういうことをやろうとしてたときもあったけど"いや、その才能は持ってないな"って気づいてからは、そういうことをやめました。
-気持ち悪かったんじゃないですか?
気持ち悪くはないし、そういうふうにできてる人を尊敬してます。俺に足りないものはそれだなと。だから、ヴォーカリストとしてもっと自分たちのバンドをプロデュースして、隙間を狙って撃ち抜くような曲を作って、見せ方も全部考えてってことをやってたんですけど、よくわかんないですよね。勉強したんですよ? マーケティング論とか、そういう本をいろいろ読んで。読んでるうちは楽しいんですよ。"こういう考え方があるんだ"って。でも、いざそれを使わなきゃいけないところに立たされると頭が真っ白になって何も考えられなくなっちゃうんですよね、"眠いなぁ"とか思い始めて(笑)。やっぱり向いてねぇなぁと。
-でもこうなったら歌詞もちゃんと納得したい、そういう人のニーズを取り込むのが真っ当な気がします。
胸を張れる作品ができたので大満足です。精神的ピークはそこでした(笑)。だから曲を作ることもレコーディングもすごく楽しくて。作曲をすることが健全な苦しさで、またどんどん曲を作りたいなって気持ちになってるんで。それに今はライヴもいい感じなんで見てもらいたいなと。今ね、ほんとリズム隊が脂が乗ってて、ライヴの演奏もかなりタイトになってるので、見てほしいですね。
"WC" release ONE-MAN TOUR 2016
9月23日(金)渋谷 La.mama
10月2日(日)仙台 PARK SQUARE
10月8日(土)名古屋 CLUB UPSET
10月10日(月・祝)福岡 UTERO
10月21日(金)梅田 Shangri-La
10月30日(日)渋谷 WWW
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