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INTERVIEW

Japanese

hotspring

2016年03月号掲載

hotspring

Member:イノクチタカヒロ(Vo/Gt)

Interviewer:山口 智男

大分県で結成し、現在は東京を拠点に精力的に活動しているhotspringが2年ぶりとなる7曲入りのミニ・アルバム『空っぽな宇宙』をリリース。60年代のビート・バンドや70年代のパンク・ロックの影響を受けながら奏でてきた日本語のロックンロールに絶妙な変化が表れ始めた。新境地ともいえるその変化の理由を、不敵な面構えが頼もしいフロントマンのイノクチタカヒロに訊いてみたところ、バンドに吹き始めた新しい風はまだまだバンドの活動を加速させていきそうだ。

-アルバム発売前の2月に開催したツアー"Touch Me I'm Sick Tour"では、新作からの曲もやっているんですか?

バリバリやってますね。ほとんどの曲をやってます。今回のアルバムはだいたいがずっとライヴでやってきた曲なんで、東京のお客さんはもう覚えちゃってる。だから、もう新曲でも何でもない(笑)。ライヴで聴いてきた曲がようやく音源になって嬉しいというお客さんはいると思いますけどね。

-前作から2年振りの新作になるわけなんですけど、2年振りと言いながら実は会場限定でライヴ&ドキュメンタリーDVD『Qeema Films』(2015年リリース)を出したり、シングルを2枚(2015年リリースの会場限定シングル『田舎のカーボーイ』、『Touch Me I'm Sick』)をリリースしたり、精力的に活動を続けてきましたね?

してきたつもりなんですけどね(笑)。"Qeema Records"っていう自分たちのレーベルを立ち上げたんですけど、いきなり全国流通盤って感じでもなかったから、そのときあった新曲を会場限定で出そうってことでリリースしたのが『田舎のカーボーイ』で。そのあと出したDVDは、九州にいたころからうちらのライヴを録って、DVDに焼いてくれてたおじさんがいたんですけど、その人に"今までのライヴをまとめてください"って編集を頼んで(笑)。

-じゃあ、かなり昔からの映像も入っているんですか?

そうなんです。最新の映像がメインなんですけど、結構昔の映像も入っているんです。そのDVDのリリース・ツアーが終わったぐらいから今回の作品に取りかかったんですよ。その時点で、今回収録した曲はほとんどあって、去年の秋にレコーディングして、現在に至るわけです。

-前作の『THREE MINUTES GOLD』(2014年リリースの2ndアルバム)をリリースするとき、"変わり映えしない状況に慣れてしまっていることに危機を感じている。新作をきっかけに一歩ずつでもいいから前に進んでいきたい"とおっしゃっていましたけど、そのあと変わってきました?

ほんの少しだけ(笑)。でも、まだ全然突き抜けた感覚はないです。ただ、ちょっとずつでも前に進んでいるという実感があるんで、それは楽しいです。お客さんもちょっとだけですけど増えてきて、ライヴのリアクションも良くなってきたんですよ。もちろん、満足はしてないですけどね。

-ライヴをやりながら、今作の収録曲も含め、ずっと新曲は作り続けていたわけですね?

作品にするかしないかは別として、できるものから作ってますね。まぁ、そんなに早いペースでできるわけじゃなくて、普通のペースで(笑)。そろそろ新曲やらないとヤバいよって感じなんですけど、前作のときみたいに、"レコーディング日が見えているのに、まだ2曲しかねえよ"ってところから始めたわけではなかったから、今回はそんなに苦労することもなかったですね。

-新作の7曲の中で1番古い曲は?

たぶん「車輪の中」(Track.3)。前作のツアーが終わって、すぐにできたんじゃないかな。1番新しい曲はTrack.7「バイバイ ベイビー」(笑)。これはレコーディング中に作りました(笑)。

-今回、どんな作品をイメージして、7曲を選んだんですか?

ああ、そうだな。とりあえず今できるベストってことかな。他にも何曲か録ったんですけど、かさ増し感があったので入れなかったんですよ。長いアルバムも好きじゃないから、聴きながら風通しのいい感じとか、中だるみしないようにってことは意識しましたね。

-聴いた人をかき乱したいと思いながら作った前作に比べると、今回は、聴いた人の気持ちの深いところに突き刺さるような作品なのかな。

前作はじわじわと聴いてもらえたようなんですよ。おそらくそれでお客さんが増えたというのもあって、たしかに前作よりも柔らかい部分はありますよね。もちろん前作と通じるところもあるんですけど、Track.1「灰になっても」なんかは前にはなかった感じかもしれないです。

-そういう部分も見せることができる気持ちの余裕が出てきたのか、前作とは違う部分を見せようという挑戦だったのか、どちらなんでしょう?

どっちもあるかもしれない。前と違うフィーリングは自然と出てきたんですけど、シングルで出した「田舎のカーボーイ」(2015年リリースの会場限定シングル表題曲)ががわりと、あんまりやったことがないような曲で。そこからそういうモードっていうか、"別に何でもやれるよ"って感じになってきた......って今振り返ると、そんなふうに思います。今回はちょっとカラフルな感じなのかな。『THREE MINUTES GOLD』のときは構えていた......っていうか、たぶん精神的にあまり状態がよくなかった(笑)。ちょっと荒んでたから、それが自然に、いい感じに激しさとして出たと思うんですよ。そのころは自分の気持ちが大半を占めていたと思うけど、今回を含め、最近作っている曲は昔の自分の気持ちというか、こういうふうに思ってたよなってことを歌詞にしているところはありますね。