Japanese
BOOM BOOM SATELLITES
2013年01月号掲載
Member:中野雅之 (Ba/Prog) 川島道行 (Vo/Gt)
Interviewer:石角 友香
-2011年は相当、苦しい1年だったという印象ですか。
中野:でも、あの年にアルバム出した人、たくさんいるし。そういう人たちはもっと辛い思いをしたんじゃないかな。タイミング的に出さざるを得ない、でもたぶん1回、全部ゴミ箱に捨てたかったと思うんですね。ある日を境に聴こえ方が絶対違っちゃうと思うんですよ。
-歌詞を書き換えるぐらいでは済まないだろうし。
中野:やり直したくなるんじゃないかと。でもそれはごく一時的な迷いだとも思うんです。音楽家はどんな状況でも自分の音楽を作ればいいと思うんですね。サカナクションのツアー最終日を幕張に見に行ったんですけど、彼らは2011年にアルバム出して、ツアーもやって。(山口)一郎くんがMCで“2011年に僕たちはアルバムを出したわけなんですけど、これはすごいことなんですよね”っていうことを言ってて、“この子偉いな”と思ったんです。ちゃんと自分のやってること1つ1つこう、責任感を持ってやってる感じが。
-サカナクションもですが、去年は今のライヴ・シーンの先頭を走ってるようなバンドとの、今までのBOOM BOOM SATELLITESからはちょっと意外な対バンもありましたね。それはそういうバンド、もしくは外部と接していないと自家中毒になりそうな雰囲気があったからなんでしょうか。
中野:いやー、振り返ってみるとそういうことあり得るなぁって思えますね。とても貴重な経験だったし。あんまり僕たち……これ変な意味じゃなくて、邦楽シーンに馴染みがなくて、知らないことがすごく多いんです。それで、それぞれ勢いのあるバンドで。(マキシマム ザ)ホルモンも9mm(Parabellum Bullet)もサカナクションも、考え方とか傾向は全然違ってて、それも面白かったし。自分たちのファン以外と何の接点も持たないで、バンドや音楽活動をしていくことも、そろそろ僕たちぐらいの歳だとあり得る話で。で、それがイヤですね、気持ち悪く感じるから。だからそういう(対バン)ライヴやったり、本数は多くないですけど邦楽のフェスにも出るようにしてて。
-なるほど。ちなみにフジロックに出演した頃は、制作は何合目ぐらいだったんですか?
中野:曲は出揃ってて、あとは本チャンの歌詞を全部作って録り切ってしまって、残りのプロダクションの詰めを秋からやれば、ギリギリ年内に出せると思って……毎日8月31日みたいな気分で過ごしてましたけど(笑)。
-ははは。年は越しましたけど。
中野:いや、今だから喩えられるけど、その頃は毎日生きた心地がしないっていうか、1コでも、例えば川島くんが“歌詞ができない”とかうじうじ言い出したら……。
川島:ははは!
中野:ひっぱたいてでもやらせるしかないっていうところまできてたんで。
-ホントに完成して良かったです。その、手探りの状態にあっても“こういうことから始めよう”という取っ掛かりはあったんですか?
中野:や、手当たり次第ですよ。楽器を持ち替えたり、やったことのない声の出し方にしてみたり、いつもだったらダブル程度にしか録らないヴォーカルを10本録って重ねてみるとか、なんでもやりました。ギターの録音の仕方もラインで録って、スピーカーに張りつくような音をトラックとコントラストをつけるように配置していくとか、手法を自分たちで探しだしてましたね。何をやったらいいのかわかんないから、“とりあえずやりまーす”みたいなことも結局、アルバムの最後まで生きるんで。ギターのダビングの仕方の実験的なところとかは、けっこう発見だったし。
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多言は無用だろう。これがBOOM BOOM SATELLITESの最後の作品だ。その事実はどうしても切り離して考えられないが、ここまでポップで突き抜けていて美しいエレクトロニック・サウンドに昇華できたのは中野雅之(Ba/Prog)が探求に探求を重ねたからだろうし、逆に川島道行(Vo/Gt)の歌と言葉は、希望も絶望も共にある彼の心から自然に浮上したように聞こえる。タイトル曲の中で川島が"Lay your hands on me(ずっとその手で触れていてくれ)"と歌い、"I fly(僕は飛ぶ)"と歌う時間は聴き手が存在する限り永遠に思える。全4曲の後半2曲はもう歌ではなく川島の"声=意志"の力に寄り添うようにメロディ、サウンドが吟味され尽くしているのだが、そのことが何かに機能するために作られた音楽の一切を凌駕する。鳴っている音すべてが美しく、0.01秒の残響も聴き逃したくない。(石角 友香)
