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INTERVIEW

Japanese

或る感覚

2014年12月号掲載

或る感覚

Member:ロン (Vo/Gt) 大野 (Gt) Kou (Ba) 北原ジャンクション (Dr)

Interviewer:天野 史彬

-自分自身を見せることがパンクであり続けることに繋がると。

ロン:パンクって、自分のことを正直に書くことだと思ってるんですよ。だからさっき言ったように、自分のルーツもそうだし、自分の影響を受けたものを消化して出すっていうことはパンクをやるうえで絶対に必要なことだと思ってるし。それに、仮に精神的に嫌なことがあろうといいことがあろうと、アルバムを出すたびにそれが消化されて出てくると思うんですね。で、メンタルが成長すれば、自ずとサウンドも成長していくはずだし。アルバムを出す毎に、自分の歴史が更新されていく感じがあって。そう考えると、俺は今、高校のころの青春とはまた違った青春を味わってるのかなって思うんですよ。バンドを通していろんなことを学んで、学んだことをアルバムにして......アルバムって、日記みたいなものなんですよね。で、そんな青春の送りかたって素晴らしいなっていう気持ちを歌ったのが2曲目の「赤い春」なんです。青々しくて瑞々しい感じの青春ではないけど、でも燃えてる。そそり立つ情熱というか、たぎってる感じ......この感じが、学生のころとは違うけど、青春だなって思ってて。さすがにもう、青くはないから。でも、燃えてるよなって。だからタイトルは「青い春」じゃなくて「赤い春」なんです。ずっと続いていくと思うんですよ、この青春は。諦めない限りずっと青春なんですよ。俺は"第二の青春"と呼んでるんですけど。今、仕事に情熱燃やしてる人も、それは青春だと思うんです。そういう人は絶対この曲に共感してくれるだろうなって思うし、こういう青春を燃やしてほしい。学生時代に味わった青春ではなくても、誰もが今、闘ってるから。

-うん。

ロン:このアルバムは、全部の曲が闘ってるし、全部の曲が続いていくし、全部の曲で"もし負けても大丈夫だ"って言ってるし、"諦めないでやることだけが近道だ"って言ってるし......同じことを、言いかた変えて言ってるだけなんですよ。でも、これは終わりがないから。終わりがないから、目標を達成するのはいつでもいい。馬鹿にされるかもしれないですよ。でも、それは最終的に達成することで全部見返せるじゃないですか。そうすれば全部、自分の勝ちなんですよ。だから"他人のことなんて気にする必要はまったくない"って言ってやりたかった。全部の曲で、それを言い聞かせてるんですよね。

-リスナーに対してそこまで何かを伝えよう、届けようとする姿勢になるのって、ロンさんにとって大きな変化じゃないですか?

ロン:そうですね......リスナーって、自分たちを現してる鏡みたいなもんだと思ってるんです。よく、ファンが別のファンの行動によっていなくなってしまったり、別のバンドのファンが"あそこのファンはいいファンの人が多いよ"っていう理由でそのバンドを観に行ってみたりすることもある。そのぐらい、ファンってそのバンドを映すと思うんですよね。じゃあ、自分たちのファンってどういうお客さんなのかっていうことをいろいろ考えたんですけど、そしたら、楽曲制作の時に、ライヴの情景が浮かんでくるような曲もあって。"お客さんとこんなコミュニケーション取りたいな"って思うような曲もできてきたんです。それが「対話」っていう曲で。「対話」を作っていて真っ先に浮かんだのは、みんなでシンガロングしてる画なんです。今回のアルバムに入ってる曲が前作と全然違うところは、"歌える"っていうことだと思うんですよ。お客さんが思わず拳を握り締めて歌いたくなるような曲がたくさん入ってるんじゃないかなと思って。特に「対話」は、"この曲をみんなが歌ってるところを見たいよな"っていうことを考えながら作ってたんです。お客さんとのコミュニケーションって、対話だと思うんですよ。だからこの曲は、"今さ君となんか話そうかなんて思っていた"っていう言葉から始まっていくんですけど。......やっぱり、お客さんを意識したことは、歌詞には確実に出てると思いますね。お客さんに向けて歌ってるわけだから、自分の想いと一致する部分を見つけてほしいなと思ったし。

-......なんだかロンさんって、このアルバムで根っからの歌唄いになりましたよね。

ロン:うん......そうなんすかね? まぁもう、喉がぶっ潰れても俺は歌い続けるような気はしてるんですよね。たとえばライヴ何時間もやって、もう声出ませんってなったら、フロア出て自分の喉の振動を伝えてでも歌うようなタイプの人間なんですよ、俺は。そうしないと伝わんないから。声出ないなら、(胸に拳を当てて)ここの振動を伝えてやろう、ぐらいの感じで(笑)。そういう部分は、今回のアルバムでは歌っていう形で確実に、前の『カウンター』よりも出てしまったっていう。出てしまったと言うか、出てよかったんですけど(笑)。出ちゃったんですよ。"出そうとしてた"部分よりも、"出ちゃった"部分のほうがデカいんですよね。

-ロンさんは、言葉より歌の方が人とコミュニケーション取りやすいでしょう?

ロン:うん......余計なこといっぱい言っちゃうんで(笑)、それを要約して言える歌詞っていうのは、普通のコミュニケーションより伝えやすいのかもしれないですね。

-ただ、「夕焼けは見たくなかった」の歌詞の中に"エゴと書かれた水で溢れかえる悪い夢を見た"というラインがあって。今の自分の表現がどこか自分のエゴなんじゃないかっていう不安感もあるんでしょうか?

ロン:そうなんですよ。結局、自分の実体験しか歌詞にしないんですよね。仮想の出来事は絶対に書かないんですよ。現実の出来事を比喩表現で仮想の出来事ふうに書くことはあっても、自分の体験しか絶対に書かないことにしていて。だから、リスナーからしたら共感できる人もいれば、俺の話を聴いても"つまんない"と思う人もいると思うんですよ。共感できるような内容をすべて歌えているかといったら、そうではないと思うし。共感できる人がいると信じて歌ってるけど......やっぱり、エゴで終わってるようではダメなんじゃないかなって思うんですよ。エゴじゃないって自分で信じてやってるし......そんな自問自答をいつも繰り返してるから、こういう歌詞も出てくるのかもしれないです。