Overseas
BATTLES
Skream! マガジン 2016年01月号掲載
2015.11.25 @EX THEATER ROPPNGI
Writer 山元 翔一
BATTLESが日本に再び帰ってきた。そういった歓迎のムードが充満していたこの日。平日の、しかも海外アクトの公演ながら会場となったEX THEATER ROPPONGIには多くのインディー・ミュージック愛好家が詰めかけ、チケットはソールド・アウト。洋楽不況が叫ばれる昨今、このBATTLESというバンドがいかに日本の音楽ファンの心を捉えているかということを改めて認識させられた1日であった。
開演時間を過ぎ、メイン・アクトを心待ちにするオーディエンスを迎えたのは、神戸出身の女性3人組ZZZ's。漆黒のオルタナティヴ・サウンドと言うべきか、ポスト・パンクという文脈に原義的に忠実な音楽を前にして、こんなに尖ったバンドがいたのかと正直驚かされてしまった。ZZZ'sは、BATTLESより直々に指名を受けたとのことだが、同じく彼らの寵愛を受けるにせんねんもんだいに通じる、音楽の底の知れなさを体現する稀有な存在であると感じさせられた。
ZZZ'sの凄まじいサウンドと異形さを見せつけられ、やや放心状態にあったフロアは徐々にBATTLESへの期待で満たされていく。そんな我々の前に、まずはDave Konopka(Gt/Ba/Ef)が現れ、まるで何かの実験をしているかのように音を重ねループを練り上げていく。そこにIan Williams(Gt/Key)が加わり、サウンドにうねりを生み出し、John Stanier(Dr)がスネアを叩きつける。その空間を切り裂くほどに硬質な音が鳴り響いた瞬間の感動は、間違いなくこの日1番のものであった。よく知られるところではあるが、BATTLESは、それぞれマス・ロック/ポスト・ロック・バンドに在籍していたIanとDaveと、オルタナティヴ・メタル・バンドで豪放且つ剛毅なドラムを打ち鳴らしてきたJohnによって成り立っている。このことからも、ライヴというフィジカルな場においては、ステージの中心に据えられたJohnのパワフルなドラミングが肝となることはある程度予想できたが、よもやここまでとは思わなかった。彼のドラムは音楽に命を、生命の躍動とも言うべきエネルギーを吹き込む力があるとたったの1音で思い知らされてしまった。
BATTLESの4年ぶりとなるショーは、新作『La Di Da Di』収録の「Dot Net」で幕を開けた。タイト且つ正確なJohnのドラムの生み出す圧巻のグルーヴにIanとDaveの繊細なサウンドが絡みつく。Daveがギターをベースに持ち替えると、ヴォーカルの同期を導入した「Ice Cream」が続く。幾何学的なギターと歌声、一分の迷いもないビートが折重なり祝祭的なムードで会場を包み込んだ。「FF Bada」では、ふたりの紡いだオリエンタルで美しいループとそれを牽引するJohnの強固なビートという、この3人ならではのアンサンブルの妙を聴かせてくれた。そして前作『Gloss Drop』より、グッとレイドバックしたビートと即興的なギターとシンセによりプログレッシヴで壮大な音像を創出した「Futura」、そしてプリミティヴなドラミングと彼らにしてはシンプルなウワモノで構築された「Tricentennial」が続けて演奏された。ここでDaveが日本語によるMCを挟み、場を一気に和ませる。思えば、ここまでスリリングなパフォーマンスながらも張り詰めた嫌な緊張感は感じられなかった。このことはバンドのコンディションが非常に良いものであることを窺わせた。それと同時に、もしかすると我々のBATTLESへの親愛が生み出したヴァイブもある程度作用していたのでは?と感じさせられたのもまた事実だった。
続く「Tyne Wear」では、Johnがハンドベルを四分で鳴らしながら剛腕なビートを刻み、IanとDaveはシンセなのかギターなのか判別できないほどにエフェクトを加えたサウンドを放出。Johnがベルを放り投げ、「Summer Simmer」に突入すると、そのダイナミックな展開に会場のボルテージも一気に高まる。サンプラーを戯れるかのように操るIanの姿も印象的だった。うねりを生み出すループとエキゾチックなリフ、ストイックなビートという音の洪水に圧倒させられ、この3人による生身の音によるBATTLESのひとつの完成形を見た思いであった。本編最後は「Atlas」。もうこの曲に関しては会場中の人間が待ちわびていたことが、一瞬にしてわかる沸きっぷりであった。あの音はこうして作り上げられていたのかという謎が解き明かされるような感覚もあったが、初期BATTLESにあった音の隙間を埋め尽くす重厚なアンサンブルが快感と説得力を伴って鳴り響いていたのが1番のポイントであった。当然、観客は自然と身体を揺らし、手を掲げ、声を上げていたのだった。
