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INTERVIEW

Japanese

片平里菜

2016年04月号掲載

片平里菜

インタビュアー:吉羽 さおり

-全体的なサウンドにも柔らかなスモーキーな感覚と、いいシズル感がありますね。これはイメージしていたものだったんですか。

はい、リバーブをかけてもらったりもして。スモーキーな感じもイメージにあったし。あとはアニメのテレビ版の短い尺では入りきらなかったんですけど、フル尺の冒頭の部分、このAメロの部分は、実はわたしが家で録ったデモのものなんです。iPhoneのボイスレコーダーで録ったものをそのまま使ってもらっていて(笑)。だから、ほんとにスモーキーな空気感があるというか、雑音のあるローファイな音から始まってという感じになってますね。すごくその空気感がよかったんですよね。

-そうだったんですね。アレンジは、楽しくいろんな音を試したりしながらできたんですね。

楽しんでできました。曲の頭の方、1番での奥野さんのキーボードはちょっとおしゃれというか(笑)。Norah Jonesっぽさがあったりするんですけど(笑)。後半に進んでいくにつれて、それがどっぷりと深くなっていく感じにもなっていて。

-バンド・サウンドもそうなっていってますね。すごく強く鳴っているわけではないんですけど、ラストに向けてグッと厚みのあるものになっていく。特にラスト前にあるDメロ部分は、シーンが変わるように、より奥行きのある音になっていますよね?

そうですね、これはヴォーカルもエフェクトをかけてもらって、遠くで鳴っているような感じにしていますね。

-ちょうどこのDメロ部分は、登場人物が変わる感覚があるというか、違った角度から問いかけているパートですね。音色やサウンドのエフェクトも、それは歌詞の内容に合わせてのことだったんですか。

この曲はひとりの話ではなくて、誰かと対峙している曲で。Dメロ部分は特にその関係性というか、相手が浮かぶような歌詞になっているんです。過去や未来がテーマになっている部分なので、光さんに得意なトリップ感を音で表現していただいて。回想しているような、未来を思っているような音になるように工夫しました。

-それもアレンジしながらそういったアイディアになっていったんですか?

最初はわたしがデモを――そもそもデモがiPhoneで録ったものしかなくて(笑)。アレンジのときもその音が悪いデモで、なんとかいろいろあてはめようとしてくださったんですよね。それでいっぱいエフェクトをかけたり試行錯誤するうちに、こういう音色ができていって。わたしが"これ、いいですね"って言って。普通に家でアナログな感じで録った、ギターと歌だけのデモにリズムを合わせたりするのは大変だったと思いますけど(笑)。いろいろとやっていったものが、すごくいい雰囲気になって。

-そのデモをベーシックにしたのは、素朴な、生歌の感じがよかったんでしょうね。

そうですね。最終的に、使ってる楽器にしてもシンセとかはありましたけど、すごくナイーヴで生っぽい曲に仕上がって。歌い方にしても今回は歌を歌うというよりは、言葉を置いていく感覚だったんです。話し言葉というか、ぽつりぽつりというか。音程やリズムに乗せるというよりは、話し言葉がメロディにちょっと乗っているような感じで。それで歌入れもしたので、あまり飾らないようにということは心がけました。

-その歌がヒリヒリしているんだけど、あたたかさも生み出してます。

ありがとうございます。レコーディングもすごく楽しかったんですよね。ドラムは今回、スカパラのシングル(※2015年12月リリースの東京スカパラダイスオーケストラ『嘘をつく唇』)に参加させていただいたときにお世話になった茂木欣一さんにお願いしたんです。この雰囲気に合っているなと思って。光さんはクセのある海外の音楽やUKロックが好きなんですけど、リズムの茂木さんはブラック・ミュージックな感じも出ていて。そこの融合は面白い化学反応が起こるんじゃないかなと思ってお願いしたんです。歌にも絶対合うと思いましたし。

-音の面ではいろいろな想像が広がって形になっていったようですが、曲作り、作詞作曲の部分も、あまり考え込むことなく形になっていったんですか。

この曲はこういったタイアップのお話をいただいて、何曲か作った中での1曲だったんですけど。うーん、この曲だけは結構、煮詰まって作っていた気がしますね。なんとなく。最初にAメロのコード進行があって、わりと王道のものではあるんですけど、これにそのメロに合う歌詞を見つけて。これを曲にしたらグッとくるなというときに、ふとサビが浮かんできて。

-いつも通りの感じだけれども、そこまで手癖みたいなものを使わずにやってる感じもあるんですか?

でも気づいたら、"ああ、またこのコード進行か"っていうのはありました(笑)。結構この曲でも、いつものコード進行だなと思いつつやっていたんです。でも内容やメロディが、今までにないものだったので、逆に自分がよく使っちゃうコード進行が自分らしいところなのかなっていう意識もありましたね。2ndアルバムを出したあとで、こういう得意分野と言える楽曲をリリースできるのは嬉しいです。

-そうですね。先ほど"歌うというよりも、言葉を置いていく感じがある"と言ったその雰囲気が、新鮮さを呼んでいると思います。

表題曲なんですけど、表題曲っぽくないというか(笑)。そういう素朴さはすごくある曲ですね。とても気に入っているんです。あまり汚れてないというか。

-ちなみにいくつか作った他の曲っていうのは、どんな曲だったんでしょう。

もう全然関係ない曲も作っていたんですけどね(笑)。その中でなんとなく"これだな"っていうのは自分の中で決まっていたので、それでスタッフのみなさんに聴かせたんです。反応は......どうだったかな(笑)。デモ段階ではまだ想像がしにくかったようで、みんな最初は"もうちょっと、ここは......"とか言うんですけど(笑)。でも、完成に近づいてくると馴染んでくる感じがすごくありましたね。