Japanese
1000say
2015年10月号掲載
Member:MAN(Vo/Gt) API(Vo/Ba)
Interviewer:白崎 未穂
-2011年から毎年出演して、2014年には"JAPAN EXPO"の15周年を記念した公式テーマ・ソングTrack.12「EXPOSITION」を手掛けるまでに。最新アルバム『BABYLON』のボーナス・トラックとして収録されていますが、この楽曲はどういった経緯でオファーを受けたのでしょう。
MAN:"JAPAN EXPO"の日本支社ができて、2014年3月にその設立パーティーが六本木で開かれたんです。そのときにフランスの社長と副社長が来日してて、そのときに"JAPAN EXPOは今年15周年なんだけど、スペシャルなテーマ・ソングを作ってもらいたいんだ"という話をもらったんで、2秒で"OK!"って(笑)。
-即答だったんですね(笑)。この楽曲のテーマはどういったものに?
MAN:もともと、ライヴって非日常を提供できる貴重な場所だと思ってるんですけど、"JAPAN EXPO"も本当に天国みたいな世界というか。このイベントは日本の音楽やアニメ、漫画などの若者向けのカルチャーだけじゃなくて、日本の伝統芸能だったり、そういったものをフランスの方々にプレゼンする場なんですけど、去年だったら20万人のフランス人が4日間集まるんですね。僕は日本に生まれた日本人として、日本から生まれた文化がこれだけの人に支持されてるってことが同じ日本人として誇らしく思ったし、ヨーロッパってどちらかと言えば経済的には少し苦しい部分もあったり、日本に比べれば治安も悪かったり。でも"JAPAN EXPO"の会場は本当に国境を越えたピースフルな空間だったんです。そういったものが表現できたらなと。
-コーラスはフランスのファンのみなさんの声だとか?
MAN:そうなんですよ。実際作って、テーマ・ソングとして会場で流してもらったときは自分たちの声しか入ってなかったんですけど、今回のアルバムのために15周年のステージに立ったときに頑張って説明して(笑)。英語とフランス語を駆使して、"君たちの声を収録したいんだ!"って伝えて、その場でみんなで歌ってもらいました。
-言葉の壁も乗り越えてますね(笑)。こういった海外での体験というものは自分にとってどんなものになりました?
API:私、海外に行くこと自体が初めてだったんですよ(笑)。旅行に行ったこともなかったし、海外に行ったら死ぬと思ってましたから(笑)。
-え! 初海外で、初ライヴって本当にレアな体験ですね(笑)。
API:そうですね(笑)。すごく思ったのは、日本でライヴをやっても海外でライヴをやってもあまり違いがないというか。誰に見せるのでも一緒の気持ちでいればいいんだなってことがわかりました。
-"JAPAN EXPO"に初出演したその年、10月には1年10ヶ月ぶりとなる音源として初のフル・アルバム『APOLLON』をリリース。12星座をイメージして作られた全12曲を収めた1枚ですよね。今から4年前にリリースしたアルバムですが、この時期はバンドにとってどんな時期だったんですか?
API:このアルバムをリリース時期の2011年は、結構バンドの意識改革みたいな時期で。PAの方から機材の積み下ろし方とかをお尻を叩かれながら教えてもらったりとか、いろいろ人間的に成長させてもらった時期だったんです。その中でできたアルバムが『APOLLON』でした。
MAN:1stミニ・アルバムから立て続けにリリースした3つの作品を作ったときの僕たちは、ひと言でいえば"甘えたガキ"だったなと思います。スタッフの数も多かったし、周りがいろんなことをやってくれる環境だったんで、すごくそこに甘えていました。自分たちは音楽だけをしっかり作っていればいいんだっていうような意識でいたんだと思います。でもそういった環境というのはずっと続くわけではなくて。自分たちで自主性を持ってやっていかなきゃいけないっていうことにぶち当たったのがその2010~2011年というタイミングで。その自主性というものを自分たちで模索しながら作ったアルバムだったかもしれません。
API:その自主性みたいなものを見直したときに『STARGAZER ORCHESTRA』を録っていただいた方が安宅(秀紀)さんなんですけど、安宅さんが作る音像が自分たちに近いっていうことにも気づけました。最初のころは"この人で録るから"ってスタッフに言われてレコーディングするのが当たり前だったので、『APOLLON』は初めて自分たちからオファーして録っていただいたアルバム。どうしても一緒にやりたいんだという意識をもって録ったアルバムなんです。そういったところからも、『APOLLON』は本当に自主性をもって作れた作品だと思います。
-"JAPAN EXPO"も自主性がないと自らコンタクトしなかったでしょうしね。
MAN:そうですね。自分たちは間違いなく"良い音楽をやっているはずだ"という気持ちを持っているので、そこに対して自分たちに迷いはなくて、どんどん成長してきていると思ってます。でも自分たちだけでそれを思っていても意味がないので、1000sayの音楽をダイレクトに受け取ってくれる人に届けるまでを自分たちがプロデュースしていかないと今の時代アーティストって呼べないなと。いいものを作ったから、あとは助けてくれるスタッフの人にお願いって投げるだけじゃ通用しないんじゃないかなと思います。逆に自分たちがよりお客さんと向き合って直接手渡していく感覚によって自分たちもすごく謙虚になったし。本当に支えてくれるファンのみんなのありがたさもグッと泣いちゃうくらい感じられるようになったのが、このタイミングだったと思います。
-一種のターニング・ポイントになった年だったのかもしれませんね。それからコンスタントに楽曲を発表していますが、どれもフリー・ダウンロードや、デジタル配信シングルや会場限定DVDなど。どの作品もCDとして流通させなかったのは何かこだわりがあったのでしょうか?
MAN:ひとつは、ライヴに自分たちの意識がシフトしてきて、前作『APOLLON』のツアー・ファイナルとして渋谷CLUB QUATTROでワンマンをやったんですね。そのときに、自分たちはいい作品を作っているけれども、いいライヴはできているのか? お客さんの顔をひとりひとり見れているのか? そういう部分が、自分に欠けていた部分なのかなと思って......。というのも、クアトロでやったときにお客さんの顔がひとりひとり見えたんですよ。そしたら自分たちの演奏に対する気合いの入り方や責任感みたいなものが強くなってくる感覚を覚えて、この感覚は別にワンマンだからとかクアトロだからとか関係なくて、どんな場所でもこの感覚でやれなきゃダメだよねってすごく思いました。"自分たちがちゃんと届けたいものをその場にいるお客さんに届けられているのかっていうことに向き合っていくライヴをしていこう"というふうに意識が固まったタイミングでした。なので、ライヴの本数が増えたわけではないですけど、1本1本に対するライヴへの心の持ち方はすごく重くなりました。なので、すごく楽しんでいたしライヴに対して時間の裂き方が半端なくなりました。セットリスト作るのに5時間かけたり。それは今でも変わらないですけど(笑)。
API:だからセットリスト決めるのが憂鬱なときもあります(笑)。命削ってる感があるので(笑)。"あ~今日セットリスト決めるのか......"って(笑)。
MAN:ははは(笑)。でも、ステージ・クリエイトってものをおざなりにしたくなくて、1本1本のライヴを自分たちなりに真剣にやろうと思ったら自然と時が経っていったっていう感じですね。
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