アンコールでは、"アナタタチハサイコウデス"というMCで観客に賛辞を捧げ、「The Yabba」を鮮やかなレーザーでの視覚的演出とともに披露し、この日を締め括った。BATTLESのサウンドが、というよりむしろ『La Di Da Di』がライヴの場で肉体性を獲得することで初めて完成する、ということを強烈に印象づけた来日公演であった――今回の来日ツアーを体感できた幸運な読者諸君はお気づきだろう、あの日を境に『La Di Da Di』の聴こえ方が変わったことに。
- 1
LIVE INFO
- 2025.11.28
-
Galileo Galilei
優里
BLUE ENCOUNT
go!go!vanillas
怒髪天
DJ後藤まりこ × クリトリック・リス
VII DAYS REASON
Dios
崎山蒼志
凛として時雨
ズーカラデル
コレサワ
SHERBETS
Another Diary
cakebox(シノダ/ヒトリエ)
ポルカドットスティングレイ
おいしくるメロンパン
sajou no hana
NEK!
CENT
OKAMOTO'S
meiyo
RAY
reGretGirl
- 2025.11.29
-
ビレッジマンズストア
Appare!
YOASOBI
NEE
暴動クラブ
brainchild's
Cody・Lee(李)
キタニタツヤ
優里
くるり
TOKYOてふてふ
MONOEYES
キュウソネコカミ
moon drop
THE BACK HORN
androp
The Biscats
フレデリック
チリヌルヲワカ
怒髪天
eill
LOCAL CONNECT
wacci
LACCO TOWER
大橋ちっぽけ
BLUE ENCOUNT
ドラマチックアラスカ
アーバンギャルド
ねぐせ。
ExWHYZ
UVERworld
フラワーカンパニーズ
愛美
浪漫革命
東京スカパラダイスオーケストラ
BACK LIFT / 魔法少女になり隊 / LEEVELLES / パピプペポは難しい ほか
Bentham
MONO NO AWARE
NANIMONO
カミナリグモ
9mm Parabellum Bullet
PIGGS
- 2025.11.30
-
ビレッジマンズストア
YOASOBI
NEE
TOKYOてふてふ
凛として時雨
キタニタツヤ
崎山蒼志
くるり
キュウソネコカミ
moon drop
SHERBETS
THE BACK HORN
TENDRE
アーバンギャルド
the paddles
秋山黄色
TOMOO
LACCO TOWER
ドラマチックアラスカ
LUCY
ExWHYZ
Maki / SIX LOUNGE / w.o.d. / KUZIRA / TETORA
UVERworld
フラワーカンパニーズ
ポルカドットスティングレイ
NANIMONO
ズーカラデル
ぼっちぼろまる×ポップしなないで×ぜったくん
コレサワ / ヒグチアイ / のん / ひぐちけい
miwa
MONO NO AWARE
Conton Candy
JYOCHO
離婚伝説
- 2025.12.02
-
RADWIMPS
LONGMAN
Dios
RAY
マカロニえんぴつ × DISH//
私立恵比寿中学
GLIM SPANKY
SUPER BEAVER
IneedS
- 2025.12.04
-
TENDRE
LEGO BIG MORL
私立恵比寿中学
SHERBETS
Homecomings
アーバンギャルド
キュウソネコカミ
吉井和哉
Hakubi
- 2025.12.05
-
桃色ドロシー
私立恵比寿中学
moon drop
ポルカドットスティングレイ
ザ・クロマニヨンズ
NANIMONO
eill
Laughing Hick
崎山蒼志
さかいゆう / 望月敬史 / L'OSMOSE(O.A.)
flumpool
とまとくらぶ
Another Diary
岡崎体育
Rei
ズーカラデル
打首獄門同好会
- 2025.12.06
-
キュウソネコカミ
AIRFLIP
ザ・クロマニヨンズ
凛として時雨
OKAMOTO'S
BLUE ENCOUNT
indigo la End / a flood of circle / Galileo Galilei / go!go!vanillas ほか
Cody・Lee(李)
brainchild's
LEGO BIG MORL
NANIMONO
怒髪天
ねぐせ。
CVLTE
UVERworld
eastern youth
キタニタツヤ
優里
Kroi / Jeremy Quartus(Nulbarich) / BREIMEN / luv
flumpool
チリヌルヲワカ
Aooo
Mirror,Mirror
心愛 -KOKONA-
THEラブ人間 / ビレッジマンズストア / 忘れらんねえよ / KALMA ほか
フラワーカンパニーズ
Ryu Matsuyama
MyGO!!!!!
