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INTERVIEW

Overseas

BATTLES

2015年10月号掲載

BATTLES

メンバー:John Stanier(Dr)

インタビュアー:山元 翔一

イギリスの老舗テクノ・レーベル"Warp Records"が誇る、現代エクスペリメンタル・ロック・シーンの最重要バンド、BATTLES。実験性の追求とハードコア・パンクの精神というバンドの核となる部分はそのままに、音楽性を深化させてきた彼らによる4年ぶり3作目となるアルバム『La Di Da Di』が完成した。完全3人体制になったことで生じた音の隙間と、従来から持ち合わせる混沌とした過剰性というふたつの要素がせめぎあう先に生み落とされた3rdアルバム。ヴォーカルレスでメロディアスなリフを主体とした楽曲が揃う今作でBATTLESが打ち出した独自性とは? バンドの心臓部を担うJohn Stanier(Dr)に制作背景から作品性、バンド哲学に至るまで明かしてもらった。

-今作について詳しくうかがう前に、まず、過去2作品に関して教えてください。ミニマル・ミュージックとハードコアを掛け合わせ、スリリング且つシステマティックなサウンド・アプローチが結実した『Mirrored』(2007年リリースの1stアルバム)、前作の路線を踏襲しつつも高密度な混沌としたエネルギーと重厚なダイナミズムを前面に打ち出した『Gloss Drop』(2012年リリースの2ndアルバム)という個人的な認識を持っているのですが、この2作の音楽的な違いについて、今のあなたはどのように分析しますか?

『Mirrored』と『Gloss Drop』の違いは、『Mirrored』はかなりコントロール不能であったということ。すべてを台所の流しに放り込んだ感じだな。焦点が絞り込まれていない、支離滅裂なアルバムだった。それを気に入ってくれた人もいたみたいだけどね。もちろん、僕は大好きだよ! 一方、『Gloss Drop』はもっと焦点が絞り込まれたダイレクトなアルバムだと思う。その1番の理由は、4人から3人になったからだ。4人だと、音楽的に常に戦わないといけない。すごくいろんなことが起こるんで、各メンバーが常にリフなりメロディなりを聴かせようと躍起になる。それが3人になると、自分を表現する余地がもっとずっと生まれる。逆にもっと難しい部分も生まれる。みんながありとあらゆる部分を、重箱の隅をつつくように見るからだ。それは自分がもっと剥き出しにオープンになるからだよ。というわけで僕にとって、この2枚のアルバムの最大の違いはそこだね。

-今作『La Di Da Di』のリリースにあたり、あなたたちは"The Art Of Repetition"という非常に興味深いドキュメンタリーを公開しています。この映像をヒントにして今作を紐解いていきたいのですが、あなたはバンドの基盤となる"ループ"に関して"ループに合わせて演奏することでリラックスできてミュージシャンとしての自由を感じる"と発言しています。この発言について詳しく解説してください。

僕はドラマーだから、当然テンポをキープしないといけない。だからある意味、ドラマーが船の舵を取り、車の運転をしているわけだ。でも僕たちの場合は、僕よりもループがドラマーなんだよ。それはつまり、僕はリラックスできるということ。ループが僕に合わせているのではなく、僕がループに合わせて叩いているんだ。他のミュージシャンはみんなドラムに合わせてプレイしているけどね。テンポを定めているのはドラムなんだから。でも、うちではそれをループがやっているんだ。ループが主人だから、僕はリラックスできるんだよ。

-Ian Williams(Gt/Key)はループについて"深い哲学的な意味はなく自分たちにとって反復の概念が興味深いだけ"と発言していますが、あなたはこのIanの発言を受けてどのように感じますか?

たしかに哲学的な意味などない。ループはこのバンドが始まった瞬間からこのバンドのバックボーンなんだ。このバンドにおいて、反復はそれがもとに築き上げられている。このループを使って何をするかが、僕たちにとっての絶えなきチャレンジなんだ。だから、"ループとは何か"とか、"ループで何をするのか"についての厳密な説明は特にないね。ループはループなんだ。

-今作はニューヨークから4時間も離れた"Machines With Magnets"というスタジオでレコーディングされたそうですね。BATTLESはこれまで3回にわたってこのスタジオでレコーディングを行なっていますが、このスタジオで生まれるマジックのようなものはあるのでしょうか?

