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INTERVIEW

Overseas

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2015年10月号掲載

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メンバー:Nic Offer(Vo)

インタビュアー:山元 翔一

-Track.3「Every Little Bit Counts」はストレート且つシンプルで、これまでの作品の中でも意外性のある楽曲かと思います。そしてこの曲からはロック・ミュージックが持つきらめきやロマンが感じ取れましたが、そういった瞬間やフィーリングを閉じ込めたことに関しては自覚的な部分だったのですか?

あれはRafaelが主に作ったから、俺にはわからない。彼がモータウンっぽいインストを送ってきて、当時俺はR.E.M.をたくさん聴いていたから、少しバック・ヴォーカルなんかがR.E.M.っぽいサウンドに仕上がったのかもしれないな。曲を作っているときって、自分たちが何をやろうとしているのか実は把握できていないものなんだ(笑)。ただ作業を楽しんでいるだけなんだよ(笑)。

-過去のNicの発言からはロックンロールの信奉者としての気概が感じられたのですが、今のロック・ミュージックについて思うところがあれば教えてください。

やっぱり今1番エキサイティングなのはダンス・ミュージックやヒップホップなんだと思う。ロックンロールは、やっぱり減速しているとは思うね。でも、耳を傾けていると、去年もそうだったけど、自分が好きなロック・バンドは見つかるんだ。メインストリームのロックはつまらないし終わってると思うけど、アンダーグラウンドでは面白いことをやっているロック・バンドが結構いると思うね。さっき言ったパンクな姿勢を持ったロック・バンドがね。メインストリームではヒップホップやダンス・ミュージックの方が盛上がっているから、ロックがアンダーグラウンドで存在しなければいけなくなっているっていうのもあると思う。

-ニューヨークでのロック事情はどうですか?

正直、あまりロック・バンドは存在してないと思うね。

-Track.4「Freedom! '15」は今作中でも!!!らしいファンキーさの感じられるディスコ・ナンバーですね。前作がリリースされた2012年以降、ディスコ・サウンドがひとつのトレンドとなっていますが、ディスコ・サウンドについてあなたの見解を教えてください。

ロックンロールのように、1度この世に生まれてからずっと存在しているサウンドだと思し、コンテンポラリー・ミュージックにすごく合うサウンドだとも思う。DAFT PUNK、Bruno Mars、Mark Ronsonといった多くのアーティストたちがディスコ・サウンドを参照しているし、まだ"消えた"ことがないサウンドだと思うね。長く存在し続けるサウンドなんじゃないかな。

-Track.7「Til The Money Runs Out」はアンセミックでクラブでも映えそうな楽曲ですね。頭を空っぽにしてシンプルに踊れるということだけを追求した楽曲のように感じましたが、この楽曲を硬派な作風の今作に収録するにあたってどのような意味づけをしましたか?

あの曲は90年代のハウスのフィーリングを意識した作品で、特にドラマーを常に興奮させることを意識しながら作った作品なんだ。ダンス・ミュージックだと、ドラムがシンプルになりがちだからね。リズムもユニークだし、作っていくうちにロマンティックなフィーリングが生まれてきた。作っていて、すごく心地のいい楽曲だったよ。

-Track.10「Lucy Mongoosey」もこれまでのレパートリーの中でも珍しい、ソウルやゴスペル的な要素のある楽曲ですが、今回なぜこういったテイストの楽曲が制作されたのでしょうか?

これもいろいろな要素が自然とまとまっていった曲のひとつなんだけど、Mario(Andreoni/Gt/Key)が作ったビートがPRINCEっぽくて、それをもとにサウンドを作り上げていったんだ。それをプロデューサーに持っていって、"グループ・ヴォーカルっぽいことがやりたいんだ"と提案したら"わかった、いいよ"と言ってくれて。そんな感じの流れでできあがっていった曲なんだ。すごく自由だったし、そんな感じで様々な要素を上に足していくのはすごく自然に感じた。作っていてすごくエキサイティングな曲だったね。

-Nicはリリシストとしての評価も高いですが、今作を通して何か伝えるべきことを設定しましたか?

今回は、自分自身に宛てて書いた歌詞が多いんだ。そうすることで、真実から逸れることがなくなるから。ずっと前インタビューを受けたときに、"書いた歌詞はずっと自分につきまとう"と言われたことがある。年月をかけて、それを実感したよ。"この歌詞を書いたのは俺なんだから、それは真実でなければいけないし、そのためにはそれを貫かなければ"という思いはずっと消えない。もし、"水が冷たくても俺は泳ぐ"と歌えば、今でももし泳ぐ機会があれば、水が冷たくてもNOとは言えない。自分が歌で"泳ぐ"と歌っているんだからね。だから、このアルバムで歌っていることもすべて真実だし、自分と向き合っているんだ。それがリスナーにも伝わって、みんなに力を与えられたらいいんだけど。歌詞を書くときは、やっぱり他の人のことよりも自分自身のことを考えた方がいいと思う。自分の作品の歌詞を1番気にするのは最終的には自分なんだし、自分がその内容を好きじゃないと意味がないからね。毎晩歌わないといけないわけだし(笑)、自分が好きな歌詞だからこそ長く歌えるし、ステージをより楽しむことができるんだ。

-Nicは作品において同時代性を重視している、と以前インタビューでも答えていましたが、今作の音楽的な立ち位置を定めるにあったって共通するフィーリングを持つ作品はどういったものでしょうか?

PRINCEの『Sign 'O' The Times』(1987年リリースの9thアルバム)やOUTKASTの『Stankonia』(2000年リリースの4thアルバム)かな。俺たちにとって、そのふたつのレコードは本当にたくさんのスタイルが散りばめられたアルバムだから。最初にその2枚を聴いたときは、とにかくずっと驚かされっぱなしだった。"うわ、こう来るか!"みたいな。このレコードはそれに近いと思う。

-今作の場合は、その限りではなかったんですね。では最後に10月に控えてる来日公演に向けての意気込みを教えてください。

!!!は、今まででベストな状態にいると思う。だから、ライヴもすごくエキサイティングになると思うよ。新曲のパフォーマンスはこれから練習していくから今はまだ何とも言えないけど、これだけ長く活動しているから、みんなに提供できる曲も十分にある。Track.11「I Feel So Free(Citation Needed)」や「All U Writers」はこれまでの活動の中でもライヴに1番適した曲だと思うし、自分たち自身も演奏する度に興奮するんだ。「All U Writers」なんかのグルーヴは、俺たちが今まで作れなかったけど今回初めて作り上げることができたグルーヴでもあるし、とにかく今までよりもすべてがベターだね。みんなの前で披露するのが待ちきれないよ。いつものハイエナジーはもちろん健在さ。