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INTERVIEW

Overseas

BIFFY CLYRO

2013年02月号掲載

BIFFY CLYRO

Member:Ben Johnston (Dr)


-それは、45もあった曲をひと通りレコーディングしてみる中で、ネガティヴなトーンの曲と明るいトーンの曲があることに気がついた、ということでしょうか。

うん、その通りだよ。さっきも言ったように、今回の曲は一気に出来あがっていったので、後から見えてきたことがたくさんあった。“2枚組だからコンセプト・アルバムなんじゃないか”と思われがちかもしれないけど、それはないんだ。あくまで、出来あがってから改めて、歌詞のテーマが内省的な曲もあれば前向きなものもある、ということがわかって、なおさら1枚のアルバムにバラバラと詰め込むよりも、2つに分けるという考え方が合っているように思えてきた。

-そう考えると、それぞれのタイトルの意味もよくわかりますね。自分たちの骨の髄まで染み込んでいるもの、と、これから向く足の先にあるもの……すごく巧妙なタイトルだと思いますが、これはみんなで?

ありがとう。考えたのはSimonだよ。あいつはああいうのが得意なんだ(笑)。

-プロデューサーは、Garth Richardsonですね。長い付き合いになりますが、まだまだ彼によって引き出されるものはあると感じますか。

うん、そう思うけど……彼はいわゆる、ベッタリ関わってくるプロデューサーではないんだ。曲そのものに口を出したりとか、そういうことはしない。今回は曲の数があり過ぎるほどあったから、アルバムとして形を整えるために力を貸してもらった、という感じ。彼はとにかく経験豊富で、素晴らしいアルバムにいくつも関わってきている人だから、客観的に物を見ることが得意だ。ここ2枚のアルバムでの彼の仕事には僕らもすごく満足していて、特に作業の進め方が古風なのがいい。僕らの好みと合っている。切ったり貼ったりの作業が彼は嫌いで、だから余計に時間はかかるしお金もかかっちゃうんだけど、最終的には“彼の言うことが正しいね”となるんだ。3枚目ともなればお互いのこともよくわかっていて、僕らが突拍子もないことを言い出しても理解してくれるし、僕らの意図をいちいち問い詰めたりせずに、まずはトライしてみてくれる。まあ、もはやファミリーの一員みたいなものだよね。レコーディング中はもう、彼もバンドの一員みたいなものなんだ。今回も一緒にやれてよかったよ。

-なるほど。私たち日本のファンはまだ、BIFFY CLYROの本国でのような大規模なショウを観る機会に恵まれていないのですが、映像で見る限り、すごくエンターテイニングなライヴですよね。こういう音楽なら、それだけでもじゅうぶん観客を満足させることは可能だと思いますが、エンターテイニングな要素というのは、ライヴにおいてはバンドにとって重要なことですか。

うん、それはすごくある。特に、アリーナで1万人ぐらい集まってくれている時は、会場の遥か後ろの方まで人がいるわけで、ステージ前にいる人と同じくらい後ろの方の人にも楽しんでもらうことが重要なんだ。だって、みんなお金を払って来てくれてるんだぜ。前の方の人だけが満足すればいいというものではないだろう。だから僕らはギグにショウ的要素を多めに盛り込んで、大きなスケールで楽しませることを意識している。パイロとかスクリーンを使うのも、とにかく楽しめるものにしたいからなんだ。大規模なアリーナ・ショウでありながら親密感も大事にしたい、となるとバランスを取るのは本当に難しいんだけど、BIFFY CLYROとしてのこだわりは、遠くにいる人たちにも前の方にいる人と同じように楽しんでもらうこと、それに尽きる。何しろ僕自身、かつては後ろの方でやっと観ていることも多かったからね。小さなクラブでやっている時のような親密感を、何とか大規模なアリーナでも再現したい。