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INTERVIEW

Overseas

FAT WHITE FAMILY

2016年02月号掲載

FAT WHITE FAMILY

Member:Lias Saudi(Vo) Saul Adamczewski(Vo/Gt)

2011年にサウス・ロンドンで結成された破天荒バンド、FAT WHITE FAMILYによる約3年ぶりの新作『Songs For Our Mothers』が到着。アーティストやセレブリティの中でもファンの多いことで知られる彼らだが、今作にはSean Lennonとの共作楽曲「Satisfied」が収録されることでも話題を集めている。自らの妄想や、セックス、ドラッグ、死について綴られる楽曲では、アドルフ・ヒトラーやハロルド・シップマンといった名前を挙げ、さらにホロコーストやナチズムといったある種のタブーを扱うことで人間の愚かさを描き、人間という存在の危うさを暴き出す。彼らは悪戯にこれらの話題を扱っているわけではなく、人間そのものに興味の矛先を向けているのだという。ここ日本では未だ多くの謎に包まれ、社会不適合なアナーキスト、もしくは反権力/反社会的なパンクスとして見做されがちなFAT WHITE FAMILY。その本質に迫るべく敢行したインタビューをお届けしたい。

-2013年リリースのデビュー作『Champagne Holocaust』リリース以降、より広範囲なツアーやSXSW、"Glastonbury Festival"への出演など、様々な経験をしたと思います。中でも印象に残っているのはどんなことだったか教えてもらえますか?

Lias:確かにいろいろあったけど、正直ほとんど覚えてないな。覚えてないっていうのはいいサインだよ、だいたいが泥酔して楽しい時間を過ごした結果覚えてないんだからさ。でもずっとそれを続けるわけにもいかないから、今回のアルバムではきちんと記憶しておけるようにしたいね。

-FAT WHITE FAMILYは激しいライヴをするバンドとして有名ですが、あなたたちにとってライヴとはどんなものなのでしょう。また、バンド結成からこれまでのライヴの中で最も記憶に残っている出来事やエピソードは?

Lias:ツアーは楽しいけど、しんどいしストレスも多いよ。ずっと続けてると身体が持たないね。一緒に演奏したりするのは楽しいけどさ。それにバンド側としての記憶と観客側の受け取り方は違うことも少なくないし......ある人は気にいるし、ある人は全然楽しくなかったと思うかもしれない、でもどっちにしてもやらなきゃならない。でもあんまりそれは気にならないし、一旦ツアーを始めるとある程度決まったルーティンができ上がって、そんなにいろいろ考えたりしなくなるから、それが結構好きだね。印象に残っているライヴを挙げるなら、どれも地元であるロンドンでのライヴだよ。特にホームであるサウス・ロンドンのやつ。ブリクストンの"The Queens Head"でのライヴはオーディエンスもよかったしいいライヴだったよ、例によって詳しいことはあんまり覚えてないけど。

-デビュー作リリース以降のライヴの中で、新たに発見したインスピレーション源や、新たに気づいたことがあれば教えてください。

Saul:最近で言えば、ツアーを続けるカギはペースを上げすぎないことだって気づいたよ。

Lias:そうそう、リラックスすることさ。最近は瞑想を始めたんだ、東洋のやつをいろいろね。物事を覚えておくのにも役立つから、2~3年後はインタビューに答えるのもずっと楽になるはずさ。べろべろに酔っ払わなくても済むようになるんだ、酒やドラッグも瞑想も同じようなもんだよ。両方一緒にやるともっといいね、ははは(笑)。

-ライヴを離れると、Sean Lennonとの出会いも、恐らく前作リリース以降の印象的な出来事だったと思います。彼と知り合った経緯と、彼と過ごした日々のことについても教えてください。

Lias:SeanとはSXSWで会ったんだ。俺たちをディナーに連れて行ってくれて、ニューヨークに行ったときも面倒を見てくれたよ。

Saul:Seanは俺たちがWU-TANG CLANみたいだって言ってたね。

Lias:そうそう、一緒にいるとWU-TANG CLANを思い出すらしい。なんでかは知らないけど。

Saul:俺たちの(WU-TANG CLANとの)共通点は同じくらい社会不適合者だってことかな。

Lias:人間としてどうしようもないところさ。

-もともとWU-TANG CLANの音楽に共感していましたか?

Lias&Saul:いや、してなかったね(笑)。

-(笑)また、新作に収録されたTrack.2「Satisfied」を制作することになったいきさつは?

Lias:俺たちも彼もミュージシャンだから、それが自然な成り行きだったよ。それが論理的で、面白いことだと思ったのさ。単純に、"家に行って曲を作ろう"って話になったんだよ、それがミュージシャンとして俺たちがやることだし、それで生計を立ててるんだしね。彼と過ごすのはなかなか楽しいよ、彼は友達だからね。

Saul:俺たちは特に彼と一緒に過ごすことについて、(彼が誰であるか)考えたりはしてないよ。友達として以上に何か特別なことがあるわけじゃないし、他のどの友達と一緒にいるときとも同じさ。彼もただの人間さ(笑)。

-他にも2013年以降の生活の中で、影響を受けた印象的なアート作品や社会の出来事などはあったのでしょうか。音楽でも映画でも小説でもアートでも、事件やニュースでも何でもいいので、理由もあわせて教えてもらえると嬉しいです。

Lias:周りで起きるすべてのことはインスピレーションだけど、音楽的に言えば最近MEATRAFFLEっていうバンドと親しくなったんだ、彼らが俺たちの音楽に興味を持ってくれたみたいでさ。彼らもサウス・ロンドン出身で、最近一緒にツアーをしたけど、どんどんいいバンドになっているよ。