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INTERVIEW

Overseas

MGMT

2013年09月号掲載

MGMT

Member:Andrew VanWyngarden (Vo/Gt/Dr) Ben Goldwasser (Key/Programming)

Interviewer:新谷 洋子

NYブルックリンを拠点とする、元アート学生のAndrew&Benを中心とするポップ・デュオ、MGMTの3rdアルバム『Mgmt』が9月18日にリリースされる。英NMEアワード"最優秀アルバム"受賞、またグラミー賞"最優秀新人賞" "最優秀ポップ・パフォーマンス・グループ"の2部門にもノミネートされ、2ndアルバムは全米2位/全英4位にランク・イン。数々の著名アーティストから絶賛され、様々な側面から熱い注目を浴びるMGMT。約3年ぶりの3rdアルバムは、さらにアート感覚溢れる作品に仕上がった。

-前作『Congratulations』は、ファンの間でもマスコミでも、いい意味でリアクションが分かれる作品でしたよね。一連の論争を今振り返って、どんな風に感じますか? また、そういった前作を巡る状況は、3rdアルバムに向かうあなたたちのアティチュードに何らかの影響を与えましたか?

Ben(以下B): 前のアルバムは、みんなが言うほど挑戦作でもエクスペリメンタルでもなかったと思うんだよね。賛否両論、特に批判が出てくるのは、複数アルバムを出したアーティストの宿命なんじゃないかな。そう思って、そういう意見にはあまり耳を傾けないことにしたんだ。そんなのは無視して、音楽を作ることによって前進していこうってね。作る過程を楽しんで、人の言うことなんか気にしないことにしたんだ。アーティストとして、そういう反応を心配しすぎるのもどうかと思うしね。一旦世に出ると、その曲が独り立ちするまでには時間がかかるものだから、出てすぐの反応を気にしても意味がないと思うんだ。

-前作は、Andrewがレコーディングで滞在したマリブでハマったというサーフィンと海からの影響が全体に流れていましたが、今作で1番影響をうけたものは何ですか?

Andrew(以下A):前作を作っていたのはサーフィンを覚えたての頃だったけど、実際どのくらい音楽が影響されたかは今となっては分からないな。ただ、サーフ・ロックと繋げて考える人たちもいたね。今回は何か特定のものに影響を受けたというよりは、その場その場で自分たちから湧き出てきたものを音にしたという感じなんだ。テーマも特にあったわけじゃなくて、日常生活に即したものが多いかな。日常生活がいかに奇想天外になり得るかを曲にしたって感じだね。

-今作をセルフ・タイトルの『Mgmt』と名付けることは随分前から決めていたそうですが、3作目にしてセルフ・タイトルにした理由は?

A:うーん、分からないなあ。ちょっと陳腐にしてみたかったというのはあるけど。1stじゃなくて3作目やそれ以降にセルフ・タイトルのアルバムを作るバンドはいっぱいいるから、そういうので遊んでみたような感じかな。最初はジョークで始まったんだけど、最終的には辻褄が合った気がする。今回の音楽の作り方は、大学時代のときと似ているからね。ちょっとルーツに戻ったみたいな。それに、今回は他人にどう思われるとかそういうのをあまり心配しないで、思いつくままに楽な気持ちで音楽を作れたから、自分たちがそのまま出ているような気がするんだ。僕たちのありのままの姿が出ていると思うよ。

-今作で、1stアルバム『Oracular Spectacular』時のようにAndrewとBenの2人でレコーディングを行い、MGMT名義も2人に戻った理由は何ですか?

A:単に、前回とは違ったクリエイティングを試してみたかっただけなんだ。前回の目的はフル・バンド・サウンドを作ることだった。もっとトラディショナルな、フォーク・ロックにも近いようなね。今回はBenと僕のインプロヴィゼーションから始まって、2人でハッピーな音ができたんだ。最近2人だけでやってなかったけど、今はこのやり方がナチュラルで心地いいと思ってね。

-今回セルフ・プロデュースは考えなかった?また今回もまたDave Fridmannと組んだのはなぜですか?

B:前の2作のアルバムでもDaveには関わってもらっているけど、もっとミキシング的な役割だったんだよね。今回はプロデューサーとして僕たちの作ったものに意見をしてもらったりはしたけど、このアルバムにはセルフ・プロデュース的な側面もあるんだ。自分のサウンドを自分で手がけているという自負もあったしね。アレンジなんかも自分たちでやったし。第3者に入ってもらってよかったのは、僕たちのような当事者よりも作品から距離を置いて、俯瞰的な視点で見て(聴いて)もらえたことだね。そうして客観的な意見をもらうことができたんだ。