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INTERVIEW

Japanese

Saunash

2014年07月号掲載

Saunash

Member:佐藤 啓 (Vo/Ba) 杉山 こうじ (Gt/Vo) 常木 貴文 (Dr)

Interviewer:天野 史彬

-皆さん、今Saunashでやってる音楽の根幹にあるパンクやエモにいきなり行ったわけではなくて、J-POPや他のジャンルからそこへ行ってるわけですよね。パンクやエモに出会った衝撃ってどのようなものだったのでしょうか?

常木:先輩バンドがカッコよかったんですよね、ASPARAGUSとかREACHとかtoeとか。それに、その辺にいそうな兄ちゃんがステージに立つと違って見えるっていうのが、凄いカッコいいなって思って。ライフスタイル込みで引き込まれていった感じはありますね。ヴィジュアル系聴いてた自分が言うのもなんなんですけど(笑)、段々とカッコつけてるのがダサいって思うようになっていって。音も飾ってない音が好きになっていって。

佐藤:あと、自分も弾けたらいいなって思ったんですよね。ハイスタの横山(健)さんのギターとかメロディとか、自分もこういうふうに歌って弾けたらいいなって。コピーしたいなっていうのが最初にあったので。言ったら、ギター、ドラム、ベースって、楽器構成が簡単じゃないですか。それでできるんだっていう。もちろんその辺の高校生にできるものではないんですけど、でもやってみたいなって思ったんです。ミスチルとかも好きだったけど、ミスチルをできる気はしなかったんですよ。なんの音入ってるんだろう?って、中高生の僕らにはわからない。でもメロコアは弾けそうだったんですよね。

杉山:2000年前後のパンクって、普通にメディアに出てるような、表面的に見える音楽ではなかったと思うんです。ハイスタがようやくTVに出たりしたけど、その奥にはまだまだいっぱいいるって感じで。そこに触れた瞬間に、こういう世界もあるんだなって知った感覚があって。表面的に見えるものではないところにも、たくさん面白いものは転がってるんだなっていうのを教えてもらったというか。

-わかりました。では今回の1stフル・アルバム『Bounds Away』について訊いていきたいと思います。作品としては2009年にシングル『Cube on a Palette』が出て、2010年にミニ・アルバム『Bird Watching』が出てますけど、『Bounds Away』はそれから4年ぶりの音源になるわけですよね。その間、ライヴ活動が止まっていたわけじゃないし、配信や配布としての音源リリースはあったにも関わらず、1stフル・アルバムを作るまでにこれだけ時間がかかったのはどうしてだったんですか?

杉山:どういう形で盤を出すかっていうのはスタッフと話し合ってて、2009年~2010年の間のリリースは決まってたんですけど、2010年にミニ・アルバム『Bird Watching』を出した後に、世の中的な反応を見たり、今後自分たちはどんな曲をやっていきたいのかっていうのを考えるために、1回止まったんですよ。曲を書いては捨て書いては捨てっていう時期に入っていって。で、その中で何度も何度も曲を書き捨てていくうちに、なんとなく方向性が決まっていって。そこまでの間に4年かかってしまった感じですね(笑)。

-曲を書いては捨てる......『Bird Watching』リリース後、そこまでしなきゃいけない状態に追い込まれたのはどうしてだったんですか?

杉山:うーん......そもそも過去に作ったものを踏襲したくないっていう気持ちがあるんですよね。だから曲を作るたびに新しいアイデアを出して、"これはどうか?"って探っていくんですけど、前の曲と似たようなものは捨てちゃうんですよね。そうやってどんどん新しいものを取り入れようとすると、どうしても書くのに時間がかかってしまって(苦笑)。

佐藤:『Bird Watching』を出した時って、常さんが入ってからそんなに時間が経ってなかったので、僕と杉山の2人で作った曲を叩いてもらってる感じだったけど、そこから今回は3人で刷り合わせていく感じもあったし。あと、さっき杉山も言いましたけど、今までと違う雰囲気のことをやってみようって試すんですけど、違いすぎたんですよね(笑)。日本語詞とか。"何これ、やりすぎじゃない?"みたいな感じになったりすることもあって。

-日本語を取り入れようとしたということですけど、具体的に『Bird Watching』を作った後で、自分たちのどういう部分から逸脱しようとして、新しくどういう要素を欲したんだと思いますか?

杉山:『Bird Watching』を作るまでは、シンプルに全体をまとめようっていうコンセプトがあったので、曲も3分前後で短かったし、メロディが立つようにしようとしてたんですけど、ここからはそうじゃないっていうのがあって。メンバー3人それぞれの個性を出していく方向で曲を書いていったっていう感じですかね。各自の色をどんどん出していって、"シンプルに"っていう言葉は捨てた感じですね。だから今回の『Bounds Away』に関しては、いろんな曲をやりながらも、全体的にSaunashとして見える部分がしっかりあるアルバム......一貫性がありながらも、よーく見てみるといろんな曲がある作品を作りたいなっていうのがあって。

佐藤:前のミニ・アルバムから4年も経ってるし、今までの集大成的なアルバムにできたらいいなっていうのはありましたね。......でもとにかく、出せることになってよかったなっていう気持ちがありました。

杉山&常木:ははははは(笑)!

佐藤:レコーディング始まった時は本当にそう思ってましたね。それまでの4年間は、"(曲を)作ってどうすんだ?"っていう時期でもあったんですよ。ライヴはあるにしても、作っても出せるかどうかわからない。アルバムを出そうって決めて曲を作ってたわけじゃなかったし、だからといってなんでもいいと思って作ってたわけではなく、いい曲作りたいなって思ってメンバー間の思考の刷り合わせをしたりしたわけで。......その中で、新しくやりたいこともSaunashっぽくまとめられるようになってきて、上手い具合にアルバム出そうかっていう話になったので、本当によかったなって思いましたけど。

-『Bird Watching』リリース以降の試行錯誤の4年間は、佐藤さん的にはキツい時期だったんですね?

佐藤:なんだろう......キツいっていうのとも違うんだけど、ほんとに"なんだろうなぁ?"っていう感覚でしたね。なんとも言えない感覚でした。だから、今回レコーディングに1年ぐらいかけさせてもらったんですけど、録っては間を空けて考えてっていうのを繰り返して。その1年はあっという間でしたね。そう考えると、それまでの3年はキツかったね?

常木:まぁライヴはやってたので、ライヴ自体は楽しいんですよ。友達のバンドの企画に出たり。でも、スタジオはね(笑)。何に向かって曲を作ってるのか、わからなかったんですよね。