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INTERVIEW

Japanese

Saunash

2014年07月号掲載

Saunash

Member:佐藤 啓 (Vo/Ba) 杉山 こうじ (Gt/Vo) 常木 貴文 (Dr)

Interviewer:天野 史彬

楽器を手にした若者は、そこにどんな想いや願いを込めるのだろう?クラスで人気者になりたい?この世の間違いを告発したい?――どれも頷ける。ただ、都内を拠点に活動する3ピース・バンド、Saunashが清廉とした美しいメロディに乗せて描くのは、そのどれとも違った心象だ。怒りと哀しみの音楽であるパンクやエモを出発点に持ちながらも、この3人が描くのは、凛とした優しさとささやかな強さで、あなたの生活を彩り背中を押すためのギター・ロック。4年ぶりの音源にして最初の集大成『Bounds Away』はひとりぼっちの場所からあなたの幸せを願うような、そんな高潔な作品だ。

-アルバム『Bounds Away』を聴かせていただいて、等身大のエモーションがサウンドと言葉に実直に昇華された、凄く心地のいいギター・ロックが鳴っている作品だなと思いました。まず、2006年に佐藤さんと杉山さんを中心に結成されたということなんですけど、当時から音楽性は今のような、メロディアスなギター・ロックという感じだったんですか?

佐藤:最初はHi-STANDARDとかがめちゃめちゃ好きだったので、それに影響を受けたメロコアをやってたんですけど、歳を経る毎にそういう部分も削れてきて、さらにドラムの常さん(常木)が入ったことで違った要素も注入されて、今みたいな感じになりましたね。

常木:僕は2008年ぐらいに最初はサポートとして入ったんですけど、確かに当時の2人のやってる音楽はメロコアっぽくて速かったですね。だから最初、僕から見たSaunashの音楽性って、半分は好きだけど半分は好きじゃないなって感じだったんですよ(笑)。僕が好きなのはエモとかポスト・ロックとかだったんですけど、当時の2人がやってる曲の中のハード・ロックっぽい曲とか、速いメロコアっぽい曲に対しては、好きじゃないな、やりたくないなって思ってましたね(笑)。でも彼らはeastern youthとかも好きで、エモっぽいフレーズとか、僕にも響くメロディや声があったんですよね。だからいい曲もあるなって思って。それで僕の好きな音源を2人に聴かせたり、活動をしていくうちに、段々と2人が元々持っていたメロディックな感じと、僕の好きなエモとかポスト・ロックの感じが混ざってきたんですよね。

佐藤:元々eastern youthは好きで聴いてたし、まだ『Bleed American』を出してブレイクする前のJIMMY EAT WORLDをeastern youthの前座で観たこともありましたね。全然知らなかったんですけど、すげえカッコいい外国人がいると思って(笑)。

-それ、今考えると凄い体験ですよね(笑)。じゃあ、メロコアだけじゃなくエモ系の素養も佐藤さんたちには元々あって、それを常木さんが引き出していきながら、今のパンクやエモを昇華した幅広いサウンドが形成された感じなんですね。皆さんは、最初に音楽に触れた時からパンクやエモを聴いていたんですか?

佐藤:いや、最初は当然J-POPから入って――今でもMr.Childrenとかは大好きなんですけど――、高校生の頃にハイスタとか、もうちょっと昔のTHE BLUE HEARTSとかが流行ったんですよね。それで聴いたら、"これはヤバいぞ"と思って。それでそっちに進んだんです。僕らが高校生ぐらいの頃ってCDがまだ売れてたので、CD屋に行って試聴したりジャケ買いしたりして、どんどんインディーの――HUSKING BEEとか、REACHとかCAPTAIN HEDGE HOGとか、そういう方向に行って。それが2000年前後くらいですかね。

-じゃあ、それこそAIR JAMとか、あの時代のパンク・カルチャーの恩恵を真正面から受けた感じだったんですね。

佐藤:そうですね、もう完全に。で、そういう人たちに憧れてバンド始めたので、英語詞でずっとやってる感じですね。

杉山:僕も大体同じです(笑)。J-POPから入って、高校生ぐらいの頃に洋楽邦楽のパンクに出会って、それで大学生の頃にガーっと広がっていった感じでしたね。だから、佐藤とは原点的な部分が一緒だったんですよね。J-POPから入ってパンクに行ってっていう。その先は結構違う部分もあるんですけど、その原点が同じだったから始めから一緒にバンドやれたっていうのはあると思いますね。

常木:僕は彼らより3つぐらい歳上なんですけど、中学生の頃に音楽聴きだした頃はB'zとかBOØWYとか、ユニコーン、あとTM NETWORKみたいなのが好きで。で、中学の後半にLUNA SEAに出会ってから完全にヴィジュアル系に行っちゃったんですよね。だから、(同時代の)メロコアは"やってんなー"って感じで見てるぐらいでしたね。でもドラマーってなかなかいないから、サポートでたまに叩いたりはしてたんですけど。その後は、自分の中でグランジ・ブームが来まして、NIRVANA、THE SMASHING PUMPKINS、FOO FIGHTERSとか。で、あの辺を聴いてたら、知り合いにJIMMY EAT WORLDやSUNNY DAY REAL ESTATE、日本だとNAHTとかBluebeardを教えてもらって。それがガツンときちゃって。そこからエモ、ポスト・ロック――TORTOISEとか、完全にそっち行っちゃって。