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INTERVIEW

Overseas

TWO DOOR CINEMA CLUB

2012年09月号掲載

TWO DOOR CINEMA CLUB

Member:Alex Trimble (Vo/Gt/Syn)

Interviewer:松永 尚久


-タイトルをなぜ『Beacon』に?

アルバムの最後の曲が「Beacon」っていう曲名なんだけど、その曲は僕たちがいつも地元を離れて旅をしている現状を表している曲なんだよね。その現状って、正に僕たちにとっては夢のような生活で、自分たちが10代の時に思い描いていたことをいま体験できているんだよね。でもやっぱりこの生活もいいところばかりじゃなくて、嫌なとこもあったりして。いくらその場が楽しくても、1か所で落ち着いた生活がしたいっていう気持ちは常にどこかにあるもんなんだよね」。それに、各地を転々としていると、何かに取りこのされている気持ちになったりもする。だけど、自分がいつも居場所ではない場所に行ってしまうのは、Beaconに導かれているからって思ってるんだ。そういう気持ちを「Beacon」っていう曲に表したんだ。その気持ちをKevinとSamに説明したら、この言葉に対して彼らは彼らの考えがあって。彼らは、逆に僕たちがキャリアを持続していくために、自分たちこそがいつも人の気を引きつけようとしているBeaconだって思いがあって。そういうみんなの思いがあった曲だったから、それをタイトルにしたっていうのが一番の理由なんだ。でも作品をそれぞれの解釈で受け取ってもらえると嬉しいな。

-曲順に関してのこだわりは?何か物語を作っている?

物語を作っている訳ではないけど、曲順に関してのこだわりはあったよ。音楽的にも歌詞的にも。「Next Year」から始まるんだけど、この曲はアップ・テンポなんだけど、歌詞はメランコリックなんだよね。そういう曲を作るのが好きだったからファースト・アルバムはこういう曲が多かったんだけど、セカンドも自分が好きなことから始めたかったんだ。そこから、先は少し違う方向に行く感じの展開になっていて、アルバムの終盤はすごくスローなってきて、全く違う世界観になっていく感じなんだよね。それで、最後は「Beacon」で締めくくられるんだけど、この曲はコーラスもない、不思議な感じの曲なんだけど、それがすごく好きで。構成がない曲だから、次に繋がらない感じが締めくくりにすごく良かったんだよね。

-アートワークについても教えて。天井から女性の足が出ているものですが。これにはどういう意味が?

いろんな意味が隠れていると思う。このアートワークも、ファースト・アルバムも手掛けてくれたMEGAFORCEにお願いしたんだ。彼らのアートが本当に好きで。彼らにはアルバム・タイトルが『Beacon』になることと、音楽を数曲聞かせただけだったんだ。他に何もディレクションはせずに、彼らの直観で作ってほしくて。それで、彼らから上がってきた『Beacon』があの通りだったんだよね。初めて出来上がったのを見た時、素晴らしいイメージだなぁって感じたよ。特に理由や定義付けはないんだろうけど、とにかくイメージが美しいって思った。その美しさがアルバムを表してくれているんだろうなぁって。この女の人に関しては、謎がたくさん残されていることも好きなんだ。上に吸い上げられているのか、下に降りてきているのか、詳細が全く分からないイメージだからすごく良くて。だからみんなも自分たちの想像で受け止めてほしいんだよね。

-収録曲の中で、最もバンドのユニークな面を表現できた曲は?それはどのフレーズに最もあらわれている?

多分最もユニークな曲は「Beacon」だと思う。僕たちならではのポップ・ソングではないからね。「Sun」も今まで書いた曲とは全然違う感じの曲なんだよね。スイング、ジャズ、ヒップホップの不思議なマッシュアップのような感じ。トランペットの音とか曲のグル―ヴでヒップホップもしくはモータウンのような曲に聞こえるんだよね。僕たちが今までやったことないような曲だけど、かなりインパクトのある曲だと思う。

-また、今のバンドらしさを最も表現できた曲・フレーズは?

「Beacon」の中で“take the deep end and swim till you can stand”っていうフレーズがあるんだけど、このアルバムのタイトルを「Beacon」にしたかった理由がこのフレーズがあったんだよね。どんなに困難でもそれに立ち向かったり努力したりする僕たちを表しているような言葉でもあったから。このフレーズは僕たちのゴールやモチベーションや野望を表現しているんだよね。

-『Beacon』を完成させて、何か新しい発見はあった?

そうだね、どうやったら曲をもっと上手に書けるかってことかな。今回はじっくり研究する時間もあったから、その曲をパーフェクトにするにはどうしたらいいのかを考えることができたんだよね。そういう意味でもJacknifeと制作することは最高だったよ。彼はその曲に何が必要でどうしたらそれが足せるかを分かっている人だからね。彼からたくさんのことを学んだよ。

-レコーディング中で面白かったエピソードは?制作に行き詰まった時や、頭をリフレッシュさせる時にやったことは何?

レコーディング中に制作に行き詰った記憶がないんだよね。ただただ最高の経験だったよ。毎朝起きて、まずビーチでランニングしてからコーヒーを飲みに行ってたなぁ。それからスタジオに入ると、いい日差しが差していて。スタジオのロケーションも最高だったんだよね。町から少し離れた所で、森を見下ろしている山の中で。すごく美しくて、静かで、制作するにはパーフェクトな場所だったよ。いいメンタリティーになれる場所だった。Jacknifeはすごく気さくで楽しい人だったから、みんなジョークを飛ばしながら和気あいあいと毎日が楽しかったよ。逆にすごくリラックスできて、幸せな経験だった。

-アルバム全体を通じて、リスナーに感じてほしいことは?

色んなことを感じて欲しいと思ってるよ。ハッピーな曲も悲しい曲もあって、リスナーがその曲と一緒に何か感じてくれると嬉しいな。僕が感じて書いた気持ちっていうのではなくて、思い思いに感じるままに感じてもらいたい。このアルバムは前作と比べても、歌詞的にはすごく深いから、歌詞にも注目しながら曲を聴いてもらいたい。別にその歌詞をそのまま理解してほしい訳ではなくで、自分の解釈で受け止める感じでいいんだよね。

-さて、年末には来日公演が決定。意気込みを聞かせてください。

日本は心から大好きで、また日本に行けることが本当に楽しみなんだ。これまで5~6回日本に行ったことがあるんだけど、素晴らしい国だよね。みんなとても優しいし、フレンドリーだし。日本でライヴをやると、必ずいいショーになるんだよね。観客の情熱に僕たちも熱くなっちゃうから。去年の夏以来行けてないから、次に行けることを今からすごく楽しみにしているよ。