- 2025.12.07
-
ぜんぶ君のせいだ。
崎山蒼志
キュウソネコカミ
MOSHIMO
moon drop
ポルカドットスティングレイ
凛として時雨
BLUE ENCOUNT
AIRFLIP
OKAMOTO'S
sumika / マカロニえんぴつ / Kroi / ズーカラデル ほか
NANIMONO
怒髪天
Devil ANTHEM.
ACIDMAN
eastern youth
小林私
UVERworld
優里
秋野 温(鶴)
LACCO TOWER
OAU
the telephones
BIGMAMA
フラワーカンパニーズ
9mm Parabellum Bullet
PENGUIN RESEARCH
トゲナシトゲアリ × RAISE A SUILEN
- 2025.12.08
-
ザ・クロマニヨンズ
BLACK COUNTRY, NEW ROAD
RAY × きのホ。
ドラマチックアラスカ
PACIFICA
シベリアンハスキー
雨のパレード
never young beach
- 2025.12.09
-
キュウソネコカミ
天女神樂
ザ・クロマニヨンズ
FRANZ FERDINAND
BLACK COUNTRY, NEW ROAD
ドラマチックアラスカ
TENDRE
PACIFICA
Galileo Galilei
Dios
ザ・シスターズハイ
ストレイテナー
PEDRO
モーモールルギャバン
- 2025.12.10
-
PACIFICA
Galileo Galilei
山本彩
東京スカパラダイスオーケストラ × HEY-SMITH
くるり
森 翼
Wez Atlas
すなお
ストレイテナー
BLACK COUNTRY, NEW ROAD
- 2025.12.11
-
MONOEYES
あいみょん
東京スカパラダイスオーケストラ × HEY-SMITH
山本彩
オレンジスパイニクラブ
BIGMAMA
ポルカドットスティングレイ
そこに鳴る
The Ravens
FRANZ FERDINAND
- 2025.12.12
-
Hump Back
Chimothy→
VII DAYS REASON
LiSA
Another Diary
凛として時雨
TOMOO
BIGMAMA
PENGUIN RESEARCH
moon drop
ねぐせ。
私立恵比寿中学
くるり
PEDRO
サカナクション / Creepy Nuts / 羊文学 / ちゃんみな ほか
flumpool
the shes gone
VOI SQUARE CAT
SAKANAMON / Broken my toybox / SPRINGMAN / KEPURA
BRADIO
ザ・クロマニヨンズ
僕には通じない
LONGMAN
- 2025.12.13
-
MONOEYES
"DUKE×GREENS presents わちゃごなどぅ -whatcha gonna do-"
ぜんぶ君のせいだ。
VII DAYS REASON
Vaundy / THE ORAL CIGARETTES / sumika / マカロニえんぴつ ほか
UVERworld
eill
フラワーカンパニーズ
LITE
SHERBETS
清 竜人
ポルカドットスティングレイ
moon drop
吉井和哉
9mm Parabellum Bullet
Cody・Lee(李)
flumpool
東京スカパラダイスオーケストラ × HEY-SMITH
[Alexandros]
Appare!
秋山黄色
藤沢アユミ
キタニタツヤ
THE SPELLBOUND
RELEASE INFO
- 2025.11.28
- 2025.11.29
- 2025.12.01
- 2025.12.03
- 2025.12.05
- 2025.12.06
- 2025.12.09
- 2025.12.10
- 2025.12.12
- 2025.12.17
- 2025.12.19
- 2025.12.20
- 2025.12.21
- 2025.12.24
- 2026.01.01
- 2026.01.07
FREE MAGAZINE

-
Cover Artists
ザ・クロマニヨンズ
Skream! 2025年11月号

