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オリジナルとしては『TO THE LOVELESS』以来、約3年ぶりとなる8枚目。ギター・サウンドやヴォーカル・ワークのオリジナリティに磨きがかかり、エレクトロニックなサウンドの中にもオーガニックなグルーヴを感じさせるなど、新鮮な驚きに満ちた新章に相応しい仕上がり。昨年6月にシングル・リリースした「BROKEN MIRROR」をはじめ、初のカヴァーであるTHE BEATLESの「HELTER SKELTER」でのBBS流カオティック・ワールド、温度感や曲のストーリーをリアルに伝える「SNOW」。フィジカルに訴えるハード・チューン「FLUTTER」などを経て、ピアノのサウンドや清冽なサウンドスケープが印象的なタイトル・チューン「EMBRACE」や「NINE」へ至るエクスペリメンタルな全10曲。(石角 友香)
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アジカン企画&主催の夏フェス"NANO-MUGEN FES."も今回で9回目(ツアー形式だった「NANO-MUGEN CIRCUIT2010」を含めると10回目)。WEEZERやMANIC STREET PREACHERSをヘッドライナーに、BOOM BOOM SATELLITES、the HIATUS、若手注目バンドねごと、モーモールルギャバンなど、洋邦共に相変わらずの豪華ラインナップ。出演バンドの楽曲が1曲ずつ収録されているコンピレーション・アルバムは、今作で5作目。そして、今回収録されているアジカンの新曲は2曲。チャットモンチーの橋本絵莉子(Vo&Gt)を迎えた「All right part2」は、後藤と橋本の気だるい歌い方と熱が迸る歌詞のコントラストが鮮やかで、高揚感に溢れたギター・リフとメロディも力強く鳴り響く。ユーモラスなあいうえお作文、男性の言葉で歌う橋本の艶とレア感も思わずニヤついてしまう。東日本大震災時の東京を描いた「ひかり」は、人間の醜い部分や絶望感にも目を逸らさず、物語が淡々と綴られている。言葉をなぞる後藤の歌に込められた優しさと強さは、当時の東京を克明に呼び起こしてゆく。生きることが困難な時もあるだろう。だが"オーライ"と口ずさめば、ほんの少し救われる気がする。音楽の持つ力を信じたい――改めて強くそう思った。(沖 さやこ)
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BOOM BOOM SATELLITESから届いた衝撃の新作。徹底したブレのないスタイルから繰り出されるストイックなビートと姿勢はデビュー以来変わっていないが、今作もまた自由でエネルギシュ。誰もまだ到達出来ていない孤高とも言えるその世界感を完成させながら彼らはまた新たな一歩を踏み出している。どの曲も既存のポップ・ミュージックのフォーマットから外れていながらとてもドラマティック。そして彼らの持つダークなムードは維持しつつどこか暖かいフィーリングに包まれている。"聴いてくれた人の想像力と音楽が合体した時に本当の意味で完成する音楽"と語るように今作は私たちに訴えかけてくるような作品だ。(遠藤 孝行)
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昨年リリースされたシングル「Back On My Feet」は、最早説明不要の大衆性を獲得した後のBBSと、デビュー当時のエクスペリメンタルな要素が見事に調和した素晴らしい曲だった。そして、満を持しての2枚組究極ベスト盤が登場。これはもう、タイミングばっちりでしょう。選曲はメンバー自らが行い、リミックス&マスタリングも敢行。これまでにリリースした(「Back On My Feet」を除いての)8枚のシングルからは意外にも3曲しかセレクトされていないが、まるで2 枚のオリジナル・アルバムのような選曲の並びになっているので、単なるヒットコレクションとは違う聴き応えのある作品だ。「Well Kick Out The Fading Star」そう、彼らの快進撃は、またここから始まる。(杉浦 薫)
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『Full Of Elevating Presures』『On』『Exposed』は、それぞれ違うアプローチではあるものの、どれも甲乙つけ難いほどの傑作だったことは言うまでもない。そして『Exposed』から約一年半、遂に彼らが始動した。このニュー・シングル『Back On My Feet』は、アニメ『亡国のザムド』のオープニング・テーマに決定している。トランシーながらも、どこか遠くから聴こえてくるかのような音作りで、ドラムの音だけが規則性を保ちながら波のように押し寄せてくる。とてもドラマチックでスケールの大きい曲で、思わず鳥肌が立ってしまった。BBS至上最高傑作といっても過言ではないだろう。また、『All In A Day』はRADIOHEADの『Pyramid Song』を彷彿とさせ、『Spellbound』から『Caught In The Sun』は、ひとつの曲として捉えるならば、14分にも及ぶ大曲だ。(杉浦 薫)
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