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INTERVIEW

Overseas

FAT WHITE FAMILY

2016年02月号掲載

FAT WHITE FAMILY

Member:Lias Saudi(Vo) Saul Adamczewski(Vo/Gt)

-世間的にはアウトサイダーと言われる人たちの名前が多く引用されていますね。彼らを作品に登場させることで、あなたたちの音楽にどんな魅力が加わっていると思いますか。また、こうした人々を曲の題材にするのはなぜなのでしょう?

Lias:俺たち自身がアウトサイダーだからさ。これもまた自然なことなんだ。

Saul:どういう魅力が加わっているかっていうのは......わからないな、難しい質問だね。なぜ自分がすべてのことをするかっていうのは、深く考えすぎるとはっきりわからないものだよ。俺たちのやることの99%はなぜそうするのかわからないことだし、それがなぜか知りたくもないね。

Lias:できれば考えたくないね(笑)。なぜなのか知らない方がいいこともあるよ。

Saul:それは他の人が答えるべき質問だと思うしな。

Lias:うん、曲のミステリーを人々から奪いたくはないし......。

Saul:すべてのことや自分たち自身を分析しすぎたくはないんだ、深淵を覗きすぎて、深淵に覗き返されたくはないからね。

Lias:アルバムの制作自体が分析作業みたいなものだから、一旦それが完成するとまたそこに戻って分析するのは退屈なことになるんだよ。

Saul:それに、ずっとあとになって、ほとぼりが冷めてからの方がよく見えてくることもあるしね。

Lias:創作の炎の中では、自分が何と戦っていたのかわからないものさ(笑)。

Saul:いいヘッドラインだね(笑)。

-特に今回のアルバムの歌詞は、人間の愚かさや、複雑に絡み合った関係のようなものにフォーカスしている印象を強く受けます。これには何か理由のようなものがあったのでしょうか。

Saul:うん、自分たち自身の愚かさについてさ。

Lias:自分の中の悪魔についてだね。

Saul:俺たちは特別真面目な人間とは言えないけど――

Lias:――口も悪いし。

Saul:でも、同じような友人たちを探しているのさ。

Lias:兄弟や姉妹をね。

-ちなみに、あなたたちはもともとカントリー・ロック・バンドとしてスタートしていますが、Andy Hank DogにCharles Manson(※アメリカのカルト指導者)の『THE Family Jams』(1997年リリース)という作品を教えてもらったことから現在の音楽性へと定まっていったという話があります。あの作品を聴いたとき、あなたたちはどういう魅力を感じたのでしょう?

Lias:うん、あれはいいレコードだよ。

Saul:あれは前回のアルバムのときには大きな影響を受けたけど、今回のアルバムでは特にそういうわけじゃないよ。俺たちはあの影響を使い切ったと思うね。

Lias:ああ、Mansonはもう枯れたよ。

Saul:あのレコードから引き出せるものはすべて引き出して、もう次に進む用意ができているんだ(笑)。影響を受けたのは音楽的にさ。もちろん、俺たちはイデオロギー的にMansonの影響を受けたわけじゃなくて(笑)、単純にあのレコードにインスパイアされたんだよ。

Lias:俺たちは別に妊娠中の映画スターを殺したいわけじゃないけど、あのレコードのメロディや歌詞はすごくいいよ。

-私もこの機会に初めて聴いてみましたが、驚くほどキャッチーですね。

Saul:そうそう、すごくスウィートなんだよ。作品としてとても興味深いし、ダークで、サディスティックな狂ったストーリーを語っている。

Lias:ある意味すごく人間的なレコードで、あんなサイコパスみたいな犯罪者が作ったと思うと余計に興味深いね。面白さが倍増するよ(笑)。ダークでありながら、同時に軽くて、開放的なサウンドっていうのが、不思議な並列なんだ。

Saul:カルトや宗教っていうもの自体興味深いよ。カルト、宗教、サッカー・チーム......CHARLES MANSON FAMILYは、ミルウォールFC(※ロンドン南東部拠点のサッカー・チーム)みたいなものさ。

Lias:(笑)うん、どこか共通するものがあるね。

-FAT WHITE FAMILYは、最近のUKロック・バンドの中でも飛びぬけて反体制/反権力的な姿勢を感じるバンドの1組です。

Saul:俺たちは反権力じゃないよ。プロレタリアートの権力を信じてるんだ。

Lias:俺たちは正しい権力を信じている。秩序は正義によって保たれるべきなんだ。俺たちが権力さ。

Saul:俺たちの王冠の宝石(※"重要な資産"という意味もある言葉)を取り戻さないといけないよ。

-では、体制には反対、権力には賛成?

Saul:(爆笑)

Lias:そう、その通り! そりゃ随分変に聞こえるかもしれないけどさ。

Saul:俺たちはすべての人に権力があると思ってるんだ。全員が特別か、誰も特別じゃないかのどちらかさ。

Lias:反体制っていうのは、自分自身の人生に関しては何の権力も存在しないってことさ。