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INTERVIEW

Japanese

ARTIFACT OF INSTANT

2016年08月号掲載

ARTIFACT OF INSTANT

Member:飯干 達郎(Vo/Gt) 早衣子(Ba/Vo) 井上 峻(Gt) キモトリョウスケ(Dr)

Interviewer:蜂須賀 ちなみ

-今作ラストの曲である「Dear Jacqueline」の最後は、1曲目の「From Jacqueline」と同じメロディ・ラインになっていますね。

干:ふたつで1曲という捉え方をしていただければと思います。歌詞カードを読みながら聴いてみるとわかりやすいのではないかと思います。

-先述の下北沢でのライヴにて、ラストに「Will」(Track.6)を演奏する前のMCで"もっとみんなに近づきたいと最近考えるようになった"、"(ステージとフロアの間には)柵はあっても境目はない"ということを言っていましたが、そのあたりのお話をもう少し詳しく聞かせてください。

飯干:ステージだろうがフロアだろうが、同じ人間であるということは当たり前のことです。そこに境界線はないし、喜怒哀楽を繰り返しながら同じように日々を消化していくことも同じです。名言を投げつけて、誰かの日常を劇的に変えることは僕にはできないと自覚してますし、それを望んではいません。それはフロアにいる人がそう導いてくれたからです。僕自身、フロアにいる人がステージに上がって歌っているタイプのヴォーカルだと思ってます。だからこそ、もっと精神的に近づきたいし、"近づいてきていいのよ"と思うようになりました。物理的な距離ではなくて、もっと入り込んでいきたいし、入ってきてほしいと思います。結局は同じ"人"です。

-全体を通して、"結局最後は自分自身と向き合わなければならないし、そうやって闘わなければならない"ということをハッキリと歌っていますが、それこそがARTIFACT OF INSTANTなりの"優しさ"なのかなと感じました。

飯干:それが"優しさ"なのかどうかわかりませんが"結局最後は自分自身と向き合わなければならないし、そうやって闘わなければならない"という事実を突きつけないことが"優しくない"というのはわかります。自分自身と向き合い、日々闘い、あくせくするからこそ、いま自分の周りにいる人の存在に気づくのだと思います。"誰かの平穏を壊すのも繋ぎ止めるのも人であり、その人の中にあなた自身もいるのだ"と歌いました。"人は人の中で生きていくしかない。だからこそ、"ということをずっと歌ってきました。それはこのような意味合いです。意図的にわかりやすく書いたので、そのように捉えられるのだと思います。「Will」が飯干達郎自身です。

-これまでの作品はどちらかというと"闇があるから光が輝く"というニュアンスでしたが、本作は真正面から希望を見いだしていくような作品になっているように思えます(もちろん苦悩や葛藤などもちゃんと描かれてはいますが)。これはバンドにとって大きな変化なのでは? と思いますが、みなさんの実感としてはいかがですか?

飯干:目に見えないものを怖がるように"希望"とか"光"の類にも少なからず恐怖や不安を感じるものだと思います。だから、それを見つけようとして、手に取ろうとして、必死になるのだと思います。それは人それぞれ形が違って当たり前だと思うので、今までそれを第三者が自分で考えて、自分で導いてくれればと思っていましたが、それでは伝わらなかったという実感があったのでやめました。まっすぐ突きつけて伝わらないなら力不足です。勉強します。ただ、見つけようとして見つからないものは、自分の近くに落ちていたりします。僕自身がそれに気づきましたし、そんな経験が今作の言葉になっていると思います。得体の知れない希望にすがって、弄ばれるくらいなら、眼前にある現実を受け入れていこうと思いました。

井上:サウンド的にも、過去最高にストレートなものができたのではと思っています。

-8月以降は"「Recoil」Release Tour"が行われますが、どのようなツアーにしたいですか?

飯干:スッキリとした気持ちでツアーに臨めそうです。僕が思うように歌って回れたらなと思います。夏と相性が悪いので体調管理はしっかりしたいです。

井上:絶対に、次に繋げます。

キモト:ファイナルまでにオーラを纏いたいです。

早衣子:今までのツアーで思ったことをバネにして、今回はすべての場所で"観に来てよかった"と思ってもらえるようなツアーにしたいです。