僕たちは、スタジオ入りする準備が整うまでにものすごく時間のかかるバンドなんだ。レコーディングのたびに、"今回はフィーリングを変えるために違うところにしてみよう"と思うんだけど、僕たちは常に最後の最後になってからスタジオ入りする準備が整うから、結局同じところになってしまうんだ。あのスタジオのスタッフは、このバンドの4人目、もしくは5人目のメンバーのようなもので、他の誰よりも僕たちのことがわかっている。僕はもう少しで新しい環境、新しいスタッフの下でやりたい衝動に駆られたんだけど、このバンドはものすごく変わっているから、外部の人間に自分たちの音楽をレコーディングしてもらう価値はないと判断したんだ。だから、これからもずっとあそこを使うことになるんじゃないかな。それほどあそこはユニークなところだし、BATTLESのアルバムはあそこで作られないといけないんだ。僕たちは人として変すぎるし難しすぎるから、他でやったらものすごくお金がかかると思うな。それに僕は、スタジオに半年もこもることだけはゴメンなんだ。『Gloss Drop』(2011年リリースの2ndアルバム)のときはスタジオに9ヶ月こもった。あれはバカげている。誰もやっちゃいけないよ。狂気の沙汰だから、あんなことはもう二度としたくない。スタジオにいるのは大好きだけど、きちんと終わらせたいんだ。このバンドはものすごく変わっているから、別の場所で別の人たちと一緒にアルバムを作りたくはない。僕としては1曲なり、プロジェクトなりを別のところでやるのはかまわないけど、アルバム丸々を別のところでやるのはちょっとね。それにこのバンドはスタジオで最後の最後になって曲を書くこともよくあるんで、一か八かやってみるようなことはしたくない。要は、"どうしてそんなことを気にしないといけないんだ?"ってことだ。そんなの、意味ないよ。

-あなたたちの作品は非常に複雑で徹底的にクオリティを追求した作品であるがゆえに、完成までに時間を必要とするのだと思いますが、今回、前作のリリースから4年という時間を要した理由は何だったのでしょうか?

4年かかったわけじゃないんだ。そんなのバカげているよ。前作が出たのはたしかに4年前だけど、それに伴うツアーを1年半やったから、それですでに残り2年半。それから半年間オフを取ったけど、それは至って普通のことだ。でも僕は他のバンドでもツアーに出たし、プライベートもあったから、予定よりもオフが長引いてしまった。そして曲作りを始めたんだけど、アルバムが完成したのはかなり前のことだった。アルバムは6~8ヶ月も前に完成していたんだけど、何がしかの理由でリリースを待たないといけなかった。だから、実際は1年しかかからなかったんだ。1年もかからなかったかもしれない。アイディアが生まれて曲の大半ができあがってからもう3年も経つ。あとは、然るべきときに然るべきところでスタジオ入りすれば良かったんだ。というわけで、周りからすれば4年かかったように思えたかもしれないけど、実はそうじゃない。それにアルバム作りにどれだけの時間がかかるか、普通の人は知らないんじゃないかな。レコーディングが終わっていたとしても、商品を製造しないといけない。アートワークだって作らないといけないし、プレスの仕込みもしないといけないんで、時間がかかる。一夜にしてできるわけではないんだ。

-前作からの4年間、メンバー3人はどのように音楽に向き合ってきたのでしょうか? 今作の制作に繋がる4年間の具体的な作業や、ひとりのリスナーとしてあなたが触れてきた音楽について教えてください。

特にはないね。僕はよくDJをやっているんで、唯一触れて来た音楽はハウスとテクノだけだな。でもそれは、BATTLESとはまったく別物だよ。今は音楽で溢れ返っているから、困惑するね。音楽の量そのものは20年前も今も変わっていないと思うけど、そこら中で手に入るんで多くなったように思えるんだろう。Inboxやメールでストリーミングができる。レコード屋に行ってレコードを買わないと聴けないわけじゃない。だから、圧倒されているよ。最近聴いているものをひとつ挙げろと言われてもできないな。

-ちなみにTyondai Braxton(※2010年に脱退した元メンバー)は今年、ニュー・アルバム『Hive1』をリリースしていますが、チェックされましたか?

(大声で)いいや!